たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

潰瘍性大腸炎 日常生活の注意事項

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 写真は、潰瘍性大腸炎に使う薬たちです。プレドニゾロンは一錠9.6円、レミケードは1バイアル89536円、アサコールは一錠88.6円です。レミケードは一回に3-5バイアル、2か月に1週程度使います。

 潰瘍性大腸炎とは20歳のころから37年間、患者として、不本意ながらお付き合いしています。25歳からは、医師として、自分自身も含めて、ずいぶん多くの患者さんを診てきました。今日は、普段、潰瘍性大腸炎の患者さんに説明している日常生活の注意事項を紹介します。特に、はじめて発病した方は、「どんなふうに日常を過ごせばいいのか」 分からないかたも多いと思います。独断の事項もありますが、患者さんのご参考になればと思い、列挙します。

#1  からだを冷やさない、厚着をする。
#2  唐辛子をたべない 調味料には唐辛子が入っていないかどうか気をつける。
#3  だいこんとしょうがを食べる。
#4  お酒をのまない。とくにからだの冷えるビールはのまない。
#5  便秘に効くお茶は飲まない。ふつうのお茶をのむように。
#6  食べて悪くなるものは控えるように。食べたものを覚えておけないときは、写真に撮っておきましょう
#7  古くなったり、悪くなったりしたものを食べて、下痢することがないようにしましょう。
#8  風邪をひかないようにしましょう。かぜの治りかけに、潰瘍性大腸炎が悪化します。
#9  ワクチン接種は、いつも見てもらっているお医者さんと相談してきめましょう。
#10 病気が活動期のときは妊娠しにくい。
#11 妊娠すると悪くなるといわれていたが、必ずしもそうではない。
#12 運動は、活動期には激しい運動を控える。
#13 プールには入ってもよいが、ともかくからだを冷やさないように
#14 温泉は問題ない
#15 コーヒーは下痢になるのでやめた方がよい。
#16 なになにしなければならないと考えるのではなくて、なになにしようと考えて行動しよう。
#17 薬は忘れず、まめに飲もう。
#18 外食のカレーは要注意、食べないほうがよい。

インドネシア新幹線受注、日本、中国に負けた。敵も知らず己も知らず、100戦危うし日本政府

 先日、内閣官房にいる方と話す機会があった。インドネシア新幹線の受注に関して、日本は中国に敗れた。このことについて、安倍総理が「個人的関係を築いてもだめなのか?」と、ため息をついたという。真偽のほどは不明だが、「日本政府が受注に失敗したことに落胆している」とは想像に難くない。とくに安倍首相はアセアン重視の姿勢を鮮明にしているから、そのショックもうかがい知れる。
 私は2度中国の新幹線に乗ったことがある。一度は、杭州・上海間、今一度は、大連・瀋陽間である。また、私の故郷は岡山だから、日本の新幹線乗車回数は、200回をこえる。

 「中国の新幹線にのったことがありますか?内閣の方の中に中国の新幹線に乗ったことがある人がいましたか?」
 「そういえば、乗ったことがあるといった人はいなかったなあーーー」

「私は、この間、上海杭州間にのったのですが、50mの高架橋の上を、時速364kmの巡航速度で、ほとんど揺れずにすっとんで走ったのでびっくりしました。まるで、離陸する飛行機みたいな感じでした。」

「へえ、そうなんですか?すごいですね。ドイツでは車輪で500kmの高速列車のうわさを聞いたことがありますが・・・。」

「それに比べて、日本の新幹線は揺れてます。最近はコンピューターによるサスペンションの調節できる車両がでてから、速度も乗りごごちも改善していますが、せいぜい時速300kmです。」

新幹線という商品そのものが、負けているのだから、いくら、個人的な関係が築かれていても勝てない。
敵を知り己を知れば100戦危うからずという孫氏の兵法の言葉があるが、
「敵も知らず、己も知らず」 これでは、勝てるわけがない。

数年前、開業したての中国新幹線事故を、マスコミは大きく取り上げていた。「ぼろだ」とか「ひどい」とか。しかし、新幹線のスピードや揺れ具合などその機能の実情を正しく伝えていなかった。日本には油断があったと思う。



