たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2011年03月

あと10週間、梅雨の始まる前に、放射性物質の封じ込めを! 

 政府は、原子炉2号機の原子炉の破損と燃料棒の破損、核燃料の融解と放射能物質の漏れをやっと認めた。原子炉に爆発があったのは3月12日から15日ごろであったから、それ以来、放射性物質の漏れが続いている。垂れ流しを封じ込める方策も模索中で、政府・東電は放射線の漏れに対する対策を、アメリカやフランスの専門家にも打診しているらしい。今のところ、放射能の垂れ流しは、いつ終わるともしれないという。事態は深刻だ。

 

 放射性物質の被害は、汚染の程度の比例し、汚染の程度は風向きと天候と垂れ流しの期間に比例する。つまり、健康被害は風向きと天候と垂れ流し期間に比例することになる。関東平野の汚染が進行するのは、北東の風が吹いてしかも、雨が降るときだ。

 

 この1週間、東京の放射能レベルは下がり続けている。それは、北東の風が吹かなかったからだ。

 

 しかし、あと10週間経つと関東平野は梅雨に入る。梅雨になると低気圧が関東平野の南を通過して、その時、北東の風が吹き、雨が降る。つまり、東京にとっての最悪の風向きと天候になるのである。したがって、梅雨が始める前に放射性物質を封じ込めなければならない。

 

 福島原子力発電所の原子炉からの放射性物質の漏れに対して、政府はいろいろと対策を考えているようだ。官房長官は、汚染された廃液はタンカーに載せるとか、原子炉の上にテントを張るとか、放射能を帯びた瓦礫の表面を樹脂で固めるとかいっていた。「原子炉から立ち上る煙を巨大ダクトで吸い取って、数千個の空気清浄機にかける」のも手っ取り早い有効な方法だと思う。

 

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放射性物質の被ばくによる健康被害は、発癌。一般的な癌の増加も理論的には否定できない

 放射性物質による医学上の健康被害は発がんである。汚染された食物や飲み物からの内部被ばくが一番の発癌リスクである。まず、第一に放射性ヨードによる甲状腺癌の発生が心配である。被ばくを受けて、1年から数年で甲状腺癌は発生してくる。定期的なエコー検査が必要だ。次に、その他の核種としては、やはり、プルトニウムによる肺癌が心配である。各地のプルトニウムの汚染の状況を正確に測定して、放射性ヨードのように情報公開してほしいところだ。

 

 その他の癌の発生も増加する可能性は理論上、十分あり得る。もともと、2人に1人は癌になる時代なので、増加したかどうか、確かめるには疫学的な調査を待たなければならない。5-10年して、この事故以来、癌発生が若年シフトしたとか、癌の罹患率が上昇したという形で立証されるだろう。癌検診の重要性は一層増したように思う。

 

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福島原子力発電所からの放射性物質の流失が続く。放射性物質は原子炉本体から流出していると認識。一刻も早い放射性物質の封じ込めを! 

 3月12日、3月15日の連続爆発以来、福島原子力発電所からの放射能の流出が止まらない。東電はプランAにそって、冷却による核反応の停止を目指して、水を原子炉に注入し続けている。しかし、うまくいっておらず、放射性物質は大気と海水に放出され続けている。風向きにより東京地区にも放射性物質がやってくる。今のところ直ちに、体に被害が出るレベルではないが、1年も垂れ流しが続けば、健康被害がでる。


 今日、原子炉のわきのタービンの入っている建物の底にたまっている水から、極めて高濃度の放射性物質が発見されたとの発表があった。発見された核種から、原子炉の中では核燃料棒が壊れて、核反応が続いているのは間違いないようだ。その筋のとある患者さんがいうには、「1号機の燃料棒に制御棒がうまくはまっていなくて制御されていない。また、3号機の中にはプルトニウムがあって、プルトニウムも漏れているらしい。」真偽のほどは不明だが、プルトニウムは半減期が極めて長く、1グラムで肺癌患者50万人という、噂もある。


 原子炉が壊れてはいないものの、垂れ流しが続けば、チェルノブイリ以上の被害が予想される。放射能の垂れ流しは早急に解決しなければならない。テレビで見ると、東電の人たちはかなり疲れていて、ちょっと荷が重すぎるようだ。全日本チームを作って、早急に有効な解決策、プランBを示して、一刻も早く解決してほしいものだ。


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難治性食道癌術後吻合部線維性狭窄の内視鏡的治療に成功 

 食道癌の術後に吻合部がときに狭窄して、食べ物が通らなくなることがある。どんなに手術の上手な施設でも時々起る厄介な術後合併症だ。狭窄には膜様の狭窄と線維性の狭窄がある。膜様の狭窄は、狭窄部位が短く、バルーンでの拡張を繰り返すと大半の症例で、改善してくる。しかし、線維性狭窄は難治で、治療は一筋縄ではいかない。食道癌手術で有名な順天堂大学の梶山教授( 大学の同級生)のところでも、このような症例は治療に大変苦労しているらしく、彼の弟子が書いた総論を読むと、バルーン拡張を何度も繰り返すしかないと書いてある。

