たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

IBD

アメリカ合衆国サンディエゴ消化器病週間 San Diego DDW (digestive disease week)に参加 第3日目

進歩する学問と技術 炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎とクローン病


  本日のサンディエゴの天気は曇り、前日と打って変わって肌寒い。


 アメリカはIBD先進国である。患者数も多ければ、治療法も多い。抗TNFα療法として、インフリキシマブや、アダリブマブ、セツキシマブPなどの分子標的薬剤の臨床効果や問題点、その他の作用機序による分子標的薬剤(抗CXCL10抗体、抗integrinβ7抗体など)の臨床試験結果などが発表されていた。また、従来からある薬の使い方の工夫や、別の疾患に用いる薬の転用、ある種のサプリメントなど、潰瘍性大腸炎やクローン病をなおすのに効果のあるものなど、治療に関する多数の発表がなされていた。


 抗TNFα療法を、ステロイド療法を始める前に使えば(トップダウン方式)、臨床的な治療効果が、ある基準を基にすると、30%から70%へと向上するという話もあった。


 夕方は肥満治療の発表に参加。米国は肥満先進国でもある。高度の肥満が多い。高度の肥満を解消する目的で、胃にバンドをかけて細くしたり、消化管をつなぎなおしたりして、消化管からの栄養吸収を抑える治療法が米国ではおこなわれているのであるが、その治療法の長期の問題点と克服の仕方がビデオで紹介されていた。内視鏡的肥満治療の問題と克服方法の話は面白かった。

 

クリニックの案内・地図(ポリープ切除付)無痛内視鏡消化管ドック田渕正文院長の履歴

田淵正文院長の業績消化器疾患について超音波による前立腺がん治療:HIFU | E-mail |

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UEGW(ヨーロッパ消化器週間)2007 in Paris 第一日目

 2007年10月29日からUEGW in Parisに参加。ヨーロッパはIBD先進国なので、初日はIBDを中心に講演を聴いた。日本では、インフリキシマブしか、認められていないが、こちらではそれに加えて、CZP(セルトリズマブ・ペゴル)やADA(アダリブマブ)が使用できる。


 そのクローン病に対する臨床試験の結果を聞いていたが、トップダウン「はじめに強い薬すなわち坑TNF-α製剤を使い、次に、アザチオプリンを使う」方法のほうが、ボトムアップ「はじめに弱い薬を使い、効果がなければ、強い薬を使う」方法よりも、2年後の緩解率が大幅に高かった。

日本では、クローン病に対して、ボトムアップしか、保険診療では認められていない。この結果を踏まえて、坑TNF-α抗体の使い方を検討する必要があろう。

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