たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2008年05月

アメリカ合衆国サンディエゴ消化器病週間 San Diego DDW (digestive disease week)に参加 第4日目 

サンディエゴ観光 など 

  午前中は、ASGEのまとめのセッションに参加。21年前に私が日本で考案して実用化した、水浸挿入方法が、アメリカ流にRCTで大真面目に評価されていたのにはびっくり。結果は従来方に比べて優秀という結論であったが、今頃になって評価ですか?!と複雑な気持ち。引用文献には私の名前は無かったのは残念。開発当時、英語の論文を書かなかったのでしかたないか・・・。


 3日間半もまじめに学会に参加し、少し疲れたので、午後からはサンディエゴ観光に出かけた。晴天で初夏の風が爽快。2000年と大きく違っていたのは、空母ミッドウェイが、老朽化のため現役を退いて、港に係留されて、博物館として公開されていたことだ。空母ミッドウェイは、負けしらずの空母で、アメリカ海軍栄光の象徴でもある。作戦司令室では、2003年3月イラクのバクダットを攻撃したときの様子が再現されていた。サッカーコート3面分の甲板には今までの戦闘機が所狭しと載っている。管制塔に登って、操舵室に入り、舵をまわしてみた。


 つい2-3年前まで現役で働いていた空母を公開するなんて、アメリカ海軍は無敵の余裕だ。管制塔から降りるとき、ベランダが激しく錆びていた。なるほど、無敵艦も「老い」には勝てなかったというわけかと妙に納得した。

 

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アメリカ合衆国サンディエゴ消化器病週間 San Diego DDW (digestive disease week)に参加 第3日目

進歩する学問と技術 炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎とクローン病


  本日のサンディエゴの天気は曇り、前日と打って変わって肌寒い。


 アメリカはIBD先進国である。患者数も多ければ、治療法も多い。抗TNFα療法として、インフリキシマブや、アダリブマブ、セツキシマブPなどの分子標的薬剤の臨床効果や問題点、その他の作用機序による分子標的薬剤(抗CXCL10抗体、抗integrinβ7抗体など)の臨床試験結果などが発表されていた。また、従来からある薬の使い方の工夫や、別の疾患に用いる薬の転用、ある種のサプリメントなど、潰瘍性大腸炎やクローン病をなおすのに効果のあるものなど、治療に関する多数の発表がなされていた。


 抗TNFα療法を、ステロイド療法を始める前に使えば(トップダウン方式)、臨床的な治療効果が、ある基準を基にすると、30%から70%へと向上するという話もあった。


 夕方は肥満治療の発表に参加。米国は肥満先進国でもある。高度の肥満が多い。高度の肥満を解消する目的で、胃にバンドをかけて細くしたり、消化管をつなぎなおしたりして、消化管からの栄養吸収を抑える治療法が米国ではおこなわれているのであるが、その治療法の長期の問題点と克服の仕方がビデオで紹介されていた。内視鏡的肥満治療の問題と克服方法の話は面白かった。

 

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アメリカ合衆国サンディエゴ消化器病週間 San Diego DDW (digestive disease week)に参加 第2日目 

爆発事件?事故?学会場が大きく揺れる。進歩する学問と技術 大腸用カプセル内視鏡、逆行観察用細径内視鏡、virtual colonoscopy など
 

  サンディエゴはからりと晴れ上がり、強い日差しの一日であった。お昼時、展示ブースめぐりをしていたときに、ドカンと大きく学会場がゆれた。消防車が学会上の前をけたたましく何台も走り抜けた。何事かと思っていたら、約1時間して、講演の最中に全館放送が流れた。「学会場の東方で問題があったが、避難する必要はありません。」 放送のたびに、講演が何度も中断された。ここ10年ほぼ毎年、学会に来ているが、このような出来事は始めてである。「テロかな?ガス爆発かな?」と思っていたが、学会は、放送による中断があっただけで、ほぼ無事に進行した。


 2-3年前から、大腸用カプセル内視鏡が開発されているのだが、その臨床的評価が発表されていた。まず、一番の問題点は、大腸は停滞時間が長いので、電池切れになって全大腸が観察できないのである。1-2割は下部大腸と直腸が観察できないらしい。腸の動きを早くするために、いろいろな工夫がされていたが、さらなる工夫が必要であろう。また、1cmを超える大きなポリープでも見落としがあり、全体としての大腸ポリープに対する感受性も8割ぐらいで、今のままでは、大腸ポリープのスクリーニングには、少し限界があるように感じられた。しかし、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の評価には、十分使用できそうである。