 

 さて、今回、バルーン拡張を何回も繰り返したが、すぐに悪化して、4カ月も食事が食べられなくて困っている症例があるので、なんとか治してくれないかと、関連施設の病院から依頼された。大病院から小さなクリニックに紹介されて、患者はおっかなびっくりやってきた。いろいろと調べたところ、狭窄はほとんど閉塞しており、無理してやっと直径2mmのカテーテル型の超音波内視鏡が通せるぐらいであった。長さは約5-6センチで、線維幅は1cm以上であった。APC(アルゴンプラズマ)で線維を焼き、焼きかすを根気強く丁寧にはぎとり、トンネルを掘った。


 途中、何回も出血して大変であったが、なんとか成功し、直径10mmの内視鏡が貫通した。しかし、1週間ほうっておくと、線維が急速に増殖してきて、すぐに閉塞してしまう。そこで、十分広げた後に、着脱式の新型のステントを挿入して、治療に成功した。


 患者さんが喜んだのはいうまでもない。今回行った方法は優れていて、食道癌術後吻合部線維性狭窄の内視鏡的治療の標準方法となるのではないかと 考えている。


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福島原子力発電所で臨界事故や爆発事故が続き、東京でも異常放射能が微量検出される。 ただし健康にはまったく影響のないレベル 

 3月15日未明に、発電所で爆発(使用済み燃料の臨界爆発?)があり、運悪く北東の風に乗って、その日の午前中には、東京でも異常放射能が検出されていたそうです。しかし、レベルはかなり低 く、健康にはまったく問題のないレベルでした。今日になって昨日の重大事を発表するといった、政府の対応のまずさに、あきれるばかりです。海外のメディアを読んでみると、米国やフランスやドイツ、イスラエル政府なども日本政府の対応を非難し心配しています。こういうときは想定される最悪の事態の説明を行って、その対策とその後の成り行きのシナリオを理路整然と国民に説明するべきだと思います。

 

  東京都のホームページには、うちのクリニックの近く新宿区で測定した放射線レベルの測定値が1時間ごとに速報されています。来院の際の、ご参考にしてください。政府に批判的な石原都知事の行っていることですから、うそやごまかしは一切ないと思います。

 

クリニックの近辺の放射線濃度を知りたいときはここをクリック

 

クリニックのある関東平野の風向きを知りたいときはここをクリック

 

 チェルノブイリの段階まで深刻な事態になる可能性は諸説あってよくわかりませんが、50%くらいありそうです 。東京は福島原発からは約250km離れているので直接の影響は考えにくいですが、東京はそのときの風向きが問題です。 私の判断では、低気圧が関東南岸を通過するとき以外は、大丈夫だろうと思っています。

 

 16日午後から、東京では強い北西の風が吹きました。東京都の測定値を見ると、強風が吹いて、放射能の値が下がりました。

 

 しかし、安定ヨウ素剤の配布をすべき時がきていると思います。

 

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首都圏輪番停電開始、鉄道麻痺 当院は輪番停電ありません。

 大地震のあと、電力が必要量の75%しかないということで、輪番停電が開始されて、鉄道が混乱しています。当院でも、看護婦さんは通勤不能、受付嬢は、10時出勤となりましたが、ほとんど、いつもどおりに診療できています。

 

 当クリニックは、自衛隊の基地のそばで、輪番停電からははずされています。

 

 遠方から来る再診の患者さんで、移動手段が難しい場合には、お電話にて、ご連絡してください。お薬もしくは処方箋を送ります。

 

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大津波と福島原子力発電所で爆発 

 大地震のあと、東北の大津波(一部では15m)の被害が伝えられて、暗い気持ちになっていましたが、知り合いから生きているとのメールが入り、無事が判明して、ひとまずは安堵しました。しかし、家は津波で流されたそうで、これからどうするのか心配です。

 

 午後に福島原発で爆発(水素爆発)があったと発表がありました。死傷者も出ている模様です。万一に備えて、家族のうち何人かを岡山へ向かわせました。

 

 チェルノブイリのときは、放射性ヨード131による子供の甲状腺がんが増えました。ただ、放射性ヨード131の半減期は8.1日と短いので対策は短期で済みます。問題は、放射性のセシウム137です。半減期が30年なので、これが環境にばら撒かれると、長期にわたる汚染で白血病や癌などの頻度が高くなるといった大変なことになりそうです。

 

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大地震 しかし クリニックは無事 通常診療続行の方針 

 午後2時26分から、数分間大きく揺れました。ちょうど大腸内視鏡検査をしていましたが、一時中断。揺れが途中から強くなり、一瞬もうだめかと思いました。そして、2回目の地震が30分後に来て、激しい縦揺れで、だっだっだっだっだと10数秒続いときは、直下型で、今度こそだめかと思いました。しかし、建物は幸いにも何とか崩れずに済みました。揺れが終わったあと、大腸内視鏡検査は続行できました。


