たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

2005年08月

高性能拡大内視鏡 解像度7ミクロンの世界 

当院で現在使用している拡大内視鏡は、解像度が7ミクロン。画素数130万。顕微鏡でいうと約200倍の画像に匹敵する。毛細血管が鮮明に見える。小腸絨毛のなかのループ状の毛細血管も鮮明に見える。赤血球の流れが見えることもある。ループを通過する時間は、0.2秒程度である。ただし、条件により、見えたり見えなかったり、早かったり遅かったりする。また、特殊な色素を使うと核の形態も見える。大腸癌の核の形は特徴的で、良性に比べて大きくなり、散在する。癌の種類により、核の形態も異なるようだ。高性能の拡大内視鏡が切り開いた世界は、今後、病態・生体機能の解明や内視鏡診断の助けになりそうである。

ペットがん検診の限界

 PET(positron emission tomography)による癌検診が、注目されています。原理は、癌が光る物質(正確には代謝の盛んな場所に取り込まれる陽電子を放出する物質)を注射して、癌を探るという仕組みです。2005/01/10に述べたように、現在のPETでは、1cmを越えた腫瘤を形成しないと、癌は見つかりにくいと言われています。最近、ペット癌検診をうけて胃に不明瞭な集積があり、念のため胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を受けてくださいということで、来院した患者さんがいました。内視鏡検査を実施したところ、胃にはピロリ菌による慢性胃炎があり、また、食道には約3cm大の早期癌がありました。なぜ、食道癌がペット検査で見つからなかったのでしょうか?第一の原因は食道癌が早期のため薄っぺらで、映らなかったのです。実は、問題はそれだけではなく、癌を光らせる物質は代謝の盛んな心臓にも大変多く取り込まれるため、心臓周囲の病変は良く見えないのです。今回の食道癌はちょうど心臓の裏側にありました。ペットがん検診を受ける方は、必ず、消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)のチェックを内視鏡で行い、ペット検査の弱点である、消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)の早期がんの見落としを補完してください。当院の提供する無痛で精密な消化管ドックのページはこちら

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