スウェーデンのカロリンスカ医科大学は3日、今年のノーベル医学生理学賞を、オーストラリアのバリー・マーシャル西オーストラリア大教授(54)と、病理専門医ロビン・ウォーレン博士(68)に贈ると発表した。ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発生に関与している可能性を1983年に提案したことが22年を経て評価されたものである。その後、世界各地の研究で、ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍だけでなく、胃がんとの関係も明らかになってきている。ピロリ菌は地域によって、亜種があり、日本をはじめ、中国東北地区、朝鮮半島になど、東アジアに分布するピロリ菌は、cag-Aという発ガン因子をもつことがわかった。日本でのピロリ菌感染率は、戦前・戦中・戦後混乱期世代(50歳以上)に高く、これが、日本の高い胃癌発生率に結びついている。ピロリ菌の除菌によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の慢性化はなくなり、胃癌の発生率も低下する。現在、日本の健康保険制度では、ピロリ菌除菌療法は胃・十二指腸潰瘍 治療にしか適応がなく、胃癌の前段階の慢性胃炎に対しての適応はない。残念なことである。ウォーレン先生らがノーベル賞を受賞なさったのを機に国を挙げて、ピロリ菌退治をし、胃癌患者を減らしたいものである。戦前、結核予防法が策定されたように、胃癌予防法を策定し、慢性胃炎患者のピロリ菌の駆除に行ったらいかがであろうか!ちなみに、当院では、これまで2600例を越えるピロリ菌退治をしてきました。慢性胃炎でピロリ菌除菌をご希望の方は、御来院ください。