たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2007年11月

大腸癌検診で便潜血反応が陽性になったら、すぐに、大腸内視鏡検査を受けましょう。

 昨日、遠方から、60歳代の患者さんが来院した。聞けば、2006年の春、市の便潜血反応検査で、2回のうち1回陽性になり、検査を進められるも、放置。さらに、今年2007年の春に再度、市の便潜血反応で、2回のうち2回とも陽性になるも、再度放置。しかし、次第に心配になり、かかりつけの内科の先生に勧められて、大腸内視鏡検査を覚悟。無痛で内視鏡をしてくれるところを探していて、当院に来た患者であった。大腸内視鏡検査の結果、S状結腸に進行大腸癌が見つかった。

 患者さんは、ありとあらゆるといってもいいくらい、多数のサプリメントを飲んでいる人で、健康には大変注意していたようである。「症状が出なくても癌ということがあるのですか?私はおなかも痛くないし、痩せても来ませんよ。それでも、癌なんですか?」と患者の弁。「癌で症状が出るのは、かなり病状が進んでからです。」と私が説明。患者さんは癌を告知されたショックと、病気や死への不安、また自分の不適切な対応を悔いて、うっすらと涙を浮かべて一言。「甘く見ていました・・・。」

 確かに、便潜血反応の陽性的中率は、3~5%である。(便潜血反応が陽性となった場合、精密検査を受けて大腸癌が見つかる確率のこと)。 また、オッズ(陰性者に対して陽性者が癌にかかる割合)は3~4倍程度しかないものではあるものの、やはり、大腸癌検診で便潜血反応が陽性になったら、すぐに、大腸内視鏡検査を、技術レベルの高い、しかるべき医療機関で受けるべきである。

 

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「混合診療」を認めない国の政策は違法! 東京地裁 国は命を救う行為を邪魔しないで助けてほしい。 


国は命を救う行為を邪魔しないで助けてほしい。


混合診療を認めない国の政策は違法。東京地検(定塚誠裁判長)「保険を適用するかどうかは個別の診療ごとに判断すべき」





 読売新聞、産経新聞、日経新聞、NHKが伝えるところによると、2007年11月08日に東京地裁で、「「混合診療」禁止している厚生労働省の政策は違法。」との判決があった。地裁レベルであり、行政側は控訴する方針と伝えられており、判決は確定したわけではない。「少しでも、生きながらえたい、できるだけいい治療をしたい!」という、がん患者の涙ながらの訴えに、裁判官が一般人の常識をもって答えたということである。中学同窓の山口二郎北海道大学教授が述べているように、また、東京地裁の判事も判決文の中で言うように、現行の法律の条文の中には、「混合診療」の文字は、一文字たりともないのである。(ただし、山口二郎さんは、「混合診療」反対の立場ではあるが・・・。)

 4年前、小泉行政改革の一環として、混合診療解禁について、議論があったとき、東京大学、京都大学、大阪大学の医学部の病院長が、3人揃って官邸に出向き、混合診療の解禁を求めたことがあった。その際、自民党、民主党、公明党、社民党、共産党すべての政党の厚生行政担当議員から、恫喝に近い言葉を浴びせられたそうである。「お金がない人間は死ねというのか!」と。

 でも、現実は皮肉なもので、この訴訟のように、混合診療を認めないために、治る可能性のある治療を経済的な理由のために受けられないという事態が進行していたのである。日本の経済没落に伴う、日本の医療費削減という医療改革のお題目の中で、社会保険医療は、ますます切り詰められているのが現実である。治療法が進歩して治せるようになったのに、社会保険に収載されていないという理由で、社会保険併用で患者に適応できない治療法が増えているのである。命が救われたいと自由診療でその治療を受ける際に、この混合診療禁止ルールが、患者の経済的負担をますます重くしているのである。(一方、混合診療禁止ルールは、保険者や国の負担は軽くしている。)

 「国にお金がない、国民の命は平等でなくてはならない」という事情で、助けられる命を助けないという、今の日本の姿は間違っていると思う。人の命を救うのが使命の医師には、こんな姿は、まったく納得できない。もともと、人の命や健康は、残念ながらルソーの理念とは異なり、不平等にできているのである。自民党、民主党、公明党、社民党、共産党すべての政党の人たちに、人の命や健康が不平等であるという、自然の摂理を、直視してもらいたい。











「混合診療」認める初判決  東京地裁


2007.11.7 15:30
 腎臓がん治療のため、保険適用対象となるインターフェロン治療と、保険適用外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併合して受けた患者が、インターフェロン治療まで自己負担とされたのは不当として、インターフェロン治療に対する保険適用を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。定塚誠裁判長は「インターフェロン治療に対する保険が適用されない根拠は見いだせない」として、患者側の請求を認めた。
 厚生労働省によると、現在認められていない「混合診療」を認めた判決は初めて。
【用語解説】混合診療
 一般の保険診療と、保険が効かない自由診療を併用する治療をいう。混合診療を行うと、すべての診療が自由診療の扱いとなり、患者は医療費すべてを負担しないといけなくなる。
 混合治療を認めると患者の医療負担が大きくなるため、所得によって医療内容に差が出るといった理由で、現在は認められいない。一定のルールをつくった上で解禁すべきという議論があり、政府内でも検討が進められているが、実現までには至っていない。
(産経新聞)



