たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2007年12月

フジテレビ、ハピふる「コレって私だけコーナー」に出演、「大食い」についてコメント 

  本日、午前中、お台場のフジテレビV6スタジオで、ハピふる「コレって私だけコーナー」に出演した。テーマは「大食い」。「大食い」は危険だというテーマで番組制作を進めていたが、私が土曜日に指摘した危険のうち、「膵炎」が意外だったようで、12/22に行った録画だけでなく、結局、出演も依頼されることになった。


 出演者は、メイン司会が、高樹沙耶さん、サブ司会が野島卓(フジテレビアナウンサー)さんと石本沙織(フジテレビアナウンサー)さん。水曜日ゲストがタレントの磯野貴理さん、一日ゲストが近藤典子さんと私、田淵正文。水曜日の企画プレゼンターが武田祐子(フジテレビアナウンサー)で、アシスタントはタレントの武田航平さんであった。10時のティータイムに集まったマダムたちの疑問に、ゲストのお医者さんがお答えするといった風情の番組であった。


 最初に、4kgのカレーライスを30分でぺろりと平らげる、女性のビデオが流されて、私は、びっくり。そして、彼女は、まだもう一杯食べられると発言。そんなに食べるのであるなら、太っていると思いがちであるが、彼女は150cm35kgという異常にスリムな体である。


 なぜそんなに食べて満腹にならないか?そして、そんなに食べるのにどうして太らないのか?と尋ねられた。満腹になる仕組みを簡単に説明した。視床下部にある満腹中枢を刺激するのは、血糖値の上昇、胃の伸展などである。彼女の胃が異常に大きくて、なかなか伸展しないのではないか、また、彼女は消化吸収機構にいろいろ問題があって、実は小腸が栄養を十分に吸収しないのではないか、そのため、血糖値が上昇せず、満腹にもならないし、太りもしないのではないか、と推測を述べた。


 次に、大食いで起こる「からだの異常」についての話になった。実際はいろいろあるのだが、話題はシナリオどおり、膵臓へと向かう。大食いでは、膵臓が hyper-function になり、さらに over-function から、膵臓が傷む。その様子を、磯野真理さんと武田航平さんが、レゴを分解するコントで演じてみせた。医学的には、「毛細血管の中性脂肪が、漏れ出してきた膵液中のリパーゼで分解されて、油滴となり、毛細血管が閉塞して、油滴梗塞を起こし、膵臓が溶ける。」と説明したのであるが、素人さんには、わかりにくいので、コントにしたわけだ。番組制作会社NEXTEPのスタッフの面々の知恵には恐れ入るばかりだ。


 事前の打ち合わせで、武田祐子さんはじめ、番組制作のスタッフが強く興味を持ったのは、実は、社会保険医療の範囲では、慢性膵炎につける薬がないことであった。確かに、商品名フォイパンや商品名カモステート(どちらも化学物質名はメシル酸カモスタット)という「慢性膵炎の急性増悪時に2週間投与に限ってだけ認められている薬があるのだが、実質的には、審査で全額査定されるために、ほとんどの医療機関では投与を差し控えているのが東京都の実情実態である。


 つい最近も、この薬を飲まないとおなかの調子の悪くなる人が、女子医大で処方してもらえないといって、自由診療の私のクリニックに来院していた。その人いわく、「女子医大の外来に、張り出されている処方注意薬のリストに、この薬の名前が出ていました。コレが欲しいといったのに、先生は出せないの一点張りでした。」


 番組の中で、武田祐子さんがそのことについて触れようとする。「会社の検診では、膵臓はどのようにチェックされているのですか?」「あまり詳しくやっていません。」「どうして膵臓をあまり調べないことになっているのですか?」「・・・(しばし沈黙)・・・・・軽い膵炎は食べないと治っていくからで、放置しているのです。」 


 沈黙の中で、心のなかで答えた言葉は 「社会保険医療では、慢性膵臓炎に出す薬がないので、保険医療機関では、その診断を嫌がるのです。」。その言葉を飲み込んだ理由は、番組の雰囲気に合わないと判断したからである。保険医療問題は、奥が深く、暗い問題なので、明るく楽しい「ハピふる」にはそぐわないだろう。「大食い」というのは、わんこそば食い競争が示すように、いわゆるひとつの「コケチッシュ」なレクレーション、文化であるからだ。


 慢性胃炎や慢性小腸炎、大腸ポリープなどにも、同様の問題があり、一度、正面きって、社会保険医療の問題点を番組として取り上げてもらいたいものである。
 

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薬害肝炎、議員立法で一律救済へ福田総裁が決断。これまでの行政府・官僚の責任は問われるのだろうか? 