 
 

レオナルド イン 日本 Leonardo in  Japan

ACミランなど名だたるチームの監督を務めてきたレオナルドさんは、治らない病気の人たちのために、レオナルド基金を運営しています。「がん撲滅の会」はその趣旨に賛同して、レオナルドさんを日本にお招きし、「がん予防・撲滅の知識の普及」のために レオナルドさんと通訳の鈴木國弘さんと3人でトークショーを行っています。

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10月12日は、東京の全日空ホテルで開催しました。
大勢のサッカーファンの方々がお集まりになりました。ご寄付ありがとうございました。
10月14日は、岡山のカルチャーホテルで開催しました。
大変大勢の若い方々がお集まりになりました。ご寄付大変ありがとうございました。
10月17日は、鹿島アントラーズの本拠地茨城県鹿島で開催します。
詳しくは次のページをご覧ください。
http://www.so-net.ne.jp/antlers/news/club_info/51151

また、本日15日は、レオナルドさんのご希望で、日本3大お稲荷さんのひとつ、佐賀県鹿島の祐徳稲荷神社に午前中お参りします。トークショーでも話題になった、「次期日本代表監督」のうわさは、お稲荷様の力でなんとなく実現しそうな予感がします。

世界のレオナルドが、日本のがん撲滅の応援に来ます!

J1鹿島アントラーズ

元ブラジル代表MF(ワールドカップ優勝)

ACmilan背番号10   元インテル・ミラノ監督

そして・・Jクロニクルベストゴール受賞

レ オ ナ ル ド


田淵正文(たぶち まさふみ)

レオナルド顔写真たぶち正文ポスター写真


来 日 共 同 会 見 ・ トークショー の お 知 ら せ

ブラジル代表、J1鹿島アントラーズなどでプレーし、ACミラン、インテル・ミラノで監督も務めた「レオナルド・ナシメント・ジ・アラウージョ」氏が12日、がん撲滅の応援のために来日します。レオナルド自身が展開している「レオナルド基金」と私たち「がん撲滅の会」(理事長 田淵正文)がコラボして、東京都、岡山県、そして第二の故郷でもある茨城県鹿嶋市で、チャリティトークショーなどを展開、「難病克服、がん撲滅」への協力を呼びかけます。レオ自身の近況やサッカーに関する質問も受け付けますので、みなさま、おいでください。



【 記 】

会見日時   10月12日(月)午後2時~ 約30分の予定

         ※会見受付は、午後1時半ごろ~

トークショー日時  10月12日(月)午後3時~午後5時 約2時間の予定

         ※会見受付は、午後1時半ごろ~

お問合せ       一般社団法人「がん撲滅の会」

         東京都目黒区青葉台1-27-10アーベイン青葉台ビル3F

   TEL03-6303-3357  FAX03-6303-3344  Mailinfo@ganbokumetsu.com

担当 はらだ・わたなべ

※会見に参加ご希望をされる報道機関さまは、10日(土)までに ①御社名 ②会見参加人数 ③ご連絡先(TELFAX) ④ご希望、ご要望 などを明記し、FAXにてご連絡ください。




 

会場      ANAインターコンチネンタルホテル東京 
         地下1階プロミネンス No3  東京都港区赤坂1-12-33

会 見 人         レオナルド & 田淵正文(たぶち・まさふみ)

がん予防 第4カ条 大腸ポリープをとろう

今年の厚労省の発表によると、大腸癌にかかる方はうなぎ上りに増えていて、年間何と20万人もいるそうです。つい、3-4年前は15-16万人と言っていたのですから、大変な上昇率です。死亡者数は約5万人程度だそうです。女性の死因のトップは大腸癌です。

 ところで、大腸ポリープ・大腸癌は、私の専門分野です。これまで、約
16万個もの大腸ポリープ・大腸癌をとってきました。端的にいって、大腸ポリープ(大腸異型細胞)をすべて取り続けると「大腸がん」は出て来ません。ちまたでは、大腸癌が増えているというのに私のところに通い続けている人からは大腸がんは1例も出てこないのです。
 

