一昨日のNHK杯渡辺大夢四段対藤井猛九段の将棋の局面で、「ちょっと解説を」という声がありましたので、解説を加えます。
 実戦は、63銀成、73金、72銀打、同金、同成銀、52玉、34角、43香 (図面)と進行したのですが、もしここで、72の銀が成っていなければ、63の逃げ道をふさいでいるので、44桂、62玉、63金で詰むというものです。これが、63銀成らずの心です。

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 72銀成らずに対して52玉とかわすところで、同玉ならば、74竜、73金、63金、82玉、73金、同桂、71角以下詰みです。また、52玉、34角に対して43銀合と32に効かして合駒しても、同角成、同玉、44歩、同玉、36桂以下ぴったり詰みます。銀が成れば何かの時に香車をとれると判断しての銀成りだったかと思いますが、銀ならずで有効な受けはなく、先手の勝ちでした。渡辺大夢4段、惜しい一局でした。