 薬害肝炎、議員立法で一律救済 福田首相が決断


 
福田康夫首相は23日、薬害肝炎訴訟をめぐり、全員一律救済に向けた議員立法によって解決を目指す方針を表明した。官邸で記者団の取材に応じて明らかにした。福田首相は、「患者を全員一律で救済する議員立法を自民党との相談の結果、決めた。公明党の了解も得た」と述べた。一律救済は、肝炎訴訟の和解協議の中で原告団が求めていたが、国が難色を示していた。首相の決断で、難航していた肝炎問題は解決に向けて大きく展開する可能性が出てきた。

12月23日12時4分配信 産経新
 

 全員一律救済を求める患者側と、全員一律救済に難色を示す厚生官僚と、司法上でなかなか和解できない問題を、立法府で解決しようという筋道である。 議員立法は、両者の板ばさみになって、自らの政治人気を落とした福田内閣の知恵といえる。一律救済の中身が、明瞭でないが、確かにこの枠組みであれば、厚生官僚たちは歓迎するであろう。

 

 今回の事件において、厚生官僚たちが、何を恐れているかというと、まず一番目には、自分たちの処罰である。

 

 今回の事件はそもそも当時の官僚の怠慢による ことが明解なので、政府が損害賠償をすることになるのだ。従来の枠組みは、行政訴訟であるから、官僚の責任が直接的に問われていた。しかし、新たな法律の制定となると、その法律では当時の官僚に責任はない。

 したがって、今回の立法府の政治決断で、これまでの怠慢が看過されるのは、彼らにとって好都合である。官僚が国民に損害を与えた事実が、政治決断により、かすんで忘れ去られたなら、官僚の無謬神話が守られて、処罰も受けないからである。実際には 、彼らが新しい法律の条文も作るので、今回の福田首相の政治決断は大歓迎であろう。

 

 次に、彼らが恐れていることは、「パンドラの箱」に焦点が当たることである。

 

 実は、C型肝炎感染者は、日本に何百万人もいる。そのかなりの割合が、輸血によるものである。輸血したあとに肝炎を発症すること(血清肝炎)は、よく知られた事実であった。それでも、医療行為として輸血をしていたのは、手術などにおける目の前の危険が、血清肝炎の危険を凌駕するからであった。しかし、 厚生官僚が認可した輸血製剤でC型肝炎が全国に蔓延したことも、また真実であり、この隠れた問題から世間の注目をそらしたいのである。

 血液から取り出したフィブリノーゲン製剤だけに責任があって、血液本体の輸血製剤に責任がないというのもちょっと奇妙な話である。彼らは優秀で賢いので、もちろんこの問題には気づいてい る。つまり、今回の事件の解決が、投与時期によらず、「一律、全員」となれば、輸血により感染した100万人単位のC型肝炎も、理屈上、すべて、損害補償しなければならなくなるのだ。省内では、この問題を「パンドラの箱」と呼んでいるらしい。官僚たちが恐れている2番目は、この「パンドラの箱」を開けるということなのである。

 

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認可製剤によるC型肝炎の感染に苦しんでいるのは、今回事件となったフィブリノーゲン製剤だけでない。

わが国のC型肝炎は政府が認めた輸血により広まった。「全員一律救済」はという用語は、より大きな責任追及の意味をもつ。
 

 慢性肝炎は、20年ないし30年前、すべての県ではないが、多くの都道府県で、社会保険治療費の自己負担分が、都道府県により肩代わりされていた。いわゆる、特定疾患医療費補助、難病指定であった。それは、C型肝炎が輸血により広まったという負い目が行政側にあったからだ。しかし、都道府県の財政の悪化に伴い、慢性肝炎は医療費補助の対象からはずされていった。最後まで残ったのが、東京都であったが、1990年代に、打ち切られたと記憶している。