私の大腸内視鏡検査を受けている人を対象に2009年に調査してみたところ、私の指示どおりに内視鏡検査を受けて、クリーンコロンを目指して、大腸ポリープを取り続けている人からは、1例として、大腸がん患者は出てきませんでした。クリーンコロンとは大腸ポリープが一つもないことのことです。

専門的に言うと、3万人年みていても、進行大腸がんは1例として出てこなかったのです。3万人年とは、たとえば1500人なら、平均20年見続けたということです。たとえば、2000人なら平均15年見続けたということです。大腸ポリープをきちんと取っていれば、大腸がんはほぼ完全に予防できるのです。

アメリカでは大腸がんは「self-dependent disease」と呼ばれています。直訳すると「自分に依存している病気」です。すなわち、自分で気をつけてポリープをとっていればかからなくても済む病気ということです。現にアメリカでは、加入している保険会社から、保険の継続にあたって、大腸内視鏡検査をうけて大腸ポリープをとるように勧められます。その結果、この30年間で、アメリカでは大腸がんの発生数・死亡者数ともに半減しました。これは対策も手薄な貧困層も含めての数字ですから、大腸ポリープをとることがいかに大腸がん発生を抑えるか、如実に示しています。

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がん撲滅11カ条のちょっと詳しい説明 その1

がん撲滅11箇条

1〜3 カ条について

がん撲滅
第1カ条
たばこをやめよう

大気汚染のない環境では、たばこを吸う人は 吸わない人の25倍 肺がんになります。大気汚染をなくし たばこを止めて 肺がんを予防しましょう。
日本では、肺がんで 毎年8万人あまりの方々がお亡くなりになっています。タバコをやめて大気汚染もなくなれば、肺がん死亡者は8万人からわずか毎年3200人へ?!

第2カ条
ピロリ菌を退治しよう

胃がんになった方で、ピロリ菌の感染(既往も含む)のない方は、ほとんどいません。つまり、ピロリ菌に感染しなけばほぼ胃がんにはならないのです。
また、ピロリ菌に感染している人は、人生のうちで約12パーセントの人が胃がんになります。ピロリ菌を退治すると 退治後 3年目から 胃がんの発生率は約5分の1に減ります。国を挙げてピロリ菌を退治したら、胃癌死亡者数5万人から1万人へ?!

第三カ条
アルコールを控えよう

 アルコールと大腸腫瘍の関係を15年くらい前に私の患者を対象に解析したところ、日本酒を5合毎日飲むと 大腸がんは飲まない人の2倍でした。ビール毎日1.5リットル飲んだ人は、大腸ポリープの発生が2倍になっていました。大腸がんのほかにも、咽頭がんや食道がん 胃がんや膵臓がん 肝臓がんなども、アルコールで発生しやすくなります。

 ところで、意外なことに、アルコール自体には発がん性がありません。が、代謝産物のアセトアルデヒドに発がん性があります。アセトアルデヒドは吐き気を催す酔っ払いの吐物の嫌な臭いの物質です。この物質が体に残ると「がん」が出やすくなります。

 ちなみに、アセトアルデヒドの代謝は、日本人では、一様ではありません。日本人の約45パーセントの方は白人や黒人と同じく、アセトアルデヒドを立ち所に分解します。この人たちにとっては、お酒はジュースと同じです。また、10パーセントの人はアセトアルデヒドが代謝できません。この人たちは、お酒を飲むとアセトアルデヒドの毒で倒れてしまいます。そして、残りの45パーセントの人たちは、アセトアルデヒドをゆっくりとしか代謝できません。倒れて全く飲めないというわけでないが、二日酔いするというわけです。

この最後に述べた方々がアセトアルデヒドが身体に溜まり、アルコールによる「がん発生」リスクが一番増加します。お酒を無理に惰性で飲んでいる方は特に要注意です。

大連出張

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今日は大連に出張です。
富士山に雲が襟巻きしていました。

平和を守る硬軟外交

あの国のあの賢い政府と付き合うには 全力で知恵を絞って 硬軟織り交ぜた対応が必要。軍事技術や国際環境の変化に応じて防衛作戦が変化するのは当然のこと。硬の次は軟だ。

