きのうは横浜で開催されている癌学会に行ってきました。ランチョンセミナーで、近畿大学の外科の主任教授の奥野清隆先生の「大腸癌のペプチドワクチンの現状と展望」を聞きました。2種類のペプチドでは不十分なので、7種をつかってトライしているところですとのことでした。午後は、メイン会場で、同期生の間野教授の研究をもとにして作られた、「ALKoma」に対する奏効率95%の中外製薬のお薬のお話と、シカゴに行った中村祐輔教授のMELKinhibitor・OTS167のお話を聞きました。
 将棋に例えると、奥野先生は、他者と共同でいいと考えた新戦法を使ったものの、負けて、感想戦で、次は負けないぞと、頑張っている感じ。間野先生は、自ら編み出した新戦法で局地戦(ALKOMAは癌全体の3~5%)に大勝利を得て、柳の下の2匹目のドジョウをめざして同じ戦法で、次なる局地戦の準備を進めているといったところ。中村先生は、同じく独自の新戦法をアメリカで作り上げて、今まさに対局が始まってるところ。
 さて、展示場を歩いていると、これまた、同期生の北山丈二先生とばったり。彼の研究は「がん性腹膜炎に対して、旧来の抗がん剤をちょっと工夫して投与すると、がん性腹膜炎がほぼ消える。」というもの。この勝ち続ける旧戦法改良版、抗がん剤が特許切れで、製薬会社の後押しがなく、社会的に苦戦しているとのこと。
 新戦法であろうと、旧戦法であろうと、「勝つ戦法」を社会的に評価する仕組みが、日本人のために必要だろう。

20131003癌学会