 そのほか、電気、水道、ガスなども無事で、今日、予定していた診療や内視鏡検査は、いつもどおりに終えることが出来ました。

 

 東北地方は大津波で壊滅したようです。相馬に、知り合いがいるのですが、連絡が取れません。生きているか心配です。

 

 首都圏では帰宅困難で、電車が動かず、多くの人が歩いて帰宅となりました。山の手どおりを7-8キロ先まで徒歩で帰っているという人が4人ほどトイレを借りに来ました。 災害のときは助け合いこそ基本ということで、喜んでお貸ししました。

 

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東京大学消化器内科 第一回同窓会でささやかれた、厚生労働省の不作為の過失。その過失で約70万人の日本人が胃癌で死んだ。 

 1983年に「慢性胃炎はピロリ菌が原因の感染症だ」とオーストラリアのヲーレン教授が唱えた。そして、その後の疫学的研究で、胃癌の原因もピロリ菌であることが有力となり、1994年WHOは全世界に向けて「胃癌の一番の原因はピロリ菌である。」と宣言した。

 

 ところが、わが国の政府、当時の厚生省はこれを認めなかった。なぜなら、国立がんセンターに入院していた胃癌患者のピロリ菌の抗体価を測定してみると、約1/3が陰性であったのである。

 

 しかし、しかし、である。その後の研究で、重大な事実が判明する。オーストラリアのピロリ菌と日本のピロリ菌は、同じではなかったのだ。当時の測定方法は、オーストラリアのピロリ菌に対する抗体価に対するものであって、日本のピロリ菌に対する抗体価ではなかったのである。

 

 研究は続き、それでは、ピロリ菌を退治したら、胃癌の発生は減るのかと言うことになった。2000年代の前半、日本各地の大学や病院7-8箇所で、ピロリ菌を退治したグループでは、ピロリ菌を放置したグループに比べて、除菌したグループでは、除菌成功後3年たつと、胃癌の発生率が平均五分の一に下がることが判明したのである。症例対象は日本人で1300例を超える。しかし、厚生労働省はこれを一蹴して、香港のわずか100例前後のNew England Journal Of Medicine 論文を盾に、自らの無謬性を今でも貫いている。

 

 これが昨今、国会で取り上げられたらしい。三木先生の話によると、浅香教授が国会に呼ばれた。議員さんから「胃癌は感染症なのか?」と尋ねられて、北大の浅香教授が「そうです。その通りです。」と答えたそうだ。肝炎ウィルスと同じ、厚生労働省の不作為の過失。その過失で約70万人の日本人が胃癌で死んだという真実が、厚生労働省のお役人様に突きつけられる日がついに来たのだろうか?

 

 ただ、行政の混乱は医療現場にとって決して好ましくない。なんとか速やかに、人の輪も崩れず、胃癌も効果的に予防できる体制に移行できるように、願っているのは、三木先生も私も同じ考えだ。

 

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東京大学消化器内科 第一回同窓会 第一回の不思議と消化管クループの憂鬱 

 東京大学消化器内科の第一回同窓会が、小池教授の下、後楽園ホテルで開催された。火曜日の夜であったにもかかわらず、ざっと、200名ぐらい集まっていた。和気藹々とビール片手に旧交を温めてきた。

 

 さて、伝統ある東京大学で、消化器内科の同窓会がなぜ第一回なのか?それには少々込みいった事情がある。

 

 そもそも、私が東京大学を卒業した1984年には、東京大学に消化器内科はなかった。内科といえば、第一内科、第二内科、第三内科、第四内科、物療内科、神経内科、老人科の7つがあった。神経内科だけは、専門分化していたが、その他の6つの内科には、それぞれ、胃腸を研究対象とする内視鏡を担当する研究室があった。また、第一、第二、第三内科には、肝臓病を専門とする研究室があった。当時は、それぞれの内科教室で、全人的な医療が行われていたのである。ちなみに、私は物療内科の第15研究室、通称、消化器研に属していた。

 

 しかし、教授がインパクトファクターの合計点で選ばれる時代となり、全人的な医療よりも臓器別、疾患系統別に専門的な医療や医学研究がしたい、という時代の要請で、1998年に、内科が再編成されて、東京大学消化器内科が生まれたのである。

 

 初代の消化器内科の教授はなぜか千葉大出身の小俣政男先生であった。小俣先生の専門は肝臓病であった。私の学年で、内視鏡や消化管を専門としていたものは8名いたが、大学に残って研究していた4名は、残念ながら、全員大学を追い出された。当時の学内の内紛の様子は開業していた私にも、漏れ伝わってきていた。とても、同窓会といった雰囲気ではなかったのである。

 

 1998年の改変時に、なぜ、消化器内科でなく、肝臓内科と消化管内科に分けなかったのか?

 

 2009年に就任した二代目の小池教授の専門も肝臓病(肝炎ウィルス)である。小池先生は東大卒で一内の肝臓グループの出身である。消化管グループの憂鬱はまだまだ続いている。

 

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