たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2013年06月

MEJ 新生パーティーに参加

 7:00からホテルニューオータニの曙の間で、MEJもパーティーがあった。6:50ころ到着すると、会場はすでに人で埋め尽くされて、まるで、朝の地下鉄のラッシュ時のよう、事務局の人たち、医療関係の企業の方々と各国大使館関係者、医療関係者、政治家などにくわえて、マスコミも多数取材に訪れていた。1.5m先にだれがいるのかわからないくらい込み合っていた。政治がらみのパーティーはずいぶんと込み合うものだなと妙に感心。政治系のパーティーは早くいって名札を確認するくらいでないとだめよという言っていた奥様に脱帽。
 
 さて、山本事務総長の開会のあいさつの後、田村厚労大臣、茂木経産大臣の挨拶があった。茂木大臣のあいさつの途中に、安倍総理が到着して早速挨拶。
 「・・・・父は膵臓がんで死んだが、聞くと膵臓がんは遺伝するらしい。膵臓がんの治療に力を入れてほしい。母は、84歳であるが、選挙のたびに若返っています。・・・・・」

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 確かに、膵ー胆管系のがんは、ここ10年うなぎ上りの増え方で、ここ数年は、膵臓がんで、年約3万人、胆管系がんで2万人が死んでいる。胃癌約5万人、大腸がん約4万人の死亡者数であるから、確かに、膵胆管系のがんの予防や治療にも、画期的な解決策がほしいところだ。
 
 私としては、膵臓がんのがん遺伝子の突然変異のパターンから、COX2阻害剤の投与が膵臓がんの予防に有効なのではないかと思っている。米国で治験が進行中でその結果に興味津々のところであるが、私のクリニックでは安倍総理のような家族歴のある人や、慢性膵炎や膵嚢胞のあるハイリスク患者に、もう10年位前から、COX2阻害剤を自由診療で使っている。たしかに、その人たちの中で、新たに膵臓がんになった人はいない。

 安倍総理と企業関係者や大使館関係者との撮影が終わり、安倍総理が退席すると、人が半分くらい減って身動き可能となった。赤いジャケットがお似合いの丸川厚労副大臣やたどたどしい日本語を話すトルコ大使館の人、癌研の前総長、武藤徹一郎先生などと名刺交換をして会場を後にした。  
 

がん予防と株価の行方 揺れる「安倍ノミックス」  潜む 消費税引き上げと景気回復の問題

 

 「がん予防と株価は密接に関連している。」唐突に聞こえるかもしれないが、長年、がん予防の仕事をしていて痛切に感じたことだ。

 お金がなくなると、当たり前だが、将来の病気に備えて、検査しようとする人は減るのである。1997年、消費税3%から5%に上がり、経済が先折れして、1998年、山一証券会社が倒れた。どの企業の保険組合もがん予防で大腸内視鏡を行うゆとりはなくなり、当時、広まりつつあった「大腸癌予防には大腸内視鏡検査」の流れがとまり、「大腸癌予防は便潜血だけでいい」という方向に保険組合は流れた。とある保険組合の事務長から、「これからは、大腸内視鏡で検診して、ポリープを取るのは役員だけにしてください。一般社員は内視鏡検診は不要です。」と言われたのもそのころである。

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2012年6月から2013年6月12日までの日経平均株価の推移


 5月23日を境にして、上昇を続けていた株価が一気に下落した。16000円前後から13000円前後に一気に下がった。(ここ数日の流れをみると13000円前後で下げ止まりそうであるが・・・)「安倍首相の発表した第3の矢が経済に与える影響がたいしたことがない。」という海外の投資家の判断と言われたが、勿論それもあったが、テクニカル的にこの辺で利益確定すべきという「コンピュータープログラム」の判断が、重なったためと思われる。問題は、どんなパラメーターがコンピューターに入れられているかということである。「来年3月、消費税が5%から8%に上がる」というのが、そろそろ、織り込まれてきたのではあるまいか? 来年になれば、消費税が上がり、景気回復が腰折れになるという判断が海外の投資家のコンピュータープログラムに入っているに違いない。

 「消費税引き上げ」と「景気回復ムードの維持」。何をどう考えてどうするか、深い洞察力を必要とする政治的局面が目の前に突き付けられたようだ。

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大輪朝顔が育つ

 

自民党からもらった大輪朝顔の種を5月10日に種播きをした。その朝顔が芽を出して、朝顔が育ってきた。7月21日の参議院議員選挙のころには花を咲かせるだろうか?