「混合診療」禁止は違法、東京地裁が国側敗訴の判決
 健康保険が使える診療(保険診療)と保険外の診療(自由診療)を併用する「混合診療」を受けた場合、保険診療分も含めて全額患者負担になるのは不当だとして、神奈川県内のがん患者が国を相手取り、保険を受ける権利があることの確認を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。
 定塚誠裁判長は、混合診療を原則禁止している国の政策について、「混合診療を禁止する法的な根拠はない」と述べ、原告に保険の受給権があることを認め、国側敗訴の判決を言い渡した。
 日本の健康保険制度の前提となってきた「混合診療の原則禁止」という考え方を違法とした初めての司法判断で、厚生労働省は今後、混合診療のあり方について、抜本的な議論を迫られそうだ。
 訴えていたのは、神奈川県藤沢市の団体職員、清郷(きよさと)伸人さん(60)。
 判決などによると、清郷さんは腎臓がんの治療のため、同県内の病院で2001年9月から、保険診療のインターフェロン療法と、自由診療の「活性化自己リンパ球移入療法」と呼ばれる治療法を併用していたが、05年10月、病院から「混合診療にあたるので続けられない」と告げられ、併用できなくなった。
 訴訟では、混合診療の原則禁止という国の政策に法的な根拠があるかどうかが最大の争点となった。
 国側は「健康保険法で保険の適用が認められているのは、国が安全性や有効性を確認した医療行為。自由診療と組み合わせた診療は保険診療とは見なせない」などと主張。これに対し、判決は「保険を適用するかどうかは個別の診療行為ごとに判断すべきで、自由診療と併用したからといって本来保険が使える診療の分まで自己負担になるという解釈はできない」と、国の法解釈の誤りを指摘し、混合診療禁止に法的根拠はないとした。
 また、国側は、混合診療ができるケースを健康保険法が例外的に定めていることから、「例外以外は禁止できる」と主張したが、判決は「法律などには、例外以外の混合診療がすべて保険の対象から排除されると解釈できる条項はない」とし、原告には保険を受ける権利があると結論づけた。
 ただ、判決は「法解釈の問題と、混合診療全体のあり方の問題とは次元の異なる問題」とも述べ、混合診療の全面解禁の是非については踏み込まなかった。
(2007年11月7日23時55分 読売新聞)


混合診療、全額負担は違法・東京地裁、がん患者の訴え認める
 保険対象の治療と対象外の治療を併用する「混合診療」に保険を適用せず、患者に全額負担を求める国の制度の是非が争われた訴訟の判決で、東京地裁(定塚誠裁判長)は7日、「国の健康保険法の解釈は誤り」と指摘し、混合診療の原則禁止を違法とする初の判断を示した。
 混合診療をめぐっては、患者の負担軽減のため全面解禁を求める意見の一方、医療の安全性確保などの側面から弊害を指摘する声も根強い。厚生労働省は控訴するとみられるが、判決はこうした議論や医療現場に大きな影響を与えそうだ。(21:47)
神奈川県に住むがん患者の清郷伸人さん(60)は、公的な健康保険が適用される診療に加えて保険が適用されない免疫治療を受けると、すべての治療費が自己負担になるのは不当だと訴えていました。国は混合診療を原則として認めておらず、患者が日本で承認されていない薬を使ったり実績の少ない新しい治療を受けたりすると、本来なら保険で賄われる検査などの費用も全額、患者の負担にしています。判決で、東京地方裁判所の定塚誠裁判長は「併用することで、保険が適用される診療も含め、すべての費用を患者の負担にするのは法律の根拠がなく誤りだ。保険を適用するかどうかは個別の診療ごとに判断するべきだ」と指摘し、混合診療を認めない国の政策を違法とする初めての判断を示しました。混合診療については、国だけでなく日本医師会も、すべての国民をひとしく保険で支える制度の崩壊につながるとして強く反対しています。判決は国の政策を誤りとしたうえで、患者がさまざまな治療を受けやすくすることに道を開くもので、混合診療の是非をめぐる議論に、今後、大きな波紋を広げそうです。判決のあとの記者会見で、原告の清郷さんは「国を相手にひとりで闘った裁判だったので不安でした。負けるとますます混合診療が禁止され、患者を縛る制度が続くことになるので、どうしても勝ちたかった。ほっとしています。わたしひとりの問題ではなく、難病や重い病気に苦しむ全国の患者が、希望する治療を合理的な負担で受けられるように、国は制度を改めてもらいたい」と話していました。一方、厚生労働省は「混合診療の取り扱いに関する目的の合理性と制度の妥当性について主張してきましたが、この主張が認められず、きわめて厳しい判決であると考えています。今後の対応については判決の内容を検討し、関係機関と協議のうえ速やかに決定したい」という談話を出しました。
(NHK)

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