たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

内視鏡的治療

2016年を振り返って 医学医療編 進行胃がん(MP)の内視鏡治療に成功

 今年一年を振り返ると、医学医療の分野では、今年も「がん」と闘った一年だった。内視鏡による普通のポリープ切除以外にも、EMRやESD、その他FTR(消化管全層切除術)を行った。緊急出血の止血や、異物除去、術後狭窄の拡張、ステント挿入なども行った。他の医療機関では治療出来ないといわれて紹介されてきた難しい症例もあり、ぎりぎりの内視鏡手術を行ったこともあったが、なんとか重篤な合併症を起こさずに、患者さんを救い続けられたことを神様に感謝したい。
 なかでもとりわけ、今年もっとも印象的だったのは、MP(固有筋層)まで浸潤した胃癌を内視鏡で治療した症例だ。姑息的内視鏡治療が奏効したのである。ちょうど、京都3区の衆議院議員補選、選挙運動開始の直前だったので、なおさら、印象深い。
 症例は、70歳代の男性で、他に重篤な疾患があり、本来なら、開腹手術するところだったが、それができない。しかし、癌からは血がにじみ出続けていて、貧血が進行している。なんとかしなければならない。幸い、PETとEUSで転移がなさそうだったので、迷った挙句、ESD+αで進行癌の内視鏡的局所切除を試みて、幸いにも成功した。

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治療前

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治療後6カ月

 進行胃がんを内視鏡で治療することなど、原則適応外であるが、本例のような合併症がある症例については、サルベージ治療の選択肢の一つとして、ありうると考える。
 今年9月の東大医学部の同期会で、ある同期生が「がん撲滅」なんて出来るわけがないと言った。確かに、ある意味その通りであるが、今の科学技術を適用すれば減らすことはできる。本例もピロリ菌陽性、10年前にピロリ菌を退治していれば、こんな苦労はしなかったでしょう。
 来年も、自分やスタッフの健康に留意して、最先端の科学技術を情熱をもって提供し続けたい。

ところで、今年の中盤から、地方自治体が運営する国民保険の査定が尋常でなく、大変厳しいものになっている。赤字であるからといって、調べもせずに医学的不適当ということで無茶な査定を続けるのは、法の支配する国の公的機関の所業としては大変遺憾なものである。おおいに懸念している。(ちなみに会社が運営する社会保険の査定は変わっていない)
 


難治性食道癌術後吻合部線維性狭窄の内視鏡的治療に成功 

 食道癌の術後に吻合部がときに狭窄して、食べ物が通らなくなることがある。どんなに手術の上手な施設でも時々起る厄介な術後合併症だ。狭窄には膜様の狭窄と線維性の狭窄がある。膜様の狭窄は、狭窄部位が短く、バルーンでの拡張を繰り返すと大半の症例で、改善してくる。しかし、線維性狭窄は難治で、治療は一筋縄ではいかない。食道癌手術で有名な順天堂大学の梶山教授( 大学の同級生)のところでも、このような症例は治療に大変苦労しているらしく、彼の弟子が書いた総論を読むと、バルーン拡張を何度も繰り返すしかないと書いてある。

 

 さて、今回、バルーン拡張を何回も繰り返したが、すぐに悪化して、4カ月も食事が食べられなくて困っている症例があるので、なんとか治してくれないかと、関連施設の病院から依頼された。大病院から小さなクリニックに紹介されて、患者はおっかなびっくりやってきた。いろいろと調べたところ、狭窄はほとんど閉塞しており、無理してやっと直径2mmのカテーテル型の超音波内視鏡が通せるぐらいであった。長さは約5-6センチで、線維幅は1cm以上であった。APC(アルゴンプラズマ)で線維を焼き、焼きかすを根気強く丁寧にはぎとり、トンネルを掘った。


 途中、何回も出血して大変であったが、なんとか成功し、直径10mmの内視鏡が貫通した。しかし、1週間ほうっておくと、線維が急速に増殖してきて、すぐに閉塞してしまう。そこで、十分広げた後に、着脱式の新型のステントを挿入して、治療に成功した。


 患者さんが喜んだのはいうまでもない。今回行った方法は優れていて、食道癌術後吻合部線維性狭窄の内視鏡的治療の標準方法となるのではないかと 考えている。


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(ポリープ切除付)無痛内視鏡消化管ドック田渕正文院長の履歴

田淵正文院長の業績消化器疾患について超音波による前立腺がん治療:HIFU | E-mail |

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