たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2011年11月

TPP(trans-pacific strategic partnership)について 今度はフジテレビからインタビューを受ける。

 11日の昼休み、今度はフジテレビの岡本歩さんから電話がかかってきた。TPPに関する取材であった。今夜のFNNスーパーニュースに間に合わせたいから、今から取材したいといわれた。20分だけならOKということで了解。午後2:00からカメラがまわった。内容はテレ朝とほとんど同じ。夕方からの放映は約15秒。内容はオバマ政権の医療改革の部分が中心であった。木村太郎キャスターがコメントの形で、私と同じ様な主旨の内容を発言していた。


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TPP(trans-pacific strategic partnership)について テレ朝からインタビューを受ける。

 野田首相がTPPへの参加表明をするということで、農業系議員連や日本医師会などがと「TPP参加絶対反対」と随分と盛り上がっている。農業系の議員連は、野田首相がTPP参加を表明するなら、民主党から離脱すると言っている。農業の自由化は、安い農作物が入ってきて農家が困るということだ。また、日本医師会は、アメリカの利潤追求の医療制度を押しつけられると、日本式の社会保険医療制度がつぶされるないかと考えて、反対している。また、混合診療の解禁を迫られ、金持ちでなければ医療が受けられなくなるのではないかと危惧している。一方、産業界は製品の輸出にプラスになるので、賛成している。


 10日の昼休み、テレビ朝日のモーニングバードのディレクター門上晋一朗さんから突然電話がかかってきた。「TPPについて、先生のお考えはいかがですか?」「私はTPP参加には賛成です。」と答えたところ、あれこれと事細かに質問してきた。それはこう、それはああと、答えているうちに、「きょうの夜7:00にインタビューに伺いたい。」ということになった。


 午後七時の約束であったが、六本木からの道が混んでいて、到着は60分ほど遅れ、8時であった。カメラスタッフもついて来ていた。早速、インタビューが始まる。インタビューヤーは、 テレビ朝日のモーニングバードのレポーターの清水貴之さん。


Q「医療が自由化されると、アメリカの医療が入ってくるでしょうか?」

A「自由化されると、部分的には入ってくるところもあるでしょうが、大きく入ってこないと思います。日本の医療水準は臓器移植以外の分野では、ほぼ世界最高のレベルで、アメリカに引けを取るものではありません。とくに、私が専門としている消化器内視鏡や消化器手術の分野では、日本の医療レベルのほうがアメリカよりもずっと上です。これは私が長年、アメリカや欧州の学会に参加して、直接見聞きしたことですから間違いないでしょう。しかも安価に提供されています。ですから、アメリカの医療と競争すれば必ずや日本の医療が勝つでしょう。したがって、アメリカの医療機関が日本に入ってくるということは、まず、現実には起こらないでしょう。むしろ、消化器内視鏡などの世界トップレベルの日本の医療が海外に進出していくことが予想されます。わたしも、アメリカで内視鏡をしたいくらいですから。」


Q「日本の医療は、すべての分野で本当に世界レベルですか?」

A「たしかに、臓器移植などの日本が遅れている分野では海外勢が参入してくるかもしれません。しかし、入ってくることができる分野は、つまりは、日本の医療の遅れているところですから、病気が治らなくて困っている患者さんが助けられるということになり、それはそれでいいことだと思います。」


Q「地方の開業医のレベルでは、太刀打ちできないこともあるのではないですか?」

A「保険診療を行う日本の開業医は、アメリカにくらべて、安い価格で診療しています。ですからそんな利益の薄いところに、もしかしたら、赤字になるかもしれないところに、しかも「日本語」という文化障壁もあるのに、利益追求の企業が参入してくるとは、とても考えられません。それに地方の開業医の先生方も勉強している方はほんとうによく勉強していらっしゃいますよ。」


Q「TPPに参加したら、アメリカから押しつけられて、日本の医療が営利主義になってしまうのではという危惧がありますが、先生はいかがお考えでしょうか?」

A「アメリカの営利主義的な医療体系は、非人道的な悲劇をもたらし、アメリカ国内でも反省されています。たとえば、骨髄移植を受ければ治る可能性が高かった白血病の少女がいましたが、彼女は貧乏で、彼女の加入していた保険は骨髄移植をカバーしていませんでした。そのため、保険会社は彼女に骨髄移植の治療を認めませんでした、結局、少女は骨髄移植を受けられないまま、白血病で死んでしまいました。少女が死んだあと、少女の母が保険会社を訴えて勝利しました。保険会社の社長は財産を抱えてメキシコに逃亡、保険会社は解散となりました。この事件は、社会保険がよくゆきと届いている日本では、ちょっと考えられないような事件です。クリントン国務長官やオバマ大統領は、こんな自国の非人道的な医療体系を憂慮して、むしろ日本型の社会保険制度を医療に導入しようという医療改革を推し進めています。そんな人たちが政権を取るくらいですから、アメリカが日本に営利主義的な医療体系を押しつけてくるとは思えません。」