 

 現在、年間3万5000から4万人が、原発性肝臓癌で死亡している。それらの97%以上はC型肝炎・B型肝炎ウィルスの感染によるものである。これらウィルスによる慢性肝炎のウィルス除去の治療成績は、近年、大幅に進歩してきている。しかし、治療費の自己負担分の高さ(月約6-7万円が半年から1年続く)により、地方では、進歩した治療を受けられない患者も出てきている。ウィルスの広まった経緯を考えれば、政治決断にて、ウィルス性肝炎の治療費の公的補助を復活させるべきであろう。

 

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大食いの危険性について フジテレビの取材を受ける。 12月26日放送予定。 

 12月20日(木)、本年10月1日からスタートしたフジテレビ系列の新番組「ハピふる!」から、取材の申込があった。


「最近、大食いタレントの影響などで、“大食い”が注目されています。ただし、大食いというのは、生活習慣病、肥満・・・などなど、さまざまな危険とも、隣り合わせであると思います。私ども「ハピふる」ではそういった“大食い”の危険性を視聴者のかたがたに促すことができればと思い、今回、水曜日の「これって、私だけ?!」のコーナーで「大食いの危険性」を取り上げることにしました。ついては、先生にご協力いただきたく・・・云々」といった内容であった。

 
つまり、“大食いの危険性”について、コメントが欲しいとのこと。


 
そもそも、日本人は、わんこそばの早食い・大食い競争の例を挙げるまでもなく、早食い・大食い競争が好きな民族である。12月26日オンエア予定ということで、ずいぶん、急いでいたのか、申し込みの翌日、金曜日の夜に、番組制作会社の面々が、インタビューのフジテレビのアナウンサー武田祐子さんを連れてやってきた。武田さんはテレビで受ける印象よりも小柄で華奢な感じであった。

Q1. どのような状態で大食いといえますか?

A1. 一般的に、まわりの人よりたくさん食べれば、「大食い」といわれます。まわりの人の1.5倍ぐらい以上食べると「大食い」といわれているような印象がありますが、医学的に「大食い」は明確には定義されていません。しかし、それでは、お答えになりませんので、敢えて、私なりに考えてみました。

 ひとつは、カロリー面からのものです。人の平均一日摂取カロリー量(Kcal)は体重(kg)の25から30倍といわれています。25は坐業の人、30は肉体労働の人です。たとえば、体重60kgの人なら、1500から1800Kcalとなります。その1.5倍以上食べれば、その人にとっての大食いといえるのではないでしょうか。つまり、60kgの人なら、2300から2700kcal以上で「大食い」といえるのではないかと思います。


 もうひとつは、胃の容積から考える基準です。日本人の標準的な胃の容積は、約1.5リットルです。ですから、それより多い容量を一気に食べると、「大食い」といえるかもしれませんね。

Q2.「大食い」をすべきではないのは、どのような人ですか?

A2.医学的に大食いを避けなければならない人は、1.膵臓の弱い人、2.消化管に潰瘍のある人、3.手術後などで腹膜癒着のある人、4.肥満の人、5.糖尿病の人などです。

Q3.「大食い」には、どのような弊害が出てきますか?

A3.

1.膵臓の弱い人は、膵臓炎になり、食後、上腹部が重く痛むようになります。それでも大食いを続けると、さらに、膵臓炎が悪化して、始終、腹痛があるようになります。腹痛だけでなく、背部痛が出る場合もあります。とくに、恐いのは、急性膵臓炎です。3-4日で急死することもあります。あの徳川家康も、「てんぷら」をたらふく食べて、急性膵炎で死んだと伝えられています。
2.消化管に潰瘍のある人は、消化管が膨らむことにより、急に消化管が破れて腹膜炎をおこして、激しい腹痛と発熱に襲われたり、また、潰瘍から出血して、急に吐血や下血をするなど、命に係わる緊急事態が起こりやすくなりますので、要注意です。
3.手術後などで腹膜癒着している人が、「大食い」すると、癒着で腸が細くなっているところに、食べ物が詰まって、通過不全状態になります。これを医学的には「イレウス」と呼びます。イレウスになりますと、腸が捻転したり、腐ったりして、大変な痛みになり、腐ったところから、毒素が出たり、血液の中にばい菌が入ったりして、一気に死亡することもあるため、緊急開腹手術が必要になります。
4.大食いが続けば、カロリーオーバーとなり、肥満や糖尿病になります。肥満は、心筋梗塞、脳梗塞、などなど、恐い病気にかかりやすくなります。

