たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2017年05月

内視鏡による胃癌検診の実態にびっくり、ちょっと嘆かわしい発言

   シカゴで行われたDDWに引き続いて
先々週後半、内視鏡学会が大阪で行われました。続けて8日間も学会に参加したので さすがに、結構疲れました。

    
 
    富士フィルム後援のサテライトシンポジウム「胃癌内視鏡検診時代における経鼻内視鏡の位置づけのセッション」で気になる演者の発言がありました。疲れていますが聞き過ごせませんでした。

     「内視鏡検診では撮影枚数が60枚まで、そして生検するのは対象者の7%まで」と言う決まりを作っていて、それを実施している医療機関に課しているらしい。「決まりを破れば、検診代を払わない」そうだ。ピロリ菌はチェックしないらしい。そして、検査時間は経ったの5分だそうだ。
    演者はしきりにコストと画一化に言及した。そして、生検は、内視鏡診断の放棄だとまで言い切った 。だから7%以上の患者さんに生検をするのを、許さんということらしい。
    しかし、経験から言って、この内容と心構えでは小さな癌を見落とすだろう。検診を行なっている先生の技量向上も難しいだろう。見落としで訴えられる危険性も高い。
    時間とコストが足らないなら ピロリ菌の感染の既往がなくて、かつ、慢性胃炎のない ベリーローリスクの方々の内視鏡胃癌検診をやめればいいのではないか?。残ったハイリスク群でしっかりと時間と手間をかけて見落としがないようにすべきだ。
   ピロリ菌と慢性胃炎の進行程度をチェックせずに 全例を内視鏡検診の対象者にしているのは効率が悪い。
    内視鏡検診の実態がコストの関係でお粗末にならざるを得ないのであれば 全例内視鏡胃癌検診ではなく、ABC検診の方がいいでしょう。

   



ニューヨーク 行政府の強力 禁煙広告

 タバコの健康被害は 強烈だ。私も長年 内科医として タバコにやられた多くの患者を見て来た。つい先日もタバコと酒で、50才で進行食道がんになった患者さんが、やって来た。物が詰まって、食べられない。内視鏡で拡げて ステント入れてなんとか 食べられるようになった。タバコを吸わなければ、こんなことにはならなかった。

 今回のアメリカ旅行で、一番びっくりしたのは、地下鉄にあったこの広告
行政府のこの姿勢を日本も見習いたい

ニューヨークの禁煙ポスター2



Smoking is an addiction that is eating away at your brain
タバコは、あなたの脳に侵食する中毒です

Medicaid and your health care provider can help you quit
地方自治体や保険組合は、あなたの禁煙を助けます

New York State Department of Health
ニューヨーク州厚生局

  タバコはさきの食道癌だけでなく、肺がん、喉頭がん、咽頭癌、口腔癌、胃癌、膵臓がんなどなどの各種癌の原因となる。また、肺気腫、慢性気管支炎など呼吸器系にも深刻な障害を引き起こす。さらに、心臓にも悪影響があり、心筋梗塞や動脈硬化の増悪因子でもある。タバコなくなれば、医療費が15%下がるという推計もある。
  今、日本は2020年問題を抱えている。団塊の世代の後期高齢世代突入で、2020年から、健康を維持するお金が足らなくなる。

  タバコに今よりも多く課税して、価格を3倍にして、年間約6兆円の財源を生んで、赤字で苦しんでいる保険組合や自治体に分け与えるべきだ。アメリカや中国、それに多くのヨーロッパ諸国はすでにこのような政策をとっている。日本も、この政策を実行してこそ、先進国というものでしょう。

 日本の政治家の中にはタバコを吸っている人が多い。特に、ストレスを抱える出来る政治家はタバコを吸う傾向がある。今、厚労省は塩崎大臣のもと、オリンピックを控えて、分煙活動に一生懸命になっている。素晴らしいことだが、一部の愛煙政治家は反対して、厚労省は苦戦しているようだ。残念なことである。

 日本の行政府もタバコの害とタバコのやめ方をしっかりと国民に伝えるために、地下鉄やバス、鉄道など公共機関に広告を出すべきではないでしょうか?!






シカゴDDW2017に参加

 シカゴで開かれているアメリカ消化器病週間に来て 日本では聴けないような技術や研究を勉強しています。今回は内視鏡を始めた長男と一緒に来ています。アメリカでもESDが広く始まっているようですが、時代はESDからEFTR(内視鏡的全層切除術)と動いているようです。

DDW2017-1
DDW2017-2
DDW2017-3



DDW2017-4




 アフリカやアジアの開発と途上国では、B型肝炎が、かつての日本のように蔓延しています。B型肝炎ワクチンは織田敏次教授が40年前に開発しました。開発に成功した時の先生の高揚した講義を思い出しました。
 これらの国々のB型肝炎の撲滅に貢献することは日本の責務だと思います。



また、lumen-apposing-stentを用いた、胆のうと小腸、小腸と胃の吻合術はすごいと思いました。

ニューヨーク ワールドトレイドセンター 復興!

 明後日からシカゴで始まるアメリカ消化器病学会に参加しに アメリカに来ています。今日はニューヨークに立ち寄りました。

2001年9月11日 オサマビンラディンのグループが飛行機✈️を乗っ取ってワールドトレイドセンターのツインビルに突っ込んで、 二つのビルは火災を起こして崩れ落ちました。大勢のアメリカ人が死んで、その後アフガニスタン パキスタン イラク シリアとアラブの戦乱が続くことになりました。10年前に来たときは、まだまだ、跡地は荒れていましたが、今日来てみると 立派に 復興していました。これから、展望台に登ってみます。
   今日のニューヨークは素晴らしい天気です。

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