先日、内閣官房にいる方と話す機会があった。インドネシア新幹線の受注に関して、日本は中国に敗れた。このことについて、安倍総理が「個人的関係を築いてもだめなのか?」と、ため息をついたという。真偽のほどは不明だが、「日本政府が受注に失敗したことに落胆している」とは想像に難くない。とくに安倍首相はアセアン重視の姿勢を鮮明にしているから、そのショックもうかがい知れる。
 私は2度中国の新幹線に乗ったことがある。一度は、杭州・上海間、今一度は、大連・瀋陽間である。また、私の故郷は岡山だから、日本の新幹線乗車回数は、200回をこえる。

 「中国の新幹線にのったことがありますか?内閣の方の中に中国の新幹線に乗ったことがある人がいましたか?」
 「そういえば、乗ったことがあるといった人はいなかったなあーーー」

「私は、この間、上海杭州間にのったのですが、50mの高架橋の上を、時速364kmの巡航速度で、ほとんど揺れずにすっとんで走ったのでびっくりしました。まるで、離陸する飛行機みたいな感じでした。」

「へえ、そうなんですか?すごいですね。ドイツでは車輪で500kmの高速列車のうわさを聞いたことがありますが・・・。」

「それに比べて、日本の新幹線は揺れてます。最近はコンピューターによるサスペンションの調節できる車両がでてから、速度も乗りごごちも改善していますが、せいぜい時速300kmです。」

新幹線という商品そのものが、負けているのだから、いくら、個人的な関係が築かれていても勝てない。
敵を知り己を知れば100戦危うからずという孫氏の兵法の言葉があるが、
「敵も知らず、己も知らず」 これでは、勝てるわけがない。

数年前、開業したての中国新幹線事故を、マスコミは大きく取り上げていた。「ぼろだ」とか「ひどい」とか。しかし、新幹線のスピードや揺れ具合などその機能の実情を正しく伝えていなかった。日本には油断があったと思う。