 ちなみに、種をまいて、芽を出すのは10個中3個ぐらいだった。不妊症に悩むカップルも10%ぐらい、妊娠が成立してもいろんな事情でおろす命が約50万/年(妊娠の約3割)(表の発表は30万人・・・・・)。人も植物も命をつなぐ難しさは同じかと妙に感心した。
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第20回 UEGW(アムステルダム)に参加 

 今回のUEGWは、消化管の内視鏡の分野では、日本勢の大活躍であった。ESDをはじめとした内視鏡治療技術と、拡大観察とIEE(NBI)を中心とした診断技術の教育の場といっても過言ではなかった。ヨーロッパが日本を上回っていたのは、confocal endoscopy の分野ぐらいであった。


 しかし、2003年に開発されて、かつて一世を風靡したダブルバルーンの話はすでになく、医療は日進月歩であることを再認識させられた。中国や韓国の先生方からも未来のありそうな発表があった。ヨーロッパの人々も優秀な人々なので、今回の教育内容に、4-5年で追い付いてくるであろう。日本勢も一層の研鑽して真に患者を救う技術を開発して、知識と知恵を積み重ねていかねばならない。



 アムステルダムの町は、ドバイと比べると、たばこ臭く、麻薬臭く、薄汚くいやな感じであるが、人は多く、栄光と衰退を繰り返したポテンシャルのある町だった。しかし、水路の水位は高く、北海とは大きな堤防で隔離されているとはいえ、今や海抜ー7mなのだそうだ。


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日本癌学会学術総会 札幌で開催される 

 学会に参加するときは、クリニックを休んでしまうので、前後は忙しくなる。20日からの参加予定であったので、少しでも緩和しようと、19日は水曜日であったが、振り替えでクリニックを開いたところ、なぜか、新患も急患も多く、加えて、スタッフの急病で、結局、朝までかかって徹夜となった。こんなときは、学会に行っても間違いなく、寝てしまうので、参加しても無駄なのであるが、時々起きて、話が聞けることもある。しかし、やはり情けない。飛行機もホテルも予約していたので、朝6:10の朝一の飛行機に乗って、札幌に出かけた。飛行機は座ってから降りる直前まで、寝ていたようで、離陸も着陸も覚えていない。


 今回の学会は参加登録4500名、演題約3000台。20日の昼には、James P. Allison先生の抗CTLA-4抗体(ipilibmab)による悪性黒色腫の治療の話を聞いた。2-3年前から注目されている治療法で、今回は、抗CTLA-4抗体(ipilibmab)に、IVAXを加えて治療すると、悪性黒色腫の治療成績が飛躍的に改善するという話であった。ものの見事に消えた肺転移巣画像を見せてもらった。この薬を使えば、これまで効果がほとんどなかった癌免疫治療も新たなる時代に入りそうだ。


 20日の昼からは、シンポジウム「癌研究と社会」を聞く。分子標的薬剤関係の研究費は他国に比べてアメリカは莫大で、開発された新薬はたいていアメリカ系資本で、高価で日本の貿易赤字の原因となり始めている。先の抗CTLA-4抗体(ipilibmab)はFDAで承認されたが、1クール12万ドル、今の為替で、約950万円とか。目もくらむ金額である。この高価な薬、日本にはまだ入ってきていない。


 このような事態を背景に、中村祐輔先生が、日本発の抗ガン剤、日本の利益という観点をかなり強く訴えていた。たしかに、日本の学者にもいい種が多くあるので、なんとか、国内で薬が開発できないものかと思う。結局は日本国民が新規 の実験台になることを嫌がれば、日本国内開発は難しいであろう。時代は動き、今日の新しいものは、明日の古いものとなる。効きにくい薬はより効く薬に負ける。実験台という言葉は刺激的であるが、次の時代を切り開くためには、国民の意識改革も大切だと思う。


 ただ、癌克服は人類の夢なので、日本だろうとアメリカであろうと、また、別の第3国であろうと誰が開発してもいいのではないだろうか。貿易収支の問題は、別の分野でアメリカや他国に売れるものがあれば、それでいいのだから。


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米国DDW サンディエゴで開催される 

 5/19午後0:00に学会場に到着。ポスター、主に工藤進英教授の教室の一連のポスター発表を見て、4:00から
New Technology for the Therapeutic Endoscopy
に参加したところで、珍事は起きた。これまで何回も、いろんな国で学会には出ていたが、こんなことは初めての出来事であった。最後から2人目のプレゼンター(Endoscopic Visualization of the Entire Small Intestine in 27 Consecutive Patient Using Novel Motorized Spiral Endoscope | 285 |  Paul A. Akerman)が螺旋型小腸内視鏡を発表を初めて5分ぐらいのとき、がっしりとした感じのアフリカ系アメリカ人(真黒な黒人)が、演台につかつかと歩み寄って発表者に何やらぶつぶつと迫った。ちょうど、新しくバージョンアップした螺旋型の内視鏡を人体に初めて適用した結果を述べているときだったので、その実験台にされてトラブルが起きたのかととも思った。そして、Akermanがアフリカ系アメリカ人(真黒な黒人)に対して「yes」と言ったかと思うと 、黒い人はよくわからない英語で演説を始めた。すぐに若い白人の女性のスタッフが駆け付けたが、演説は3-4分続いた。若い白人の女性のスタッフはアフリカ系アメリカ人を興奮させないように注意しながら、「出て行きましょう」と促していた。しかし、アフリカ系黒人はその場にとどまり、ついに、「もう時間がありません。私は90ドル払わなければ、牢屋に入れられる。」この言葉を何回も繰り返しはじめた。


