たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2009年06月

女子マラソンの草分け 佐々木七恵さん死去

 女子マラソンが初めて五輪で実施された1984年ロサンゼルス大会代表で、日本女子マラソンの草分け的存在だった永田七恵(ながた・ななえ、旧姓佐々木)さんが27日に直腸がんで亡くなっていたことが分かった。53歳だった。岩手県大船渡市出身。葬儀は29日、都内で親族らによる密葬で行われた。関係者によると、約2年前から直腸がんの治療を受けていたという。 (スポニチ記事の一部) 


 また、一人有名人が大腸癌で死にました。日本女性の死因のトップは大腸癌です。いま日本では、毎年、約4万人強が大腸癌で死んでいます。1日約110人大腸癌で死んでいます。50歳になったら、内視鏡による大腸がん検診を受けましょう。定期的に大腸ポリープをとれば、ほぼ100%、大腸癌による死亡を防げます。


 

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大阪城   

 12歳の時、大阪万博が開かれて、親戚の家に泊まりながら、何度も万博に通った。その時から、遠くにそびえ見える大阪城を一度訪れてみたいと思っていた。今日は、東京から新幹線に乗って大阪へ行った。用事が早く済んだので、大阪城に立ち寄ることができた。

 天気は快晴。大阪城公園から入る。ロックバンドが賑やかで楽しい。外堀を越えてから今度は内堀。ぐるぐると30分ぐらい回らされる。大阪城の内堀、外堀の高低差、石垣の高さは、江戸城をはるかに凌いでいた。また、正面の門にある石垣の最大70平米を超えそうな巨石は圧倒的であった。どうやって運んだのであろうか?豊臣秀吉の権勢がしのばれる。この城に立てこもれば確かに安心だったに違いない。落城トラウマのある淀君が、しゃにむに大阪城を離れたくなかったのは、当然だろう。

 

 事実、大阪冬の陣では、徳川幕府の大軍を追い返したのである。しかし、徳川幕府方の巧みな外交戦術に騙されて、外堀を埋められて、砲弾が天守閣まで届くようになり、大阪夏の陣では落城の憂き目にあった。淀君と秀頼公が自害した蔵は、高い石垣の上にあった。いまだに、暗く悲しい雰囲気が周囲に漂っていた。敵の戦略に騙されないほどの、巧妙な知恵がなければ、負けて死に絶えるのも道理だが、基本的には大砲がものをいったのだ。

 ちなみに、明治維新では、維新軍には鍋島公が開発したアームストロング砲があった。その新技術の射程は長く、江戸城に逃げ場はなかった。戦わずして江戸幕府側は開城するよりほかなかったのである。近代の戦争は、科学技術の戦いであり、より強力な兵器を持つ側が勝つ。第二次世界大戦でも、戦闘機・爆撃機の開発、原爆の開発、レーダーの開発、暗号解読技術の開発などなどの競争に負けて、日本は敗戦の憂き目にあった。いくら精神論を説こうとも、竹やりでは機関銃には勝てない。



 医療の戦いも同じ。いい薬ができれば、病気は簡単に治る。問題は治療法のない病気だ。

 

 最近、内視鏡を作るのに、一本一本お役所の認可を取らなければならなくなったらしい。ステンレスの材質をニッケルからクロムに変えるだけで、多くの書類を用意しなければならないそうだ。知見も必要で費用と手間もばかにならないそうだ。また、企業と大学の間での自由な研究的な交流にも、役所が介入してくる。だから、最近は新しい内視鏡が作れないのだそうだ。いい鉄砲(内視鏡)が作りにくくなれば、戦争には勝てない。官僚は、「安心安全の日本」「消費者保護」という標語を逆手にとり、医療機器や薬剤などの規制をますます強くして、外郭団体をさらに増やし、退職後の天下り先を用意するのに躍起だ。不自由になった日本では、技術開発が頓挫して、新薬、新医療機器が無くなっている。認可は外圧のみ?!という現状だ。小泉行政改革は「官僚による官僚のための官僚の政府」を作ったのに過ぎなかった。

 

 いま、病気と闘っている先輩医師のがんじがらにされた姿をみて、これでは無理だと、新兵が外科や内視鏡などの現場系に入ってこないのは当然だ。

官僚と政府が変らなければ、良心が滅び、産業が滅び、国が滅びると本気で感じる。

 

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パピローマワクチン:アメリカではテレビで盛んに啓蒙活動!日本では認可すらされていない!

