たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2008年07月

アメリカの大腸がん 若い人の大腸がん 

 この一ヶ月、大腸がんの死亡記事が3つほど続いた。下記参照。トニー・スノー前アメリカ大統領補佐官、石田文樹野球選手、それに先の戸塚洋二教授。合掌。ご冥福をお祈りいたします。

 

 大腸がんによる死亡者数は、日本では年約4万人、1日約110人が死亡している。アメリカでは年5万6千人、1日約150人が死んでいる。


 アメリカの人口は日本の約3倍であるのに、死亡数があまり変わらず、死亡率が違うのは、アメリカでは内視鏡によるスクリーニングが常識化しているため。内視鏡によるスクリーニングで、前がん病変である大腸ポリープを見つけて、切除するので、大腸がん死亡が減ってきている。
リンク なのに、大統領補佐官のようなセレブな立場の人が、大腸がん発見が手遅れになるとは、ちょっと意外である。まあ、どこの国にも、医者嫌いや、健康過信者、仕事が忙しすぎる人がいるものなのだろう。付け加えると、藪医者も・・・・?!。

 

 今回の3連続、大腸がん死亡記事の死亡年齢は、41歳、53歳、66歳。私が経験したうちデータベースにある2000例前後の大腸がんの年齢構成は、平均年齢が59歳で標準偏差は約10歳。一番若い人が19歳、最もお年の人は91歳であった。早期がんと進行がんでは約5歳の開きがある。41歳未満のがん患者は全体の約3%であり、石田文樹選手は、やはり、若すぎた。若くて大腸がんになる人の特徴は、家族歴とアルコール摂取、潰瘍性大腸炎などである。データベースを見ながら、一人一人患者さんの顔を思い起こしていると、これらの危険因子のある人は25歳ぐらいから、内視鏡でしっかりスクリーニング検査を受けたほうがいいという思いが沸いてくる。

 

大腸癌トニー・スノー氏死去 前米大統領報道官
2008年7月12日 22:10 トニー・スノー氏(前米大統領報道官)AP通信によると12日、結腸がんのため死去、53歳。ケンタッキー州生まれ。地方紙記者やUSAトゥデー紙のコラムニストを経てFOXテレビコメンテーター。保守派の論客として知られ、06年5月から07年9月までブッシュ米大統領の報道官を務めた。任期中にがんの転移が発覚、化学療法を受けながらホワイトハウスの顔として記者会見をこなした。(共同)
 

石田文樹さん直腸がんで死亡 

 石田文樹氏(いしだ・ふみき=84年全国高校野球選手権大会優勝投手、プロ野球横浜ベイスターズ打撃投手)15日午前1時40分、直腸がんのため横浜市保土ケ谷区の病院で死去、41歳。茨城県出身。葬儀・告別式は18日午前10時から横浜市港北区菊名7の10の8、新横浜奉斎殿で。喪主は妻寿美江(すみえ)さん。84年の全国高校野球選手権大会に茨城・取手二のエースとして出場し、決勝で清原和博選手(オリックス)らを擁する大阪・PL学園を下し優勝した。日本石油を経て89年ドラフト5位で大洋(現横浜)に入団。プロ通算は25試合に登板、1勝0敗で94年に引退した。(共同通信社)
 

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ニュートリノ質量発見…戸塚洋二教授死去、66歳 死因は大腸癌 8年間の闘病 

 

 小柴先生が、ノーベル賞受賞後、どの学会だったか、正確に覚えていないが、医学系の学会で講演をなさった。ニュートリノは、医療の世界とは遠い存在であるが、お話を興味深く拝聴させていただいた。自然を解明する、真理を探究するという点で、共鳴するものがあった。


 大腸癌は、de-novo発癌にしろ、adenoma-carcinoma sequence発癌にしろ、最初は、粘膜から発生して、小さい。癌が粘膜内に留まっているうちは、内視鏡で切除すれば、ほぼ100%治癒する。大きくなって、転移すれば、治療手段は進歩してはいるものの、治らないことが多い。症状のないうちに、大腸内視鏡を行い、ポリープを丁寧に切除することが、大腸癌予防のグローバルゴールデンスタンダードである。進行がん治療の、効果と費用、健康被害を目の当たりにすれば、大腸内視鏡によるスクリーニングとポリープ切除が、いかに福音か、納得しない人はいないだろう。


 報道を見ると、戸塚洋二先生の場合は、8年の闘病ということであるから、58歳で病気がわかったということだ。その2-3年前、55歳のころ、無症状のうちに、しかるべきところで大腸内視鏡検査を受けて、病変のつぼみであるポリープを切除さえしていれば、こんな痛ましいことにならずに済んだ。


 大腸癌をはじめ、胃癌や食道癌、十二指腸癌といった、消化管の癌は、しかるべきレベルの先生のところで、定期的に内視鏡検査を受ければ、癌死を予防できる。そこまで、消化管の内視鏡診断・治療レベルは進歩しているというのに、返す返すも残念で痛ましい。


 手前味噌で、申し訳ないが、消化管癌(大腸癌・胃癌・食道癌・十二指腸癌)の予防のために、当院の(ポリープ切除付)無痛内視鏡消化管ドックをお勧めします。

 

7月10日12時35分配信 毎日新聞
 素粒子ニュートリノに質量があることを発見し、ノーベル物理学賞の有力候補とされた東京大特別栄誉教授の戸塚洋二(とつか・ようじ)さんが10日午前2時50分、がんのため死去した。66歳。葬儀は12日午後0時半、東京都港区南青山の青山葬儀所。喪主は妻裕子(ひろこ)さん。04年に文化勲章受章、07年にノーベル賞の登竜門とされる米フランクリンメダルを受賞した。02年にノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊・東京大特別栄誉教授(81)の愛弟子で、日本人初の師弟そろっての栄冠が期待されていた。戸塚洋二さんは、静岡県富士市生まれ。72年、東大大学院博士課程を修了した。
 90年代半ばから、東大宇宙線研究所の観測施設「スーパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)の責任者として、国内外の100人以上の研究者を率い、ニュートリノの精密観測を実施。98年、それまで質量なしと考えられていたニュートリノに「質量がある」と確認し、物理学の常識を覆す大発見として世界中の注目を集めた。
 7年前に大腸がんの手術を受けたが、その後、再発と転移を繰り返した。治療に専念するため、研究の第一線を退き、抗がん剤による本格的な化学療法を開始したが、最後までニュートリノ研究への情熱は衰えず、後進の育成に取り組んだ。
 恩師の小柴さんは、愛弟子の訃報(ふほう)に「息子を亡くした父親のようなものだ。どういうお気持ちですか、どう感じてますかなんて、聞かないでほしい」と言葉少なだった。

 

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