たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2009年05月

Chicago DDW 2009 第3日目に参加 富士フィルムのブースで私の写真を発見 

 5月の学会のついに最後にして最長の学会に突入。成田からJAL便に約12時間乗って、午前9:30頃にシカゴにやっと到着。時差14時間で日本からみると地球の裏側だ。今回は、新型インフルエンザ騒動で、急遽、渡米を取りやめた先生方も多い。70-80%ぐらいはやめたのではないだろうか。去年までは、アメリカ消化器病学会員は参加費無料であったが、昨年の秋の金融危機以来の不景気で、企業の協賛金が少なくなり、今年からは、1.5ないし2万円ぐらいの参加費がかかるようになった。

 Friedman 会長の言によると、経済状況のみならず、共同・協賛研究を縛る法律の制定もあって、各種の協賛・共同研究が減っているということである。

 

 フジノン(アメリカ富士フィルム)の展示ブースに行ってびっくり、11年前の1998UEGW、ウィーンのサテライトシンポで私が発表した写真が、 下図のように、また使用されていた。こちらも経費削減か?!それとも原画が相当に評価されたか? ブースにはいつも見かける日本人先生方の顔は誰一人としてなかったが、ブラジルのTEIXEIRA CLAUDIO先生がいた。 彼は、ポルトアレグレに住み、3人の子持ちで開業医。日本留学(広島大学)が5年ぐらいで、日本語も達者である。興味の対象が拡大大腸内視鏡で、国際学会ではよく遭遇する。

幻の高画素式拡大内視鏡EC485ZHの画像を囲んで、

パネルのこの写真は1998年8月に私が撮影したもの

右  TEIXEILA先生、左  田渕正文

 

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第9回日本抗加齢医学会総会 第2日目に 参加 長生き遺伝子 サーチュイン 

 餌を8割しか与えないと、生き物は約1.4から1.9倍程度に長生きする。なぜか? カロリー制限により、染色体のアセチル化を防ぐなどの働きがある、サーチュインという遺伝子が活性化される からだそうだ。

第9回日本抗加齢医学会総会 第1日目に 参加 

 5月はまだまだ学会が続く。大腸ポリープを多く持つ人は、がんになり易く、また、加齢による内科的な問題を抱えている場合も少なくない。というわけで、日本抗加齢医学会に参加。日本抗加齢医学会は単に見た目の美容の問題だけでなく、老人の問題も取り扱って いる。それに、異種分野の学会は結構刺激的で、面白いアイデアも浮かぶきっかけとなる。今日おもしろかったのは、

1)京都府立医大消化器内科グループ(吉川敏一先生・古倉聡先生)の「がんワクチンの話」(パラフィン包埋組織から作成)

2)慶応大学、鶴岡研究所、冨田勝先生の「がん細胞の代謝、フマルサン呼吸」癌細胞は低栄養・低酸素のもとでは、寄生虫と同じ呼吸代謝をしている!

3)東京都老人総合研究所の鈴木隆雄先生の後期高齢者医療不要論。彼は「最近の日本では癌も含めて疾患別死亡率曲線がゴンペルツ曲線に似てきたので、75歳以上人には医療は不要だ。」と述べた。それに対して、それが招請講演であったにもかかわらず、フロアーの北里大学の先生からきつい反論があり、また、座長もきつい皮肉を浴びせた。私も、鈴木隆雄先生の考え方は、原因と結果の分析の仕方 を間違えていると思った。治療しているので、疾患による死亡が減り、ゴンペルツ曲線に近似してきたのだと思う。疾患死が減ったからと言って治療をやめていいという理屈は通らないでしょう。彼の考え方は結論ありきの詭弁と言わざるをえない。(やっぱり、こういう太鼓持ちの人でないと東京都のお役人になれない・・・?!)

 

 

 

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大腸癌新患 1日4人 

 5月は学会が続く。学会の間は大変忙しいものだが、今日は予想通りの忙しさであった。しかし、驚いたのは、何と、大腸癌の新患が4人もいたことだ。うち3人は進行がんの可能性が高い。一日でこんなに癌患者が来たのは、ここ数年 来初めてのこと。4人中3人は、大腸を予め内視鏡などでチェックしていなかった。一人の患者さんは「健康を過信していた」と言った。

 やはり、以前から何度も言っているように、大腸癌の予防のためには、何の症状もないうちに内視鏡検診を受けるべきである。インフルエンザや乳がんも怖いが、今や日本女性の死因のトップは大腸癌。 日本全土で一日約120人の方が、大腸癌で死亡している。

 

 マスコミや政府に対して一言注告。「新型インフルエンザをこれだけ騒ぐなら、大腸癌についてももっと騒ぐべき。大腸癌は完全に予防できる病気なのだから。」

 