 ところで、シカゴではテレビで、パピローマワクチンを受けるようにという啓蒙活動ビデオが、毎朝毎晩、何回も流れていた。

 

 最近当院を訪れてくる若い人の初診の内視鏡では、その3分の1くらいの人にパピローマがある。日本の社会保険医療の現場では、抗パピローマ抗体価を調べると、過剰診療と査定される 。したがって、一般に調べられない。そのため、若者に広がるパピローマの実態については日本では誰も知らない。幸い、当院にはFICEシステムの付いた拡大内視鏡がある。特徴的な毛細血管像を観察することで、パピローマが簡単に診断できる。そのため、そこを組織検査して、パピローマとの診断が得られるわけであるが、それにしても、3人に1人とはすごい頻度だ。そのうち一人には、HIV感染者もいた。

 

 パピローマは、日本でもアメリカ同様、若者の間でキスや性交渉を通じて広がっている。

 

 ちなみに、抗HIV抗体検査、抗パピローマウィルス抗体検査も、社会保険医療の現場では、査定の対象である。1300円の検査代(利益はその20%ぐらいつまり、2-300円)を通すために症状詳記を書かなくてはいけない。また、書いても財務事情で認められない。というわけで、一般には、どの医療機関も赤字を恐れて、誰も調べない。逆にまた、必要があると感じて調べ続けると、過剰医療傾向のある医師ということで、ブラックリスト(ほんとはホワイトリストだと思うのだが・・・)に載り、ますます、査定されるようになる。ほかの項目も。というわけもあって、G7先進諸国の中で、HIVが増えているのは、日本だけというお粗末な事情になっている。

 

 パピローマウィルスもHIVウィルスも 、日本では増加の一途をたどっているが、社会保険医療の現場では査定の対象となっている。

 

 調べてみると、日本では、パピローマワクチンが売っていない。また、政府から認可がないので使えない。パピローマウィルスは、子宮頚癌の原因となるばかりでなく、口腔癌、咽頭癌、食道癌、肛門癌の原因 でもある。日本政府は、インフルエンザウィルスに敏感になるのと同じく、若い世代を守るためにパピローマ対策もしっかりする必要がある。

 

 繰り返し言うが、日本政府は国民を守るために、 パピローマウィルスとHIVウィルス対策を強化する必要がある。パピローマワクチンの早期認可は緊急の課題であろう。

 

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Chicago 街歩き

    今日は快晴、観光日。シカゴフィールドミュージアムとプラネタリウム、シカゴ美術館をめぐる。

プラネタリウムから望む快晴のシカゴの町並み 、空には宣伝の垂れ幕をひくセスナ機が飛んでいる。

 

 まず、午前中は、シカゴフィールドミュージアムへ。恐竜の3D映画がよかった。館内には、中央ホールには恐竜 とアフリカ象が展示されていた。恐竜は象と同じくらいの高さで、長さは3-4倍ぐらい。 大型トレーラーぐらいか。昔思い描いていた恐竜のイメージと比べて、結構小さい。


 次に、プラネタリウムへ。銀河系や太陽系や地球の3D映画を見るが、解説もなく、いまいちであった。やっぱり、プラネタリウムではプラネタリウムを見るべきであった。


 最後にシカゴ美術館へ。シカゴ美術館は印象派の絵画と浮世絵コレクションで有名。浮世絵の展示場には、お目当ての葛飾北斎の 富岳36景、神奈川沖波裏の版画は、残念ながら展示されていなかった。展示されていた浮世絵は2-3流のものばかりで、ハッキリ言って手抜き展示。それに比べて、印象派の展示は しっかりしていた。貯蔵品は展示品の30倍あるそうだ。いろんな美術館を見たが、展示はかなり下手な部類に入る。

