たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2016年12月

2016年を振り返って 医学医療編 進行胃がん(MP)の内視鏡治療に成功

 今年一年を振り返ると、医学医療の分野では、今年も「がん」と闘った一年だった。内視鏡による普通のポリープ切除以外にも、EMRやESD、その他FTR(消化管全層切除術)を行った。緊急出血の止血や、異物除去、術後狭窄の拡張、ステント挿入なども行った。他の医療機関では治療出来ないといわれて紹介されてきた難しい症例もあり、ぎりぎりの内視鏡手術を行ったこともあったが、なんとか重篤な合併症を起こさずに、患者さんを救い続けられたことを神様に感謝したい。
 なかでもとりわけ、今年もっとも印象的だったのは、MP(固有筋層)まで浸潤した胃癌を内視鏡で治療した症例だ。姑息的内視鏡治療が奏効したのである。ちょうど、京都3区の衆議院議員補選、選挙運動開始の直前だったので、なおさら、印象深い。
 症例は、70歳代の男性で、他に重篤な疾患があり、本来なら、開腹手術するところだったが、それができない。しかし、癌からは血がにじみ出続けていて、貧血が進行している。なんとかしなければならない。幸い、PETとEUSで転移がなさそうだったので、迷った挙句、ESD+αで進行癌の内視鏡的局所切除を試みて、幸いにも成功した。

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治療前

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治療後6カ月

 進行胃がんを内視鏡で治療することなど、原則適応外であるが、本例のような合併症がある症例については、サルベージ治療の選択肢の一つとして、ありうると考える。
 今年9月の東大医学部の同期会で、ある同期生が「がん撲滅」なんて出来るわけがないと言った。確かに、ある意味その通りであるが、今の科学技術を適用すれば減らすことはできる。本例もピロリ菌陽性、10年前にピロリ菌を退治していれば、こんな苦労はしなかったでしょう。
 来年も、自分やスタッフの健康に留意して、最先端の科学技術を情熱をもって提供し続けたい。

ところで、今年の中盤から、地方自治体が運営する国民保険の査定が尋常でなく、大変厳しいものになっている。赤字であるからといって、調べもせずに医学的不適当ということで無茶な査定を続けるのは、法の支配する国の公的機関の所業としては大変遺憾なものである。おおいに懸念している。(ちなみに会社が運営する社会保険の査定は変わっていない)
 


2016年を振り返って 政治編

 今年一年、薬を飲みながらも、健康に恵まれて、活動できたことを感謝しています。
 今年の一番出来事は、今春、京都3区の衆議院議員補欠選挙に立候補したことでした。負けて残念でしたが、いろいろと不利な条件のなかでの戦いでしたので、それなりに善戦したと思っています。たとえば、無所属の立候補者はテレビでの演説の機会が与えられません。私の「がん撲滅」「健康を国家戦略に」のスローガンは、良くよく説明しないと、社会にとってどのくらい大事かわかりにくいものです。
 オプジーボをはじめとした高額な分子標的薬剤が、各種疾患治療の柱として数多くつかわれるようになって、今年、医療費は年間四十兆円をこえて、四十四兆円に跳ね上がっています。今年の後半、オプジーボの高価格が社会問題としてマスコミに取り上げられました。そのときでしたら、私の主張ももっと浸透していたかもしれません。
 「がん」や「健康」はお年寄りだけでなく、若い人たちにも本当は切実な問題なのです。政治が間違えば、助かる「命」も助からず、失わなくていい「健康」も失ってしまします。しかし、そればかりではありません。払わなくてもいい「お金」も支払うはめになるのです。地方自治体は、国民健康保険の運営をしてますが、今年は、医療費の増加で相当苦しんでいます。
  国民の健康と経済、生活を考えれば、いまこそ、効果のある健康政策が求められている・・・・・来年も頑張ります。
 
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