 ちなみに日本全土で、肺がんは一日約200人、胃がんは一日約160人、肝臓癌は一日約120人の方が死んでいる。肺がん、胃がん、肝臓癌については大腸がんほど完全ではないが、現状を改善できる、それなりの新たな予防策はある。それぞれの学会は、予防策をずっと提示し続けてきている。しかし、その予防策を、日本政府はことごとく採用していない。まったく、情けないことだ。


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第77回 日本消化器内視鏡学会 第3日目に参加 

 今日は 3日目。午前は、胃の拡大観察のワークショップに参加。司会の先生も述べておられたが、胃がんの拡大診断はこの2年で格段に進歩している。毛細血管パターンとホワイトゾーンのパターンを基本情報とした胃癌の拡大内視鏡診断が完成されつつあるようだ。午後は、  のワークショップに参加。超拡大観察も少しずつだが、前に進んでいる。内視鏡による病理診断の夜明けを感じる一日であった。

 

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第77回 日本消化器内視鏡学会 第2日目に参加 

 2009年5月21日から23日まで、名古屋国際会議場で第77回日本内視鏡学会が開催されている。

 

 今日は 2日目。まず、大腸ESDのセッションに参加した。私のこれまでの実績では、大腸EMRで3.5cmぐらいまでの病変は、穿孔率2000分の1以下で、5分もあれば切除できる。なのに、大腸ESDで有名なY先生のデータを見ても、対象は平均2.7cm平均切除時間は50分。穿孔率2-3%。この技術が皆から賞賛されている。理由は、EMRでは難しい40mm以上の病変の一括切除ができるからである。30mmより小さな病変は、きっと大きな病変をとれるようになるための練習なのであろう。ESDの名人いわく、「私はスネアが怖い。究極のブラインド操作だから」・・・・?!・・・・だからと言って、たった3cmぐらいの病変に1時間近くも時間をかけていいのかな??

 

 あとは、超音波エラストグラフィーをみて、自走式カプセル内視鏡の動物テストをみて、CTによる大腸表面型腫瘍の描出の試みをみて、注腸の前処置としてのニフレック・シサプリド方法を聞いた。

大阪医大第二内科と龍谷大学理工学部のコラボによる自走式カプセル内視鏡の原理の図

 昼一番は、ゲノム解析で有名な中村桂子先生の講演をきく。彼女いわく「生きるということは、・・・。つまり、人生とは・・・、つまり、ライフステージとは・・・、いえいえ、このライフステージという言葉は、私が初めて用いたのですが、それがあちこちで利用されて・・・いまでは一般的な言葉となっていますが・・・(なんだァそれが言いたかったのか。) もとは、ライフサークルという言葉だったのですが、ちょっと変だと思い、こう 呼んでみました・・・ライフステージとはこんなのものです。」といって、下図を出してきて、「今のお医者は、生き物を扱っているという感じがしない。この生きるということを深く理解して、愛でてほしいものです。この場合、愛というのは理性的な愛、フィロソフィのフィロです。」とおっしゃった。しかし、この説明図、皆さん、何かおかしいと思いませんか?

 私はこれをみて思わず唸った。大きなものが欠けている。生物に必須のもっとも大切なもの。日本社会を揺るがしている大問題。なるほど、この人がもてはやされる日本では、出生率が下がるのは当然のことかと感じた。失礼ながら、中村桂子先生は子供を何人生んでいらっしゃるのであろうか?人生には生むと育てるのステージがある。私は、やっぱり、人生とはライフサイクルなのだと思う。それでなければ、生き物は時を越えて存在できない。家族を大切にする愛の心こそが、未来へのパスワ―ド・・・。 民族存続のキーワードである。

 

 午後からは、難治性の潰瘍性大腸炎のガイドラインを超えた新しい治療に参加。

1)メサラジンの大量投与一日4グラム(これは、昨年12月から保険収載)

2)ステロイドを使う前の顆粒球除去療法

3)アザチオプリン不耐症に対するメルカプトプリンの投与

4)clostridium difficile や fusobacterium などを理論的背景とした抗生剤投与。

5)酢酸ナトリウムの注腸療法。

6)タクロリムス(臨床第3層試験の結果)。

7)インフリキシマブ

 いろんな治療法が活発に討論されていた。潰瘍性大腸炎の難治症例の治療は結構大変で難しいのである。難治性を決める因子の一つとして、サイトメガロウィルス感染があるが、フロアから社会保険で、サイトメガロウィルスの血液検査すら認められないとの声があった。難病治療の戦いを、社会は支援してほしい。

 

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第77回 日本消化器内視鏡学会 第1日目に参加 

 

 2009年5月21日から23日まで、名古屋国際会議場で第77回日本内視鏡学会が開催されている。

今日は、6:50の新幹線に乗って品川から乗って、9:00丁度に会場に到着した。昭和大学横浜北部病院の工藤進英教授の教育公演を拝聴。その後の大腸拡大観察のセッションに参加。最後、抜け出して、芳野純治会長の会長講演を拝聴。ランチョンセッションはまたまた、工藤先生の「de novo癌」。午後は大腸ESDのセッションに参加。

 大腸腫瘍データベースを万の単位で持っているのは、日本では、私と工藤教授と広島の先生ぐらいか・・・・?

