2006年10月20日から26日まで、ドイツの首都ベルリンICCにて、欧州消化器病週間が開かれた。10月22日のオープニングセレモニーで、Prof. Peter Malfertheiner 会長は、挨拶の中で、「日本からの演題発表が多く、欧州勢もがんばって研究成果をあげてほしい」と発言した。確かに、小腸内視鏡やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)といった日本から発信されたものだ。内視鏡作成・販売は、オリンパス、フジノン、ペンタックスが有力3社である。すべて日本の会社である。また、ピロリ菌の発見により2005年にノーベル医学賞を受賞した、Prof. Barry Marshall が講演した。自分より先に、胃に細菌がいることを指摘した研究者は、4-5人いた。とりわけ、日本の Ito という研究者が電子顕微鏡の写真を撮って報告していた。実に惜しいところまで行っていたのだが、しかし、彼はピロリ菌の病原性(胃炎や胃潰瘍を起こすこと)については気がつかず、私が、ノーベル賞をいただくことになったと述べた。研究成果は、単に事実の発見だけではなく、その意味を考えながら進めるべきものでなのである。目の前の事実も角度を変えて意味を考え直すと、科学の革命的進歩をもたらすかもしれないのである。


 ところで、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の治療薬の開発などについては、欧州勢のほうが圧倒的に優勢であった。

Barry_Marshall