 物乞いだったのだ。


 次の発表者(Gastrointestinal Tissue Sampling With Endoscopically Deployed and Retrieved Sub-Millimeter Wireless Microtools 5:00 | 286 | )  Florin M. Selaru1が、いくらか渡した。かえると思いきや、さらに数分粘った。結局それ以上暴れなかったので、警察も呼ばれず、終わったが、セッションの時間が短くなって、2人の演題の質問と討論の時間が省略された。日本でもアメリカでもヨーロッパでも、中国でもタイでも韓国でも台湾でもチェコでもロシアでも、こんなことはなかった。ちなみに、サンディエゴの町には物乞いがあふれていた。アメリカはプロテスタントの国(労働で生きる国)とおもっていたが、カトリック的な国(施しで生きる国)に変貌しているようだ。


 ちなみに、螺旋形内視鏡は、バージョンアップして、ドライブ部分をモーターにして分離していた。約半分の症例で、平均20-30分でほぼすべての小腸が観察できたと報告していた。発表に誇大がなければ、現在のバルーン小腸内視鏡は半分見るにも90分ぐらいかかるので、ひょっとすると螺旋形小腸内視鏡は今のバルーン型小腸内視鏡を凌駕するかもしれない。

 

 5/20 今日から企業の展示ブースが開いた。アメリカでも Fujinon の名前が消えて、今年は、Fuji Film となっていた。1998年に私が撮ったEC485ZWによる色素拡大内視鏡の写真が今年もブースに使われていた。当時の担当者は誰も残っていないけれど、この2枚の写真、よっぽど気に入られているようだ。クリスタルバイオレットとメチレンブルーの二重染色であるのだが、この画像当時は何を意味するのかよくわからなかった。しかし、今の目で見ると、腺管の形や核層の厚さが明瞭に観察され、間質に浸潤している白血球と思われる細胞の核も明瞭に見えている。また、焦点深度が今のEC590zwシリーズより深いので、全体的な拡大観察にも成功している。たしかに素晴らしい画像だ。


 ちなみに、画素数は85万画素(画像解析で130万画素表示)で史上最大の画素数を搭載した内視鏡であった。14年前は記録媒体も乏しく、この画像と動画を残すのに、画像を4台のコンピューターに分けて記録し、さらに再合成をするという手間がかかった。プロセッサーの処理能力は当時は低かったので、画像は15秒に一こま。したがって、ちらついて、臨床的には辛かった。この内視鏡があまり売れなくて、当時のM社長が突然解任されて、このスコープの次もなくなったのであるが、最近のプロセッサーで見るとちらつきもとれていて、すばらしい絵が出る。

 

 5/21 10:00からのAGA Presidential Plenary に参加。冒頭のPresident's Announcement (by Prof C. Richard Boland) を聞いていると、アメリカで行われている医療改革に、現場の医師は反対のようである。会場の大画面に氷山に向かうタイタニック号のスライドを表示しながら、Prof C. Richard Boland会長は「医療は危機に向かっている。この改革は涙なしでは語れない。危機に向かっている中で、われわれは一致団結しなければならない。団結してわれわれの意見をワシントンに届けよう。」と訴えていた。


 また、同じPresidential Plenaryセッション How will we prevent colorectal cancer in the future  において、Prof Dennis J. Ahnen はここ20年ぐらい、アメリカでは大腸癌の死亡者数は減ったが、これは、われわれが大腸内視鏡を行いポリープをとってきたからだと述べた。


いいニュースです。(つべこべいわないで)私たちがすること(大腸内視鏡検査)はよくみえるでしょう。


 確かに、このスライドは説得力がある。1975年にくらべて2010年では大腸癌の訂正死亡率は約半分となっている。また、大腸内視鏡によるスクリーニングの実施割合が、対象年齢のなんと65%もあるのだ。スクリーニング法として、日本ではずっと便潜血が採用されてきた。国立癌研究センターの疫学部門のお偉いさんは、免疫学的便潜血反応の開発者で、この間も日本の学会で大腸内視鏡検査は大腸癌死亡者数を減らすには無効で、大腸癌死亡者数を減らすには便潜血しかないようなことを言っていたが、彼はこういうデータをまったく勉強していないのであろうか。