Q「TPPに参加しても、今の日本の国民皆保険の社会保険制度は大丈夫でしょうか?」

A「まちがいなく大丈夫です。社会保険制度をかえるには、健康保険法の改正が必要です。国会の議決なく現行の制度を変えるわけにはいきません。日本人は元来、相互扶助の精神がつよい国民性を持っていますから、アメリカ型の医療体系を選択することはまずないでしょう。それに、さきほども申し上げましたように、アメリカの民主党は日本型の社会保険制度を高く評価していますから、アメリカが日本に営利主義的な医療体系を押しつけてくるとは思えません。むしろ、TPPを利用して、アメリカ政府が国内の医療制度を日本型に変更するかもしれません。」


Q「先生の話を聞いていると、たしかに、医療制度は大丈夫かもしれませんが、TPPに参加するとアメリカの高い薬を買わされて、日本が損をするということはないでしょうか?」

A「アバスチンやレミケードなどの分子標的薬剤のことですね。たしかに、それらは月に数十万円します。これらの分子標的薬剤は、輸入額としてすでに1兆2000億円もかかっているという話が今年の博多のJDDWで出ていました。TPPに参加するしないに関わらず、この問題はすでに発生しています。ですからこの問題でTPP参加に反対というのは筋違いです。アバスチンもレミケードもここ数年で保険収載されました。それは、これらの薬がよく効くことがあるからです。治る薬を評価して採用することは、日本の医療レベルを高める上で是非必要なことです。治らなかった患者さんが治ってくるのですから。これらの薬の成功に釣られて、今や、多数の分子標的薬剤が開発されています。今後、多数の分子標的薬剤が臨床 上に現れてくるでしょう。しかし、分子標的薬剤の効果は限定的なものもあり、薬によって微妙に異なります。特定の癌が完全に治ってしまうという夢の抗がん剤もあれば、ちょっとだけしか延命できないという薬もあると思います。これからは、費用対効果の点から取捨選択や競争による価格の低下が起こってくるでしょう。」


Q「TPP参加は、医療を受ける国民にとってどのような影響があるでしょうか?」

A「現在の日本における保険医療の最大の問題点は財政的な問題です。社会保険では企業の作る保険組合が医療費を支払うわけですが、業種によっては黒字のところもあるようですが、全体として赤字が多いようです。30年前は社会保険の自己負担割合は通常1割でしたが、不況が長く続き、経済が悪化していったため、自己負担分が切り上げられて、今は3割となっています。ちなみに、もし、TPPへの参加によって企業の業績が良くなれば、保険組合の財政もよくなって、自己負担分が昔のように下がるかもしれません。」


 インタビューは約45分であった。翌朝のモーニングバードでは編集されて、約45秒間放映された。アメリカの医療改革について、マスコミの人たちはあまりご存じでなかったらしく、その部分が大きく取り上げられていた。


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大腸癌の原因は腸内微生物か? 

 今年のUEGWの発表で、注目された分野は、腸内細菌であった。腸内のゲノムと肥満や糖尿病、各種疾患の関係が研究され始めていた。もともと、大腸内には、細菌をはじめとするおおくの微生物がいて、ゲノムの種類は300万にも達するのだそうだ。人間の遺伝子の数10倍の種類があるという。それらが近年の解析技術の進歩によって、網羅的な解析が可能になったのだ。


  中でも興味深かったのは大腸がんと腸内内容物(ゲノム)の話だ。腸内細菌がいないねずみは大腸がんにならないそうだ。そこで、腸内細菌のいないねずみに、大腸がん患者Kの腸内内容物と、大腸腫瘍のない人Nの腸内内容物をいれて、各々におけるAberrant crypt fociという、小さな大腸腫瘍の発生個数を調べたところ、図のごとく、大腸がん患者の腸内容物を入れたものの方が、よりたくさん、Aberrant crypt fociという、小さな大腸腫瘍が発生したという。なお、図の中にあるAOMというのは、発癌物質のことである。ねずみに大腸腫瘍のない人の腸内内容物を入れた場合は、ほとんど腫瘍は出来ないが、ねずみに大腸がんの人の腸内容物を入れた時は、腫瘍が出来て、AOMという発癌物質により、腫瘍は更に多く出来てきた。

 


 また、その原理を解明するために、各種の細胞変異因子がどのように誘発されるかを測定したのが下の図である。大腸がんの患者の腸内内容物は、大腸腫瘍のない人の腸内内容物に比べて、ELF3、KFL4、MATH1、HES1などの増殖因子を多く誘導していた。



 この研究から類推すると、数年後には、「xxx細菌が大腸がん・大腸腫瘍の原因である」という可能性もある。つまり、「ピロリ菌が感染しなければ、胃癌は、ほとんどまったく発生しない。 」と同じように「xxx菌がなければ大腸がん・大腸腫瘍は発生しない」ということになっているかもしれない。


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