5.糖尿病はひどくなると、網膜の血管が壊れて目が見えなくなったり、腎臓が悪くなって透析しなければならなくなったり、手足に痺れが来たりします。また、勃起不全がおこったり、不感症になったりして、性生活にも大きな支障をきたす場合もあります。

 さらに、注意しなければならないは、「大食い」が、病気の症状として現れることです。心因性食欲不振症では、食欲不振というものの、時に大食いします。この場合、大食いした後、自ら、嘔吐を促して、食べたものを吐くといった異常行動をとる場合があります。この病気は、やせていることにあこがれることがきっかけでなるといわれています。脳幹でのホルモン異常がおこり、精神にも安定が失われて、回復不能となり、死亡することもあります。カーペンターズのカレンが32歳の若さで、死んだのはこの病気が原因でした。我々おじさん世代では、有名な話です。

Q4.「大食い」のメカニズムを教えてください。

A4.食べ物は、胃に蓄えられて、少しずつ、小腸に流れていきます。普通、胃に蓄えられている時間は平均2時間です。食べ物は小腸に入ると蠕動で下に流れていきます。胃の容積は1.5リットルぐらいですから、たくさん食べるためには、胃から小腸への流れと小腸の下への蠕動運動が速くて強いことが要求されます。胃と小腸の間に関所は、幽門というところで、ここが大きく開いていると、食べ物が流れやすいとされています。

Q5.他局の番組になるのですが、大食いタレントの大食い時のCTを取って、胃が極端に拡張していたようですが、胃が大きくなることもあるのでしょうか?

A5.生まれつき、大きな人もいるでしょうし、大食習慣から胃が大きくなる場合も考えられます。また、特殊な結合組織を持っているため、胃が極端に拡張できる可能性も考えられます。胃の容積が大きければ、腸への流れが悪くても結構たくさん食べられるでしょうね。

 ところで、腹いっぱい食べて、もう要らないという食欲の抑制は、視床下部にある満腹中枢の刺激によって起こります。満腹中枢は胃壁が機械的に伸展されたり、血糖値が上がったり、脂肪細胞に脂肪吸収されると出てくるレプチンという物質などで刺激されます。 この満腹中枢が、さまざまな原因で障害を受けると、満腹しなくなり、いつまでの食欲が残り、「大食い」となります。

Q6.やせの「大食い」が多い理由は?

A6.やせているほうが、おなかが膨らむ余地が多いので、多く食べやすい。また、やせていると、脂肪細胞が少なく、そのため、脂肪細胞から出てくる食欲を抑える物質(たとえばレプチンなど)も少なくなる。以上のような事情で、やせの「大食い」が多くなるのではないかと思います。 

 
などなどと、打ち合わせを含めて、撮影は約2時間に及んだ。ダイレクターの近藤隆さんは、結構、下調べをしていて、胃下垂、褐色脂肪細胞、逆流性食道炎、などと、「大食い」の関係も尋ねてきた。 しかし、放映時間は、長くても1分であろう。今頃、ディレクターの筋書きにあった形で、必要な部分だけが、取れだされて編集されているはずである。どんな風に編集してくるのか、興味深いところだ。


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薬害C型肝炎事件と責任の所在 製薬会社か厚生省か医療機関か? 緊急医薬品情報の実態 

 薬害肝炎、骨子案もとに和解を…首相が厚労相らに対応指示(2007年12月14日13時11分 読売新聞)


