たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2009年07月

同級生が大腸癌で危篤 

 かつて、一時期同じ所で働いていた大学の同級生が、大腸癌で危篤との報が入った。残念だ。残念でならない。

 

 私は28歳の時、「大腸内視鏡を志すなら、自分でも大腸内視鏡検査がどんなものか体験してみなさい。」という先輩先生方のお勧めで、先輩の先生に大腸内視鏡をしてもらった。2mmの白色のポリープがS状結腸に見つかった。検査をしていただいた先輩の先生にティーチングスコープで病変の画像を見せてもらった。先輩の先生いわく、「田渕君、どうしましょうか?君は若いから腫瘍の可能性は低いけどね・・・・」。

 

 当時はまだ、ファイバー内視鏡が主流でピット診断はない時代だった。いまからみれば画像が粗く、腫瘍かどうかは判然としない。2mmだが、万が一、もし癌だったら困る。よく見ると少し張った感じがして目立つ気もする。やっぱり怪しいと思い、ホットバイオプシーしてもらった。病理結果は、中等度異型大腸腺腫。わずか2mmでも癌になる可能性の高い病変であった。爾来、定期的にチェックして、大腸ポリープを切除してきた。

 

 その後の私の研究では、そのような腫瘍性ポリープが癌化する確率は一年で約1.3パーセント。あの時、この病変は小さいから取らなくていいですと選択していたら、私が彼のようになっていた確率は約30%強。彼のことは決して他人事ではない。

 

 去年の秋の癌学会の話によると、今の日本では全死亡者数110万人。55%の人が癌になり、37%の人が癌で死んでいるそうだ。癌の患者の大腸内視鏡検査をすると、大腸腺腫は97%以上の確率で見つかる。つまり、大腸腺腫がなければ癌にならないというわけだ。内視鏡で大腸を隈なくよく見て、小さな病変にも拡大内視鏡を用いて的確にアプローチするということは決して無駄なことではない、むしろ、必須だ。

 

 しかるに、昨今の大腸内視鏡の現状をみると、小泉改革で医療界がいじめられた結果、人々の心が荒廃して、日本中に粗診粗療が蔓延している。日本全体の大腸がん死亡数が、ここ数年、上昇してきたのは理由があるのだ。

 

 彼も35歳ぐらいから、定期的に大腸内視鏡検査を受けて、ポリープを取っていれば、こんなことにはならなかった。

 

クリニックの案内・地図(ポリープ切除付)無痛内視鏡消化管ドック田渕正文院長の履歴

田淵正文院長の業績消化器疾患について超音波による前立腺がん治療:HIFU | E-mail |

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禁煙のすすめ、たばこ販売の禁止 

 多発性大腸ポリープでフォローアップ中の患者さんのうち、3人が、この一年で肺癌になった。3人とも、喫煙者であった。大腸ポリープが多数見つかって、「あなたは腫瘍体質で癌ができやすいから、喫煙をやめてください。」と勧めたが、たばこをやめなかった人たちである。大腸にポリープが多発してくるのは、決して偶然ではない。体質的に腫瘍ができやすいということなのである。


 タバコの癖が抜けないのは、気の弱い人の性だ。やはり、たばこの販売禁止で喫煙をやめさせるのが、肺がん抑制の決め手であろう。日本では一年に約8万人が肺がんで死んでいる。1日約230人。合掌。

 

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