DDW2015 Washington 2日目

成田から2回乗り換えて 早朝に無事 ワシントンに到着。早速 学会場へ。以前も 一度来ているはずなのに何故か初めてのよう。今回は 発表なしで、学会2日目から参加。着いて早々朝一から、ひたすら聴講。
色々と新しい事があるが、家族性大腸腺腫症のpolypが スリンダック150mg/dayとエルロチニブ75mg/day3ヶ月ですっかり消失していたのには、感動。きっと標準療法になるだろう。
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便潜血検査と便中ピロリ菌抗原検査の結果解釈

4月5日の岡山ドームで開催された岡山健康フェスタで、便による簡易がん検診を行いました。
その結果の解釈の仕方と今後どうすればよいかについて解説します。

便潜血反応 

陽性者 → 経験豊富な先生のところで必ず大腸内視鏡検査を受けてください。
陰性者 →  便潜血一回法による大腸進行がんの拾い上げの確率は70%ぐらいしかありません。 陽性よりも陰性の方がリスクが低いのは事実ですが、便潜血反応が陰性だからといって、進行がんはないと考えるのは危険です。大腸がんのリスクを「零」にしたい方は経験豊富な内視鏡医で内視鏡による精密検査を受けるようにお勧めします。

便中ピロリ菌抗原 

陽性者→ ピロリ菌がいます。経験豊富な先生のところで内視鏡検査を受けて、薬を飲んでピロリ菌を退治しましょう。
陰性者→ ピロリ菌がいない可能性が高いです。検査も繰り返してください。ただし、100%の胃がん予防を目指すのであれば、経験豊富な先生に内視鏡検査をやってもらいましょう。




 

おかやま健康フェスタ 4月5日 岡山ドーム

来る4月5日に「おかやま健康フェスタ」をあおそらの会、山陽新聞や岡山放送、岡山サッカー協会、岡山赤十字センターなどなど、岡山の人たちと一緒に、岡山ドームで開催します。楽しいイベントや企画がありますので、お時間のある方は是非ご参集ください。
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がん予防十一箇条 がん予防の勧め

今の日本でガンを予防するのに、重要なポイントを
近年の医学上の成果をふまえて、11カ条にまとめてみました。
話せば簡単なようですが、実際に実行するとなると難しいものです。
しかし、実行できれば、がんの発生リスクは半分以下になるでしょう。

がん予防十一箇条

一、 タバコをやめよう
二、 ピロリ菌を退治しよう
三、 アルコールを控えよう
四、 大腸ポリープをとろう
五、 脂ものを控えよう
六、 空気と水をきれいにしよう
七、 肝炎ウィルスを退治しよう
八、 放射線被曝を避けよう
九、 がんウィルスに気をつけよう
十、 がん検診を受けよう
十一、 よく寝て、よく笑おう

第3回がん撲滅の会でがん半減の方策を語る

第3回がん撲滅の会が、2月26日 ホテルニューオータニ 鶴の間で開催されました。
412名の方にご参集いただきまして、誠にありがとうございました。
ビデオができましたので、是非ご覧ください。
1)ダイジェスト版 約3分


1)唐澤克之先生 最新の放射線治療 約30分

2)田淵正文 がん半減をめざして 約90分
知って得する「がん予防知識」が素人の方にもわかりやすく
解説されたと大変好評でした。
お時間のあるときにじっくりとごらんください。



 

第3回がん撲滅の会 ご案内

来る2月26日木曜日の午後6:00から、東京赤坂見附のホテルニューオータニで、第3回がん撲滅の会を開催します。今年、86万人の日本人がガンになり、36万人がガンで死ぬと予想されています。がんは身近な問題です。がんの基本から、がんにならない生き方、注目のがん新薬、最新の放射線治療、がんをめぐるお金の問題について、お話したいと思います。がんに関心のある方は、ぜひとも、ご参集ください。入場無料です。皆様のご参加をお待ちしています。いらっしゃる場合は、FAX(03-6303-3344)かメールinfo@ganbokumetsu.comにて、あらかじめのご連絡をお願いします。
第3回がん撲滅の会パンフレット1
第3回がん撲滅の会パンフレット2

