たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2009年11月

欧州消化器病学会 Gastro London 2009 

 今年の欧州消化器病学会は、ロンドンの新しいウォーターフロント、エクセルロンドンで開催された。日本の学界にはない、前日のレセプションパーティーにヘンリー8世(たぶん ?偽物)が現れて、大いに盛り上がった。学会には世界各地から4万人もの参加者があった。以前に比べて、中東諸国からの参加者の増加が感じられた。


 エクセルロンドンは大きな学会場で、わかりやすい作りでよかったが、ロンドンシティ空港のすぐそばで、飛行機が真上を通過し、時折、学会の部屋の中まで騒音が木霊して、うるさく、とても、気になった。



 今回は「陥凹型早期大腸癌は、ほかの形の癌よりもより早く浸潤する」「The Depressed Colorectal Cancer invades more rapidly than other type」をポスター発表した。WEBプログラム上では★★★★の評価をもらった。


  発表要旨は1994年の厚生省の班会議での発表と同じであるが、症例数はずっと増えた。症例数が増えても結論はかわらなかった。やはり、陥凹型大腸癌は見落とせない癌なのである。

 

 ロンドンの街は渋滞していて、オリンピック前景気に沸いているように見える。


 学会でも新しいmiRNAやsiRNAによる新薬、新検査法など、新薬、新治療法など、次の時代を感じさせる発表が種種、見受けられた。

はまったレセプトプログラム作り

 昨年秋から、社会保険医療も取り扱うようになった。いろいろとレセコンを見たが、「一連の行為」を分別するレセコンが市販されていなかった。「一連の行為」というのはプライベート的に大変意味深い概念なのだが、社会の扱いは小さい。そこで、周囲の反対を振り切って、自前でレセプトプログラム作りをおこなった。


 もともと、凝り性なので、この春に、なんとか曲がりなりのプログラムを作り上げることができた。その後、少しずつ改良、改善して、走っている。各種プログラムがうまく走った時の快感は、詰将棋を説いたときと同じものがある。苦しみからの開放感・達成感がなんとも言えない。今の社会保険のルール、細則は、難解で複雑で、麻雀の50倍ぐらいの複雑なルールである。まあ、業界人の閉鎖性を守るためにはこの複雑難解性しかないのだろうが、この複雑難解性をプログラムにしてしまう楽しみは格別であった。


 しかし、この官僚たちの考えた難解複雑性は、言うまでもなく、一般の医療界にとっては害悪だ。私の偏執癖は、プログラム作りに快感を見出したが、医師としては、本来は医学の研究や臨床に励むべきであったろう。


 一般的には、こんな複雑なルールのもとでは、業界は発展しない。皆さんの見ての通り、今の医療界は、ルールの複雑難解性につぶされ、「人の病気を治して、命を救う」という大義が、複雑難解なルールの森の蔭に埋もれてしまった。それは、まさに厚生官僚たちの狙い通りであった。


 ちなみに保険薬局のルールは極めて簡単で簡素なルールだ。だからこそ、政府に守られて、この15年、業界は未曾有の発展を遂げた。しかし、3兆円のこの業界、医療現場から3兆円の利益を奪ったに過ぎないような気がする。薬価差益が社会的に批判されて、保険薬局は生まれてきたのだが、薬価差益があれば、病院の労働環境はもうちょっとましであったことであろう。利益分配は、やはり、苦労して頑張っている現場の人たちに手厚くすべきだと思うがいかがであろうか?

 

 ところで、私の「一連の行為」の入るレセプトプログラムを商品化したい企業があれば、お申し出ください。

 

クリニックの案内・地図(ポリープ切除付)無痛内視鏡消化管ドック田渕正文院長の履歴

田淵正文院長の業績消化器疾患について超音波による前立腺がん治療:HIFU | E-mail |

中目黒消化器クリニックの第2ホームページ| 職員募集

たばこ増税について 

 民主党政権が、たばこ増税策を打ち出した。大賛成だ。

 

 タバコの肺がん発生のオッズ比は、アメリカで20ぐらい、大気汚染の激しかったころの日本で4から5である。日本の大気汚染はかなり良くなってきているので、今の日本では、たばこの肺がん発生のオッズ比は、その間の10ぐらいと予想される。つまり、たばこを吸っていると10倍も肺がんになりやすいのである。そして、肺がんの死亡者数は日本全体で、年間約8万人。1日に直すと約230人ぐらいが肺がんで死んでいる。

 

 オッズ比が10ぐらいだから、もし、たばこが販売禁止にできれば、年間の肺がんの死亡者数は約11分の1に減ることになる。肺がんの医療費は、数兆円レベル。そのほどんどが高額医療で、国庫負担となるのだから、多少税収が減ろうとも、政府の財政的にも、増税策は理にかなった政策である。ところが、これまで、その政策が本邦で施行されなかったことこそが、我が国の官僚政治の後進性を如実に示している。肺がんは本人だけでなく、家族の悲しみも大きい。

 

 ちなみに、アメリカでは、10年くらい前に、「たばこ産業は健康保険の基金に、年7兆円支払え。」という判決がでた。その後、今はどうなっているかはよく知らないのだが、私が診た肺がん患者は、みな、愛煙家であった。そして、他人はともあれ、自分だけは肺がんにならないと考えていた。

 

 人の命を救うためにも、政府の財政を良くするためにも、やっぱり、大増税しかない!

 

クリニックの案内・地図(ポリープ切除付)無痛内視鏡消化管ドック田渕正文院長の履歴

田淵正文院長の業績消化器疾患について超音波による前立腺がん治療:HIFU | E-mail |

中目黒消化器クリニックの第2ホームページ| 職員募集

 

アーカイブ
カテゴリー
  • ライブドアブログ