 福田首相は14日午前の閣議後、舛添厚生労働相、町村官房長官と国会内で会談し、薬害C型肝炎集団訴訟で大阪高裁が示した和解骨子案への対応について、「厚労相が中心になって関係省庁と連携をとり、しっかり指導力を発揮してまとめてほしい」と指示した。 舛添厚労相は、閣議後の記者会見で「大阪高裁の案を踏まえたうえで、矛盾しない形であらゆる可能性を探っていきたい」と述べ、骨子案をベースに和解にこぎ着けたい意向を示した。
 原告・弁護団などによると、和解骨子案は、3月の東京地裁判決が国や製薬会社の責任を認めた範囲を補償対象としており、血液製剤「フィブリノゲン」は1985年8月~88年6月、第9因子製剤は84年1月以降の投与患者に当たる。補償の内容は、肝硬変・肝がんの人には4000万円、慢性肝炎には2000万円、未発症者には1200万円を支払うというもの。 範囲外の人でも、和解成立までに提訴した場合は「訴訟遂行費」(一括して8億円)を被告側が支払うが、範囲外の未提訴者は、この対象とならない。
 原告側は、こうした枠組みは被害者を線引きするものとして拒否し、司法の判断を超え、被害者全員の一律救済を実現する政治決断を福田首相に求めている。
 町村長官は、記者会見で、骨子案を基本として譲歩の余地を検討する姿勢を示した上で、「政治決断は何でもできるということではない」とも語り、原告が求める一律救済は困難だという考えもにじませた。

 

 1988年6月に、問題をおこしたフィブリノゲン製剤の緊急医薬品情報を出して、製剤の危険を訴えたので、それ以後の感染については、製薬会社や国に責任がないという考えである。そうすると、その後は、危険情報があるにもかかわらず、漫然と薬を使用し続けた医療機関と患者に責任があるということなのであろうか?

 今、緊急医薬品情報は、郵送や製薬会社のMR、薬の卸問屋などによって、運ばれてくる。郵送といっても一般郵便である。薬の回収まで行う場合もあるが、そうでない場合もある。この件の場合、緊急医薬品情報の配布はどのように行われたのであろうか?1988年6月以降に起こった感染事件例の責任の所在を考える上で大切なポイントだと思う。

 

 病気の苦しみや二次的な社会的被害は、その内容を語ることはできても、お金に換算するのはなかなか難しい。

 肝臓がんと肝硬変の値段が同じというのは、少し奇妙な気もする。肝硬変にもいろいろグレードがある。日常生活が普通にできる状態から、寝たきりまである。それでも、同じ金額というのはちょっと理屈に合わないだろう。

 

 原告側のいう「被害者全員の一律救済」とは、どういう内容なのであろうか?訴訟の文面に記載されているはずであるから、報道してほしいところである。

 

 薬害HIV、薬害C型肝炎、1980年代のミドリ十字の血液製剤は、厚生省の鬼門となった。当時の担当官たちの油断が、多くの人の幸せと命を奪ってしまった。医療は自然との闘いである。国会が定めた法律や政府官僚の通達を超えて、医療には「自然界の法則」が存在することを、忘れてはならない。


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「医師不足対策として、看護師に薬の処方を認める」という規制改革審議会の答申は間違っている!

 看護師・助産師の業務拡大=規制改革会議の第2次答申案

 
政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)がまとめた第2次答申案の全容が13日、明らかになった。答申案は「生活に身近な分野に焦点を当てた」とし、看護師や助産師が行える業務範囲の拡大や保育所の改革などを盛り込んだ。今月下旬に福田康夫首相に提出する。これを踏まえ、政府は2008年3月に規制改革の3カ年計画を策定する。
 答申案は、医療分野では医師不足解消が最重要課題と指摘。医師の過重負担の軽減策として、現在認められていない看護師による簡単な検査と薬の処方や、助産師による会陰切開などを解禁するとした。また、地方の医師不足を補うため、現在医療機関に限定されている医師の派遣業務を一般の派遣業者にも認めることを検討する。
 

12月13日17時1分配信 時事通信

 看護師は、処方ができるほど、生理学、薬理学、病理学、解剖学、内科学、外科学、その他、処方を支える基礎的な化学的知識などなどを勉強していないので、看護師が薬の処方をするのを認めるというのは、大変危険なことである。医師の過重負担の原因は、厚生労働省が無理に推し進める医療のIT化にある。医師がカルテや診断コードなどのデータ入力に忙殺されているのである。したがって、医師の過重負担を軽減する策として、もっとも有効なのは、医師一人ひとりに、事務員を付けることである。日本郵船の会長といえども、医療現場を知らず、恥ずかしい答申をまとめたものである。
 

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大腸内視鏡挿入困難例に対する対策。ダブルバルーン大腸内視鏡は役立つか? 