夕刊フジのブラックジャックを探せに載った。

夕刊フジのブラックジャックを探せに載った。2月15日の日曜日に取材に来ていたのであるが、あっという間に記事になるんですね・・・・。ところで、間違いあり。まだ誕生日が来ていないのでまだ56歳です・・・・・・
20150219夕刊フジ18
 

胃癌のリスクを劇的に減らす方法

胃癌のリスクを劇的に減らす方法

<副題 バリウム検診に代わる胃癌撲滅の最新理論と技術>


田淵正文


 近年の日本では、胃がんの発生数は減少してきたとは言え、以前、多くのお方が胃癌でお亡くなりになっている。先日もNさんという53才の女性が胃の痛みで、来院された。上部内視鏡とエコー検査で転移をともなう進行胃癌と判明。手を尽くす暇も体力もなく、わずか3カ月であっという間にお亡くなりになった。内視鏡で見ると、Nさんの胃にはピロリ菌がうようよしていた。ピロリ菌が胃がんの原因と分かった今でも、ピロリ菌退治の体制確立が遅れている。そのため、このような悲劇が毎日約150人、日本の各所で起こっていると思うと、おもわず、涙が出てくる。

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 胃癌のリスクを劇的に減らす方法が開発されている。それは、ピロリ菌退治だ。ピロリ菌退治をすると、退治して3年以上たつと、胃癌の発生率が約8割も減少するという臨床実験結果が、10数年前から全国の多数の研究施設から報告されているのだ。一方、ピロリ菌に一度も感染したことがない人には胃癌が発生しないという衝撃的な研究結果も複数の施設から報告されている。日本全国で毎年約5万人~5万5千人の死亡者がでる胃癌、その罹患者数を激減させる道筋が明らかになってきた。


 さて、ピロリ菌とは何か?どういう生態なのか?


ピロリ菌は胃の中で繁殖する細菌である。胃の中というと、胃酸がある。胃は塩酸を分泌し。その酸の濃度はPH1~2ときわめて強酸である。したがって、胃の中ではどんな細菌も死滅するだろうと考えられてきた。事実、大腸菌、ビフィズス菌など、ほとんどの細菌は、強酸の分泌する胃のなかで生きてはいけない。


ところが、1983年、胃の中で繁殖し、胃炎を引き起こす細菌がオーストラリアで発見された。発見者はマーシャル先生とウォーレン先生(後の2005年この功績でお二人はノーベル賞を受賞)。胃の出口のことを、ラテン語でピロリということから、この細菌は「ピロリ菌」と命名された。調べてみると、このピロリ菌、ウレアーゼという酵素を持っていて自らアンモニアを産生して、胃酸を中和するという特殊能力をもっていた。そのため、強酸の胃の中で生きて繁殖していけるのだ。逆に、酸性の環境以外では、自ら産生するアンモニアのため、繁殖できない。生物にとって、アンモニアは猛毒だからだ。


ピロリ菌の生態や感染経路は、どうなっているのか?胃の中で繁殖したピロリ菌は、消化管の動きに沿って、便の中に出てくる。注意深く観察すると、ピロリ菌は酸のないところでは、栄養型の竹トンボのような形から、球形のコッコイド型に変態する。調べてみると、このコッコイド型のピロリ菌は増殖せず、じっとしていて、半永久的に感染力を持っていた。いわば、ピロリ菌の卵状態であった。


日本では人糞を長年肥料として土にばらまいてきた歴史がある。つまり、日本の土の中には、卵状態のピロリ菌がいる。この卵状態のピロリ菌が何かの拍子に間違えて口から胃に入ると、人はピロリ菌に感染するのだ。ピロリ菌の感染源は土である。


意識的に土を食べる人はいない。だが、土と接するハエやゴキブリのからだの表面には、ピロリ菌が証明されている。だから、ハエやゴキブリが触れた食材を知らず知らずに食べるとピロリ菌に感染する。土のついた野菜などの食材をそのまま口にすると、これまた、ピロリ菌に感染する。土と接する井戸水などもあやしい。ただ、ありがたいことに、このピロリ菌、熱に弱く煮沸すると感染力はなくなる。

