先月の保険診療のレセプトの審査で、審査委員会と意見の異なることがあり、厚生労働省の出先機関、関東信越厚生局の見解を聞こうと思い、本日電話をした。担当官に対して、電話にて、問題点に関する判断の根拠となる文書は何かと聞いたところ、「医科診療表の解釈」と答えた。


 私もその資料は見ていて、そこには意見の相違を解決する内容は書かれていないことは知っていたので、そこで、さらに切り込んで、問題となった言葉の定義について、成文化されたものがあるかと尋ねた。すると、「ない」と回答した。それでは、成文化されないていない問題点はどう解決しているのかと、尋ねたところ、健康保険法の精神に基づいて解釈していると答えた。


 明文化されないことで、行政を行うのは、法治国家としては大いに問題があるのではないかと詰問した。実は、日本各地の地域によって、健康保険の運用状態が異なり、問題化している。明文化せずに行政を行うから、地域や担当官による運用の差が発生するのだ。それまで問題なかったことも、急に問題化される。


 しかし、この状態は、法のもとの平等をうたった憲法に反することは明らかである。法的に言うと、上位法である憲法に違反している法律や行政行為は効力を失う。担当官もちょっと問題だなと思ったらしく、成文化したものがあるかないか、しばらく探してから回答しますと返答を変えてきた。


 受け答えの内容に不信感をもったので、重ねて、担当官に、今の職に就いてから何年かと聞いたところ、「1年」と答えた。また、前任者からの引き継ぎはあるのかと尋ねたところ、「ない」と答えた。それはそうだろう、関東信越厚生局の前身は、あの年金のずさん管理で、廃止となった、社会保険庁なのである。しかし、経験の少ない人が、前職からの引き継ぎも受けずに、自分の解釈でその場その場であーだこーだと神の声を発するのはいかがなものであろう。神の声で振り回されると、現場は大いに困るのである。


 また、審査委員の氏名は、公表されない。そのため、審査委員と自由に議論をすることも困難である。このような黒い体質が、同窓に甘く、ライバルに厳しい審査の温床となっている。記憶に新しい、東京医科歯科大学の同窓会の社会保険審査委員汚職事件のからくりは、この構図であった。

  

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