 

 工藤進英教授の講演で、私の万単位の大腸腫瘍データベースからみて賛同できる点は、

1)大腸がんの発育進展ルートには、マウンテン型と陥凹型があること

2)マウンテン型はK-RAS突然変異陽性で、陥凹型は陰性であること(これは、私のとった材料で、藤盛先生の教室が世界で初めて見つけたこと)

3)陥凹型早期大腸癌が平均約7mmで、粘膜下に浸潤すること

4)大腸癌検診で、便潜血反応は、陥凹型大腸癌発見に有効でないこと

5)リビアの砂漠の写真を見て、結節型側方発育型を連想すること

6)内視鏡や外科などの苦しい臨床現場に、新米医師が来ないこと

 

 工藤進英教授の講演で、私の万単位の大腸腫瘍データベースからみて賛同できない点は

1)長廻紘、藤盛孝博、田淵正文らの業績を一切語らない点、そのほか他派の研究も同様に語らない点。

2)小さな3L型の大腸腫瘍は、とらなくてもいいという点。(小さな3L型の大腸腫瘍は年1%程度癌化すると私の研究からは予想される。小さな病変を無視する風潮が粗診粗悪な内視鏡検査につながる。)

3)大腸癌検診を内視鏡で行った時、の効果についての発表がいままでないと述べたこと。(1997年ごろに、職域大腸がん検診で内視鏡を用いて、大腸の腫瘍をすべて取って、癌死が0になったという私の発表が、当時の朝日新聞で取り上げられた。)

4)陥凹型大腸癌を de novo癌と主張する点。(陥凹型の大腸腫瘍の中にも、異型度ピラミッドがあり、陥凹型大腸腺腫が少なからず存在します。また、陥凹型大腸癌のピッとパターンが必ずしも一様でないことから、陥凹型大腸癌の一部は陥凹型大腸腫瘍から異型度進展したものがある)

5)隆起型の大腸腫瘍切除が、大腸がん予防に結びつかないと主張する点。(私のクリーンコロンの研究からは、大腸隆起型腺腫の一年後の癌化率は1.3%(1996胃と腸)。また、その数の多さから、マウンテンルートは大腸癌全体の約7割、陥凹型ルートは約3割(これは先生も参加していた1994-1996の厚生省武藤班の結論でもあった。)したがって、小さな隆起型の大腸腫瘍も、お経を唱えるように、地道に切除するべき。77回唱えれば、次の年の癌発生が一つ減る。)

6)リビアの砂漠で陥凹型を連想した写真は、そこが丸くて平らなところがないので、陥凹型癌というよりも、バイオプシー後の接線観察といった感じ。

7)大腸ポリープ切除の内視鏡の点数が高いと主張する点。これ以上安くなれば、この3Kの内視鏡世界に参入してくる若手医師がますます減ります。先生の主張する大腸内視鏡による内視鏡検診も難しいものになると思います。

 

 芳野先生の講演で興味深かったのは、日本原子力機構と共同で開発している、ファイバー型内視鏡。原理は昨年のアメリカDDWでハーバード大学からのeye on the tip of fiber、と同じだが、同心円二重構造で、レーザー治療もできるという点である。その技術を応用して、師の星原芳雄先生がかつて行っていた、ファイバーグレーティングによる病変の長さ計測をレアルタイムで連続画像で成功しておられた。また、氏のライフワークである超音波内視鏡では、高出力型の30MHzの粘膜構造写真がきれいだった。

 

 大腸ESDのセッションでは、症例のかなりのものは、EMRなら2-3分でとれるものを、訓練のためか、わざわざ、20-60分かけて、とっているという印象を持った。胃癌とはちがって、大きなものでもpEMRで十分長期予後がよいので、わざわざESDする臨床的価値について、今後十分検討する必要があるだろう。 

 

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カプセル内視鏡を導入。全小腸が苦痛なく検査できます。小腸ドックを開始しました。