 小腸内視鏡として開発されたダブルバルーン内視鏡は、挿入困難な大腸にも応用できる。そこで、FTS(フジノン東芝システム)から、大腸用のダブルバルーンが開発されている。今週は、その試作機(EC450B15)を借りる機会を得たので、毎年、挿入の難しい症例2例を呼び出して、試してみた。また、たまたま、診察に来た、大腸内視鏡の草分け的名手、新谷弘美先生が、挿入できなかった症例にも、使用してみた。

 

 大腸内視鏡が盲腸、終末回腸まで挿入される率というのは、内視鏡医の技術を評価するひとつの目安である。私の評価基準は95%の挿入率で、初心者終了。98%の挿入率で、並みの大腸内視鏡医、99%で上手な大腸内視鏡医、99.75%で、大腸内視鏡の準名人クラス。99.9%で、大腸内視鏡の名人クラスと考えている。ちなみに、私の最近の挿入率は99.83%ぐらいである。

 

 大腸内視鏡挿入困難な症例は、昔(現在の80~90歳代)は、結核による腹膜癒着症例が多かったが、最近(現在の60~70歳代)は、大概、手術後の癒着による、腸管の不都合な癒着によるものである。その他には、腸管回転異常による、先天性奇形というのもある。

 

 今週集まった、大腸内視鏡挿入困難例は、すべて、術後の癒着症例である。胃癌による胃切除例が一例。この例は、横行結腸の中央部が周囲と強く癒着している。二例目は、3回開腹した症例で、s状結腸と横行結腸と盲腸が広い範囲で癒着している。また、新谷弘美先生が挿入できなかった第3の症例は、s状結腸が長い上に、胆嚢切除を行っていて、横行結腸の右半分と上行結腸が強く癒着していた症例である。

 

 1例目、通常の大腸内視鏡(EC590ZW5)を用いると、例年、ぎりぎり入ったり、入らなかったりであった。盲腸まで挿入されても、癒着のため、スコープが固定されて、観察がかなり障害されていた。この症例は、ダブルバルーン内視鏡を用いても、挿入はきわめて難しかったが、何とか挿入には成功した。観察は、ダブルバルーンのほうがうまくできた印象があった。

 

 また、第2例目は通常内視鏡でも、ほとんど、挿入できていたのだが、かなり時間がかかっていた症例である。ダブルバルーンで挑戦してみたところ、理屈どおりに、すいすいとは進まず。引いての直線化ができないので、結局、オーバーチューブをスライディングチューブのように使用して盲腸まで挿入成功。残念ながら、かなり時間を要した。

 

 最後の、新谷弘美先生挿入断念例であるが、まずは、通常のスコープでトライ。肝わん曲部での癒着が強力。一日多数例を行う忙しい新谷先生が断念したのも理解できた。そこで、件のダブルバルーン大腸内視鏡を使用。しかし、残念ながら、やはり、癒着が強力で、引いても直線化ぜず、腰が弱くてダブルバルーンでは挿入できなかった。

 

 そこで、腰の強いプッシュ式の小腸内視鏡EN410CWを取り出して、挿入を試みた。EN410cwは長い上に、先端周辺の腰が強く、アングル捜査の追随性が優れている。いわば、私の秘蔵の内視鏡である。この挿入困難例でも、アングル操作で、癒着部を見事に突破できた。ちなみに、この小腸内視鏡EN410cwは、FTS社がダブルバルーン小腸内視鏡を開発する前に、私のアドバイスで作成された内視鏡で、私にしか売れなかったようで、世界に一台だけらしい。

 

 大腸内視鏡挿入困難例3例中、2例に成功したものの、ダブルバルーンの操作は煩雑で、手にかかる力も強く、疲れるので、私は好きでない。また、画像も焦点が近接ではなくピットパターンが見えないので嫌いだ。ちなみにEN410CWはピットが見えます。洗練された挿入システムの開発の必要性を痛感した一週間であった。

 

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