 大腸内視鏡観察は大腸ひだの裏が見落としやすい。そこで、内視鏡先端に透明なキャップなどをつけ、襞を押さえつけて、裏側を見たりするのであるが、Advantis Medical System 社から、鉗子孔から挿入できて、Uターンのできる画素数320*240の直径約3mmぐらいの内視鏡が開発されていた。反対側から襞の裏を見ようというわけである。この製品はこれからの臨床評価であろう。


 また、CTによる大腸表面の画像化技術(vertual colonoscopy)も電子機器と優れた画像処理プログラムの向上により、かなりの所まできていた。

夜は、普段会えない先生方や日本人関係者と会食して、情報交換。

 

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アメリカ合衆国サンディエゴ消化器病週間 San Diego DDW (digestive disease week)に参加 

第1日目 進歩する学問と技術 テロメラーゼ阻害剤、超細径内視鏡 SFE (scanning fiber endoscope)、硬度表示エコー、NOTESの標準化、内視鏡による消化管壁の縫合技術の評価などなど 

  サンディエゴを訪れるのは、2000年以来、8年ぶりだ。前回は、今は神保町で開業している末岡伸夫先生と一緒に、バレット癌の色素二重染色による拡大内視鏡診断をポスター会場で発表して、一日中、質問者が続くほど、大変注目された。私の開発した染色システムで撮影した色素拡大内視鏡のバレット癌の写真を、スタンフォード大学の消化器病学の教授が、卒業後教育の教材として使いたいと、申し出があったほどであった。最近は、いろいろな問題に煩わされているので、研究に割く精神的ゆとりがないため、今回は残念ながら特に発表はないが、発表がないのは、かえって落ち着いて、多くの発表を聞くことができて、気楽で楽しいものである。

 アメリカの消化器病週間に来ると、ここ2-3年、必ずサプライズな発表がある。今回は、直径1.2mmの操作型ファイバー内視鏡=SFE (scanning fiber endoscope)であった。米国で既に試作機ができて、臨床試験が終わっていたのには、びっくりした。画像もまずまずで、Eric J. Seibel先生いわく、「目を持ったガイドワイヤ」(guide wire with eyes)ということらしい。直径1.2mmという細さも凄いのであるが、これからは1mmを目指すという。この技術はさまざまに利用・応用されることになるだろう。


 それほどではないが、次に、驚いたのが硬度(=軟度)を表示するエコー画像処理システムである。硬い軟らかいは、触診と同じで,臨床上重要であるのは明白であるのだが、膵臓がんや転移性肝臓がんで このシステムによる画像が、がんの存在診断に特に有効であった症例が2-3示されていた。まだ、いろいろと技術的な問題があるようであるが、近いうちに臨床に供されるのは間違いあるまい。


 去年、びっくりしたNOTESであるが、今年は各国から237題もの発表がある。今日は、ドイツから人型練習モデルまでが発表されていた。海外では標準化が近いのである。腹腔内の細菌感染の問題や、胃壁の縫合操作の問題についても、基礎的な発表がなされていた。腹膜炎の問題について、開腹手術と経胃腹腔鏡で、腹腔内汚染があまり変わらないとする発表があった。また、消化管壁縫合技術面では、開発されている縫合技術7つのうち、4つが手縫いと同じ縫合力があるとの発表もあった。私が1999年に始めて報告し、私自身が今でも行っている「クリップによる消化管壁穿孔縫合」も、手縫いとほぼ同等の縫合力という評価であった。(確かに、だから、私の直腸ー尿道漏の縫合がうまくいくわけである。高い縫合力を得るにはそれなりの「こつ」がいるのではあるが・・・・。


 その他、前から報告のあった、テロメラーゼ阻害剤が、第3層試験を終了しそうで、もうすぐ、脳腫瘍グリオーマの治療薬として臨床に出てくる?という。また、テロメラーゼに関連したところでは、肺線維症が挙げられてていた。テロメラーゼ活性が先天的に低めの人に喫煙などの悪化因子が加わって、発生しやすい ことが、ここ1-2年わかってきたようである。抗がん剤としてのテロメラーゼ阻害剤だけでなく、老化や老化に関連した各種疾患治療を目的とした、テロメラーゼの活性剤やテロメラーゼアゴニストの研究も、今後、大きなテーマの一つとなりそうである。

 

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特殊光観察FICE6:色素染色下でも毛細血管視認性向上に有効 

  NBIやFICEといった特殊光観察下では、毛細血管がよく認識できるようになる。ただし、これまで、色素下での効果は限定的であった。今回、FICEパターン6では、 メチレンブルー染色下でも、毛細血管の視認性が向上した。青が青のまま、血管だけが強調されるので、わかりやすかった。


 

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