 カプセル内視鏡は、2000年、今から9年前5月、アメリカ、サンディエゴDDW2000で初めて発表された。発表者はイギリス人、P.Swain博士。彼自身による自作のカプセル内視鏡で、無線による画像の送信という画期的な技術で、当時、内視鏡医の間で大いに話題になった。私も、じかに彼の発表を聞いてとても驚いた。以来、アメリカでは、2002年ごろから盛んに臨床使用された。日本でも治験を経て導入されたが、先進諸国の中では、例によって一番遅く、2007年に漸く、販売の認可が下りた。カプセル内視鏡は、直径約10mm長さ28mmの小さな電池仕掛けのカメラで、画像を電波で発信するように作られている。角はなく、飲み込み 易い、滑らかな形をしている。小腸全域を観察するのに適しており、各国で一定の臨床的評価を与えられている優れものである。小腸の腫瘍や、潰瘍の発見などには、極めて効果的である。ただし、胃や大腸についての評価は微妙。

 

アスピリン内服による小腸潰瘍  :  右画面をクリックすると動きます。

 

 現在の社会保険診療では、胃内視鏡、大腸内視鏡を行っても、原因が特定できない「消化管の出血」に適応が限られている。

 

 一方、自由診療では、小腸が細くなっている以外、とくに適応制限はない。

 

 アスピリンなどを長期に飲んでいる方は、小腸に潰瘍や炎症ができているケースが多く、潜在的な出血があったりして、要注意です。

 また、原因不明の腹痛で悩まされている方や、

 腫瘍家系の方にはお勧めです。(小腸にも時々癌ができます。昭和天皇陛下の死因が小腸癌と発表されたのは、記憶に新しいところです。また、現皇太子殿下も、近年、小腸腫瘍を内視鏡で切除なさいました。)

 

 カプセル内視鏡による小腸ドックをご希望の方は、メールにてご連絡ください。

 

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第95回 日本消化器病学会総会に参加。大腸癌の予防法

 2009年5月7日から5月9日までの3日間、第95回日本消化器病学会総会が桜満開の札幌で開催されている。連休から続いての3日間で、休みが長くなり、休み明けが怖い。会長は、浅香正博北海道大学教授である。もう20年ぐらい前だが、氏がまだ講師の時、彼に招かれて、北大で「大腸病変のピットパターン診断と内視鏡挿入法」の講演をしたことがある。思えば、あれからずいぶんと年月が経ったものだ。


 

 

今学会では、氏の発案で「がんの予防」ということがテーマとなっている。学会では、たくさんのセッションがあり、どれに参加するかいつも迷う。会長の考えに従い、午前は、「大腸がんの予防」に参加した。「大腸癌はポリープを全部とると、癌の芽が摘まれ、がんの発生のほとんどが予防できる」(2次予防)のである。てっきりその事かと思っていたら、今回は、「どんなことが大腸癌の発生と関係あるか」といった(一次予防)と、がんの発生を予防する薬やサプリメント(1.5次予防)が話題の中心であった。


 大腸癌は、大腸腺腫や大腸
ACFaberrant crypt foci)(微小な大腸腺腫や大腸過形成結節や、化生性ポリープのこと)を前がん病変とする。そのため、研究対象を大腸がんそのものから、それらの前がん病変に対象を取り換えた発表が、ほぼ全部であった。ちょっと、物足らない。大腸癌と大腸腺腫は完全に同じではない。ちょっと違うものであり、次回のときには、この点も考慮に入れた企画を考えてほしいものだ。


 大腸腫瘍発生と関連した生活上の因子として、年齢、飲酒、たばこ、家族歴、野菜不足、運動不足、高脂血症などが指摘されていた。nが1000を超えた発表は川崎医科大学から出た1演題のみで、私も出しておけばよかったと後悔した。
n=9000ぐらいはコンピューターの中でデータベースになっているはず。しかし、大昔に発表したときと、変わらない内容になりそうだ。


 大腸腫瘍発生を抑制する薬やサプリメント(
chemoprevention)として、話題に上ったものは、効果の強そうなものから順に、スリンダック、緑茶ポリヘノール、エトドラッグ、アスピリン、ブロッコリーの芽(スルフォラファン)、機能性乳酸菌製剤、葉酸、グルタチオン、ω3脂肪酸、オリーブオイルなどであるが、私の経験に基づいて考えると、最初の2つぐらいしか、効果は実感されない。目新しいところでは、アディポネクチン、メトフォルミン、TACEinhibitorTAPI-2(TACEADAM17EGFRのリガンドamphiregulinを放出し、EGFRを刺激する)、イソ酪酸などが、発表されていた。また、大腸腫瘍発生を抑制する分子メカニズムとしては、AMPkinaseなどが紹介されていた。逆に、大腸腫瘍発生を促進するものは、牛脂、ω6脂肪酸、また、分子メカニズムとしては、従来のCox2以外に、jnk、mTORADAM17、βcatenin、などが紹介されていた。


 

薬やサプリメントでの大腸腫瘍発生抑制を希望の方は、受診してくだされば、個人の体質に合わせた薬を処方します。(社会保険が利かない薬やサプリメントの場合、自由診療になる場合もあります。)

 

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