 

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Chicago DDW 2009 第6日目に参加 再生と癌治療の新しいパラダイム

    シカゴは昨日と打って変わって快晴。だが気温は3月上旬並み。

 

   朝一番で、幹細胞のセッションに参加。京都大学医学部消化器内科学教授の千葉勉先生の講演を聴く。山中先生のiPLのその後の展開についての話であった。ポイントは、基の細胞を繊維細胞から、胃の細胞や肝臓の細胞に変えてみると、より質の良いiPL細胞が得られたということ。iPL細胞の中に残存するc-myc遺伝子の量が減って、腫瘍生成のリスクが低くなったうえに、遺伝子の状態がより、生殖幹細胞に近づいた。iPL細胞の腫瘍生成性は、c-mycにのみ依存し、レトロウィルスには関係しないこと。元の細胞が分化したものであるほど、c-mycの取り込みが低いこと。などを強調しておられた。



講演後質問に答える千葉勉教授。

ちなみに今回、偶然にも同じホテルに宿泊。エレベーターで遭遇し、互いに驚いた。

 

 朝二番目は、miRNAのセッションに参加。特定のmiRNAを用いた試験管レベルの癌治療の研究が発表されていたが、話を聞いていると、10年のうちに、進行状態でも原理的に癌が治る時代が来そうな気がしてきた。

 午後はIBDの癌化のシンポに参加。それにて、今年のDDWは終了。

 

 35年前に山陽放送の巽社長や延原部長、野﨑敏生さんなどなどに連れられて、シカゴの街を訪れた際は、黒いすすけた町であったが、今はそんな印象はない。ハイブリッドバスが走り空気はきれいだ。2016年、今から7年後、この町と東京  どっちがオリンピックを開くのだろうか?

宿泊したトランプタワーホテル、92階建てでシカゴ第2の高さ。ここで、バットマン3のロケが行われた。

 

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Chicago DDW 2009 第5日目に参加 経済の落ち込みの影とデジタル政府の落とし穴

    シカゴは昨日に引き続いて、午前中は雨。

 

 朝ホテルのエレベーターで偶然、京都大学消化器内科教授千葉勉先生と乗り合わせる。千葉先生とは先生が教授になる前、神戸にいらっしゃったころから、何回かお会いしている。海外で偶然出会うのは2度目。この前は、2003年秋のスペインマドリッドのUEGWのときで、ピカソのゲルニカで有名な王立美術館で偶然お会いした。

 

 先生はご夫妻で来ていらっしゃっていて、美術館の中庭で、いろいろとお話しした。その時、すりがいて急に荷物がなくなりそうになるなど、ちょっとした異変があった。しかし、その時は、特にちょっと変だなという程度であった。その後、美術館をでて70-80mご一緒して、先生ご夫妻は地下鉄へ入る階段を降り、私は大通り沿いのマクドナルドへ向かった。私は、そのまま安全であったのであるが、先生ご夫妻は、私と別れて15秒後に、後ろから、柔道でいう絞めをかけられて失神。気がついたら、パスポートも含めて、金目のものはすべて取られていたそうである。(後で日本で先生ご自身から聞いた話)。実は、私もマドリード滞在中に、2度すり未遂にあった。一度は先ほど述べた王立美術館であったのだが、もう一度は、ゴヤのマハの絵があるマドリード中心の美術館近くの広場で、物乞いの形で近づいてきた老婆が、新聞で視線を防いで、胸ポケットに指を入れるという手口であった。すぐに気がついて、36計逃げるにしかず、ということで、体をひねって走って逃げて難を逃れた。

 

