小柴先生が、ノーベル賞受賞後、どの学会だったか、正確に覚えていないが、医学系の学会で講演をなさった。ニュートリノは、医療の世界とは遠い存在であるが、お話を興味深く拝聴させていただいた。自然を解明する、真理を探究するという点で、共鳴するものがあった。


 大腸癌は、de-novo発癌にしろ、adenoma-carcinoma sequence発癌にしろ、最初は、粘膜から発生して、小さい。癌が粘膜内に留まっているうちは、内視鏡で切除すれば、ほぼ100%治癒する。大きくなって、転移すれば、治療手段は進歩してはいるものの、治らないことが多い。症状のないうちに、大腸内視鏡を行い、ポリープを丁寧に切除することが、大腸癌予防のグローバルゴールデンスタンダードである。進行がん治療の、効果と費用、健康被害を目の当たりにすれば、大腸内視鏡によるスクリーニングとポリープ切除が、いかに福音か、納得しない人はいないだろう。


 報道を見ると、戸塚洋二先生の場合は、8年の闘病ということであるから、58歳で病気がわかったということだ。その2-3年前、55歳のころ、無症状のうちに、しかるべきところで大腸内視鏡検査を受けて、病変のつぼみであるポリープを切除さえしていれば、こんな痛ましいことにならずに済んだ。


 大腸癌をはじめ、胃癌や食道癌、十二指腸癌といった、消化管の癌は、しかるべきレベルの先生のところで、定期的に内視鏡検査を受ければ、癌死を予防できる。そこまで、消化管の内視鏡診断・治療レベルは進歩しているというのに、返す返すも残念で痛ましい。


 手前味噌で、申し訳ないが、消化管癌(大腸癌・胃癌・食道癌・十二指腸癌)の予防のために、当院の(ポリープ切除付)無痛内視鏡消化管ドックをお勧めします。

 

7月10日12時35分配信 毎日新聞
 素粒子ニュートリノに質量があることを発見し、ノーベル物理学賞の有力候補とされた東京大特別栄誉教授の戸塚洋二(とつか・ようじ)さんが10日午前2時50分、がんのため死去した。66歳。葬儀は12日午後0時半、東京都港区南青山の青山葬儀所。喪主は妻裕子(ひろこ)さん。04年に文化勲章受章、07年にノーベル賞の登竜門とされる米フランクリンメダルを受賞した。02年にノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊・東京大特別栄誉教授(81)の愛弟子で、日本人初の師弟そろっての栄冠が期待されていた。戸塚洋二さんは、静岡県富士市生まれ。72年、東大大学院博士課程を修了した。
 90年代半ばから、東大宇宙線研究所の観測施設「スーパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)の責任者として、国内外の100人以上の研究者を率い、ニュートリノの精密観測を実施。98年、それまで質量なしと考えられていたニュートリノに「質量がある」と確認し、物理学の常識を覆す大発見として世界中の注目を集めた。
 7年前に大腸がんの手術を受けたが、その後、再発と転移を繰り返した。治療に専念するため、研究の第一線を退き、抗がん剤による本格的な化学療法を開始したが、最後までニュートリノ研究への情熱は衰えず、後進の育成に取り組んだ。
 恩師の小柴さんは、愛弟子の訃報(ふほう)に「息子を亡くした父親のようなものだ。どういうお気持ちですか、どう感じてますかなんて、聞かないでほしい」と言葉少なだった。

 

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