たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2010年06月

しめ鯖食べた後の急な腹痛は、やっぱり、アニサキスでした。  

 生の海産物、しめ鯖、いかさし、マグロの刺身などを食べた後、数時間後から急に腹痛があるときは、アニサキス症を疑うのが定石。アニサキスは細長い1-4cm長の虫であり、魚など海の生き物の筋肉内に寄生する。主に胃壁に食いつくのであるが、壁の薄い小腸に食いつくと腸壁を破り、腹膜炎を起こすこともあり、その際はときに命に危険が及ぶこともある。今は亡き、名優 、森繁久弥さんもかつてアニサキスに襲われて、小腸を食い破られそうになり大変だったそうだ。


 先日の深夜、カプセル小腸内視鏡のデータを整理していると、近所の人から電話がかかってきた。しめ鯖を食べた後、数時間後から、腹痛が発生し続いているという。、胃腸を洗浄して、内視鏡を行ったところ、やっぱりアニサキスがいました。内視鏡で取り出し、その後、腹痛から回復。アニサキス症は来始めると続きやすい。土曜日の深夜まで、がんばってくれたスタッフに感謝。

 

 

画面をクリックするとビデオになります。

アニサキスが粘膜内に潜り込もうとしている動作が観察できます。

 

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自民族に対する精神病理学的な虐待

  私の母校である岡山芳泉高校の初代教頭、佐藤峰夫先生は、若かりし頃、あのインパール作戦に赴いた。佐藤峰夫先生は、 大変立派な先生で、人格者であり、教育に熱心であった 。運動会や文化祭などの締めとして行われた万歳三唱の音頭は、必ず、先生が行った。その鬼気迫る迫力は、とても印象深いものがあった。新設高校 の教頭として、何代にもわたって生徒たちから尊敬されていた。晩年の著作の中で、次のように、インパール作戦を述べていらっしゃる。


  「
昭和19年3月、大本営でさえ成算に自信のなかったインパール作戦が東條の応諾でもって発動され、雨期と無補給と飢えのためにすべての兵士が、生きたまま幽鬼のように衰癆(すいろう)し、英印軍の砲弾で死ぬ以前に、大半がジャングルのなかで溶けるように死んだ。(中略)戦争の定義から外れた作戦で、自民族に対する精神病理学的な虐待としかいいようがないものであった。」


  今から、5年ほど前に、タイのバンコクの熱帯医学研究所を訪れた際、タイの教授が次のようにいった。「マラリアもデング熱も蚊で媒介されますが、蚊の種類が違い、マラリアを媒介する蚊は水のきれいなところ、デング熱を媒介する蚊は水の汚い所に発生します。かつて、日本軍が分け入ったタイとビルマの国境は、タイ国内でも有数の水のきれいなところ、つまり、マラリアの流行地です。タイ人はよく知っているので、そんなところに大切な軍隊を送り込みはしません。」


 無知で傲慢な政府役人などの権力者が非合理的な指令を出し、従わねば見せしめとして人々を懲罰し、自民族を虐待している精神病理は、確かに何も今に始まったことではない。しかし、いまは時代が違うはずだ。医療従事者や患者をHIV感染症の危機にさらすような指令を出す政府役人は、即刻、処分されなければならない。

 

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医師と同じく医療のできる「特定看護師制度」は、今の日本では無理。

「特定看護師制度」よりも、手術前のHIVチェックを奨励し、HIVの蔓延を防いで欲しい。

  厚生労働省は、特定看護師制度をどうしても推進したいらしい。大切な予算と人を割いて、特定看護師制度に関する大規模なアンケートを実施するという。この制度が、今の日本の医療にどれだけの恩恵をもたらすか、大変疑問だ。


 以前も述べたが、看護師と医師はその基盤において、大変大きな差がある。必要とされる基礎学力にも大きな差が歴然とあり、加えて、医師国家試験の合格は、サボれば、東大理Ⅲ合格者にも簡単ではない。


 また、国家試験を受けるまでの習錬も、並大抵ではない。命を預かる重みを医師はその訓練課程から、また、長い実践経験から学びとっていく。チーム医療といえども、現場では厳しい選択を迫られる場合も多く、その際、最終判断を下すのは、そういった習練を積んだ医師であり、それは孤独で責任のある仕事である。


 アメリカ帰りの先生方が現場を知らぬ役人に働きかけて、アメリカと同じ粗悪で廉価な医療制度を日本に広めようとしているとしか思えてならない。このアンケートを実施する余力が政府にあるなら、手術前にHIVの血液検査をすることが、医療機関の負担になってしまう現実を改善するために、予算を付けてほしい。

 

 HIVは、目の届かないところで、ひそかに広く広まっている。渋谷にある診療所では、HIV陽性者が多すぎるため、血液検体の回収に特殊な容器が用いられるそうだ。当院でもまれであるが、若者の初診患者に、 時に、HIV陽性者がいる。HIVの確定検査を行い、保健所に届けようとするのだが、その前に患者は消える。


 まだ、社会保険庁があった数年前、東大病院に社会保険庁の恒例の監査が入った。外科では、手術前に全例HIV検査をしていたが、それは、社会保険では認められないといわれて、全額削られたことがあった。社会保険庁の指導に従い、東大病院の手術室は、HIVに対して無防備になってしまったのである。


 噂に聞くと、横浜のとある病院では、患者に同意を取った上で、HIVの検査を患者負担で測定していたが、それは、病院職員のためであって、患者のためではないから、患者にお金を返すようにと、政府からの指導があったそうだ。HIV患者の外見は普通の人と変わらない。HIVの感染チェックは決して病院職員のためだけでなく、患者のためでもあることは間違いない。薬で治る梅毒の術前の感染チェックは保険で認められていて、HIVは認められていないのである。不合理の極みと言わざるを得ず、日本政府がこんなに情けないかと思うと、日本人であることに涙がでる。

 

 


肛門部に見つかった大きなパピローマ。HIV陽性であった。

 

ちなみに当院では、器具の洗浄には公式に認められた「オゾンとオートクレーブ」を用いていて、院内感染には細心の注意を払っています。

 

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菅首相誕生、施政方針演説で、ライフイノベーションも第3の道。 

 6月はじめに、鳩山総理大臣と小沢幹事長が退陣して、菅直人さんが民主党の代表になった。6月4日に国会で総理大臣に選出されて、6月8日に組閣した。そして、6月11日に施政方針演説を行った。「今の日本には、雇用の悪化、財政の悪化、社会保障の悪化、という大きな3つの問題がある。自民党内閣当時の市場原理主義では、この3つの問題は解決せず、『社会保障に税金をつぎ込むことで、雇用を生み出し、子供を作り、経済を浮揚させて、財政を改善する。』という第3の道で日本を再生させる。」と述べた。その中で、3つのイノベーションに言及したが、そのうち、ひとつがライフイノベーションであった。


 ただし、これに言及したものの、具体策は述べなかった。一生のうち癌にかかる人が6割、死因の4割が癌という今の日本にあって、癌予防はライフイノベーションの重要なパートである。知恵のある効果的ながん予防政策を、菅直人民主党は提出できるのであろうか?

 

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