浅香正博北海道大学消化器内科教授が、札幌で開かれている日本消化器病週間で、10月12日に、ピロリ菌と胃癌について、「ファイナルアンサー」と題して、講演を行った。浅香正博先生とは、私が1993年に北大で「大腸腫瘍のピット診断」の講演を行ったときからの知り合いである。当時は、講師で、消化器部門のハウプトであった。彼はテニスが趣味の貴公子である。


 講演の中で、教授は全国集計の結果、年齢訂正の日本人が生涯を通じて胃癌になる確率は、ピロリ菌抗体陽性者で11.2%、ピロリ菌陰性者で1.8%であったと 発表した。ピロリ菌の感染(もしくは感染の既往)は、胃癌の発生を6.2倍に増やしているというわけだ。また、教授自身の胃内部を示した。10年前はピロリ菌がいて、荒れた年寄り風のでこぼこ状態であったが、ピロリ菌除菌して、10年経過したいまは、つるつるてかてかの若くて健康な胃に戻っていると述べた。除菌は、若返りの一環でもある。


 胃癌の死亡者数は全国で約6万人である。除菌政策を採用すれば、少なくとも、胃癌の死亡者は2万人以下になるであろう。若年者のピロリ菌感染は、とくに、危険なので、ぜひ、退治すべきである。これ以上の政策の 。遅れは、重大な責任問題だ。ピロリ除菌政策を即時に採用しなければ、現在の厚生労働大臣をはじめ、同省役人は、近い将来、罰せられることになるであろう。


 当院では、ピロリ菌のチェックと除菌を行っています。1000例を超える経験があります。ご希望の方は、ご一報ください。

asaka-lecture2006