 ということで、「先生と会うとちょっとしんぱいだなー」「お気をつけください」という挨拶となった。しかし、ここはホテルの中、何の心配もない。ドアの外でも、マドリードに比べれば、現在のシカゴは安全そう、シカゴの中心街や美術館前にも怪しい浮浪者がほとんどいなかった。2016のオリンピックは東京で開催してほしいと思っているが、もし東京開催がうまくいかなかったとしても、シカゴはまだしも、マドリードだけはぜひ避けてほしいところだ。

 

 アメリカDDWには1999年以来、2003年を除いて、すべて出席している。そして、今回が10回目。今日は、これまで見たこともなかったセッションが3つもあった。1)開業医の縮小の仕方、2)内視鏡室の効率化、3)医師の医療評価。

 

  また、毎日発行しているDDW新聞には、「現在の経済の落ち込みを受けて、オバマ大統領は、消化器病に関する医療単価の見直しを来年までに行う予定」と書いてあった。このような社会情勢を受けて、学会がこれらのテーマを選んだのであろう。1998年の山一証券の破綻の少しあとのころ、日本消化器病学会がDPCについてセッションを開いたことがあるが、社会的セッションをこれほど多く開いたことはない。2)と3)が同時に開かれていたので、3)に出席。

 ある演者が、デジタル化したレセプト内容を、医師の医療評価の材料とする説明をしていた。まさに、日本政府が今、目指している全レセプトの電子化である。その中で、「実は、上院のコンピューターの中にすべての レセプトデータがあったのであるが、ハックされて、「viky」がすべて「biky」に書き換えられた。結果、被害は数千億円に上った。」とコメント。この前、日本でも、国交省と厚生労働省のホームページがハックされて書き換えられた。しかし、「休みであったので2-3日放置された」ことがニュースになっていたが、行政のデジタル化は、ちょっと危険そうである。デジタル化を進めるにあたっては、システムを相当慎重に構築する必要がありそうだ。

 

 あとは、老化防止の抗酸化物質を併用すると、大腸がんに対するオギザロプラチンの薬効が上がったとか、大腸腫瘍・ポリープの鋸歯状の変化はDNAのメチレーションや、BRAFが関係していて、RASがメインの大腸腺腫とは別の癌化ルートだとか、磁石板でカプセル内視鏡の姿勢を制御するとか、コンフォーカル内視鏡で菌が大腸粘膜のなかに入り込む像とか、結構面白い内容であった。


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Chicago DDW 2009 第4日目に参加 認知されつつある陥凹型大腸腫瘍 

 行くところが、悪いのだろうが、本日の目新しいことといったら、さまざまな大腸や小腸の挿入のための補助機器ぐらいだった。らせんのスパイラルをつけたチューブと、内視鏡に装着するダブルバルーン挿入補助装置。


 
大腸のセッションでは、アメリカの先生が陥凹型大腸腫瘍の発表をしていた。日本の学会で、陥凹型大腸腫瘍が認知されて、その臨床的特徴が議論されたのは、1980年代後半から1990年代前半であった。アメリカの学会は陥凹型大腸腫瘍の存在を長年にわたって無視していた。しかし、日本からアメリカへの留学生が臨床で見つけたり、ヨーロッパ学会がその存在を2000年代の前半に認めたことなどの経緯があって、どうやら、アメリカでも陥凹型大腸腫瘍という概念を認知し始めたようだ。しかし、いろいろな発表を聞いていると、一部の施設を除いて、陥凹型大腸腫瘍の存在が雑誌や学会でわかっていてもそんなに見つからないというのが、今の彼らの現実のようだ。ちょうど1980年代後半の日本と同じであろうか。


 ポスター展示では、アメリカの退役軍人病院から、男性の肥満が大腸腫瘍とリンクしているという発表があった。私の長年の大腸腫瘍のデータベースを基に、3-5年前に北山丈二先生と解析して、発表した内容とほとんど同じだったので驚いた。

 

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