 私は、便潜血陰性なのに進行大腸癌で死んだ人や便潜血反応が陽性となって大腸癌が見つかったが病状が進み過ぎていて、死んだ人々を何人も見てきた。私は1996年の厚生省の班会議のメンバーの一人であったが、その時、既に便潜血反応の限界は指摘されていたはずだ。大腸内視鏡検査にもっと重きを置いていれば、日本の大腸がんの死亡者数も今の半分になっていただろうと思われる。二万人/年×20年÷2=二十万人。これが、政策間違いによる大腸癌死亡者数のおおよその数字である。

「ポリープ(平坦陥凹型腫瘍も含む)を取れば大腸癌は発生しない。」「大腸ポリープ(平坦陥凹型腫瘍も含む)をすべて取るべきだ。」


 この理念を捨てて、私に社会的圧力を加え始めたときに、厚生労働省の役人は二十万人を密かに殺しはじめていたのだ。このことが、このアメリカのデータをみれば、明らかにわかる。世界に冠たる医療体制と、野田首相は胸を張る。しかし、「癌の罹患者が65万人で死亡者が34~35万人」という日本の現実は、とても世界に冠たるなどという言葉は使えず、知識と知恵に基づいた、不断の改善努力を迫っているのである。

 

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日本消化器病学会 東京 に参加 

 シカゴから中一日の移動日を置いて、13日から新宿の京王ホテルで、日本の消化器病学会が開かれた。3月11日の大震災の影響で、日本医学会、日本内科学会、日本外科学会、日本消化器内視鏡学会が、それぞれ、中止、中止、紙上開催、延期となる中で、日本消化器病学会は、会長の慶応大学教授日比先生の「こんな時こそ科学的に勉強することは大切」という強い意向で開催された。他の学会が開始されなかった影響もあるのか、約8000人にも及ぶ参加者で、近年では一番の参加人数であったという。私は炎症性腸疾患のセッションを中心に参加したが、抗TNFα抗体が話題の中心であった。2005-6年ごろのアメリカDDWと同じような内容であった。アメリカに遅れること約6年、日本でも、クローン病のトップダウン治療が市民権を得たようだ。


 日比先生の意気に応じたなかなか良い学会であった。


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病気腎移植について

 病気の腎臓を移植して、腎不全透析患者を救った万波先生が、非難されている。患者を救うのが医師の使命であるから、私は、患者を救った万波先生を非難するのは間違いだと思う。

  病気の腎臓が、レシピー(移植された側の患者)にとって、どれほど有害なのか、関連学会は、今後しっかり検討してみる必要があろう。移植しなければ死んでしまう腎不全患者と、ゴミ箱に捨てられる腎臓を目の前にして、移植の達人が、社会的にも生物学的にも崩れていく患者を救おうとして、成功した医療行為を、手続違反という理由だけで、非難すべきではない。非難すれば、医師自らの使命と倫理の放棄になろう。病気腎でも人が助かることがあるという事実を重く受け止め、その適応と限界を研究することこそ、関連学会に、今、求められている課題ではないだろうか。

あるある大辞典 ねつ造 発覚

2007年1月7日放映のあるある大辞典「納豆ダイエット」がねつ造であったことが発覚した。本日の毎日新聞の朝刊を見ると、

「関西テレビ(大阪市北区)は20日、今月7日にフジテレビ系で全国放送したテレビ番組「発掘!あるある大事典2」で、事実とは異なる内容が含まれていたと発表した。「納豆を食べるとダイエットができる」との内容だったが、研究者のコメントや被験者の検査データをねつ造していた。同テレビは社内に調査委員会を設け、原因の究明を行うとともに過去の放送分についても検証を行い、番組を継続するかどうかを含めて検討する。また、21日に放送予定だった同番組は、テーマは納豆ではないが、別の番組に差し替え、冒頭で一連の経緯を説明する。」

とある。

 昨年2月、あるある大辞典の番組制作に協力を依頼されたときに、発表するにしては、症例数が少なすぎることを指摘していた。いい加減な取り組みの姿勢に、不快感を覚えたものである。クロロフィル投与で毒素が追い出されるという番組のテーマであった。私へのミッションは小腸組織の採取であった。小腸の内視鏡を行ってみると、クロロフィル投与した人の小腸のほうが、投与していない人の小腸よりも荒れていたのである。症例数がどちらも1例ずつで、実験の名に値しないものであったが、番組では、さも命題が証明されたかのように述べられていた。誇張し過ぎである。

 いま、マスコミに放映されている、健康補助食品の効果も、その多くは眉唾である。きっちりと科学的に実証されていないにもかかわらず、商品を売ろうとして、お題目を垂れ流す姿勢は、社会に大きな害悪をもたらす。黒酢やLG21の広告も怪しい。

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