昨日、遠方から、60歳代の患者さんが来院した。聞けば、2006年の春、市の便潜血反応検査で、2回のうち1回陽性になり、検査を進められるも、放置。さらに、今年2007年の春に再度、市の便潜血反応で、2回のうち2回とも陽性になるも、再度放置。しかし、次第に心配になり、かかりつけの内科の先生に勧められて、大腸内視鏡検査を覚悟。無痛で内視鏡をしてくれるところを探していて、当院に来た患者であった。大腸内視鏡検査の結果、S状結腸に進行大腸癌が見つかった。
患者さんは、ありとあらゆるといってもいいくらい、多数のサプリメントを飲んでいる人で、健康には大変注意していたようである。「症状が出なくても癌ということがあるのですか?私はおなかも痛くないし、痩せても来ませんよ。それでも、癌なんですか?」と患者の弁。「癌で症状が出るのは、かなり病状が進んでからです。」と私が説明。患者さんは癌を告知されたショックと、病気や死への不安、また自分の不適切な対応を悔いて、うっすらと涙を浮かべて一言。「甘く見ていました・・・。」
確かに、便潜血反応の陽性的中率は、3~5%である。(便潜血反応が陽性となった場合、精密検査を受けて大腸癌が見つかる確率のこと)。 また、オッズ(陰性者に対して陽性者が癌にかかる割合)は3~4倍程度しかないものではあるものの、やはり、大腸癌検診で便潜血反応が陽性になったら、すぐに、大腸内視鏡検査を、技術レベルの高い、しかるべき医療機関で受けるべきである。
クリニックの案内・地図|(ポリープ切除付)無痛内視鏡消化管ドック|田渕正文院長の履歴|