ピロリ菌がガンを引き起こすメカニズムの解明も進んでいる。ピロリ菌の持続性の感染により、慢性胃炎がおこり、炎症の持続によって、胃の細胞に遺伝子異常が蓄積されて、ガンが発生しやすくなる。さらに、ピロリ菌には、D因子という膜に孔をあける4量体の蛋白を合成する遺伝子があり、この遺伝子のコピー数が多いピロリ菌ほど、がんを惹起させることも報告されている。

今、このピロリ菌にどのくらいの人が感染しているのか?ピロリ菌の感染率は年代によってちがう。土に接触する機会の多かったお年寄りの方ほど、感染率は高い。おおざっぱにいって、年齢マイナス10%くらいの感染率だ。たとえば、30歳なら20%ぐらい、40歳なら30%ぐらい、50歳なら40%ぐらいだ。

では、ピロリ菌に感染しているのかいないのか、どうやって調べるのか?血液テスト、便テスト、呼気テスト、内視鏡検査などで診断できる。2013年2月からは、内視鏡検査で陽性と認められた場合、社会保険でピロリ菌退治もできるようになったので、治療も考えれば、現時点では、内視鏡検査が妥当かもしれない。

それでは、ピロリ菌、どうやって退治するか? PPIという胃酸を強力に抑制する薬と酸の環境でも活性のある抗生剤2種類を1週間飲むことで、ピロリ菌は約90%除菌できる。それで、退治できない人でも、別の抗生剤の組み合わせで、ほとんどが退治できる。しかし、先に述べたように、ピロリ菌のいる食材を食べていると、すぐに再感染するので、見掛け上なかなか退治できないので、要注意だ。

現段階では、よく勉強して最新知識をもっている、内視鏡検査の上手な消化器内科の先生に相談してみるのが、ピロリ菌退治の最短コースだ。


さて、一方、現行の胃癌検診といえばバリウム検査だ。実は、このバリウム検診、1994年にWHOが全世界に向けて「禁止勧告」を出していて、現況では、胃癌のバリウム検診は、日本以外では1カ国も実施されていない。それは、放射線被曝により受診者の約2%に遅発性のがんが発生するからである。現に、この検査をずっと続けているわが国では、近年、悪性リンパ腫などの血液系のがん発生数は、ウナギ登りで、40年前は年間7500人程度であったものが、今や年間約4万人と激増しているのである。

1994年、WHOは「人口の約8%前後が胃癌に罹患する日本では、かりに2%ぐらいの人が遅発性に発癌したとしても、他に方法がない現状では、日本に限り、バリウム検診は容認される。」としていた。

しかし、「ピロリ菌退治をすると、胃癌の発生率が約8割減少」し、「ピロリ菌に一度も感染したことがない人には胃癌が発生しない」という研究結果が医学界の常識となった現在、WHOの勧告は一層重いものとなっている。もはや、従来のごとく、バリウム検診が続くとは考えられない。現行の胃癌のバリウム検診体制は早晩廃止され、ピロリ菌除菌を中心とした検診予防体制が確立されるであろう。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あけましておめでとうございます


 あけましておめでとうございます。新春に当たり皆様の益々のご繁栄とご健康をお祈り申し上げます。年間86万人前後が「がん」になり、36万人が「がん」で死ぬ時代です。今年も「がん」退治で、日本国民に尽くしあげる所存です。どうぞ、ご協力ご支援をお願い申し上げます。
 第3回がん撲滅の会を2月26日(木)午後6:00から午後9:00まで東京のホテルニューオータニで開催します。最先端のガン予防やガン治療について、一流の講師陣がお話します。入場無料ですので、どうぞご参加ください。

甘利明 健康・医療戦略大臣に 胃がん検診の改革とピロリ菌予防法の策定を進言

 11月初旬、相模台病院の山上松義会長のお計らいで、甘利明先生との会食の機会があり、1時間半にわたり、胃がん検診の改革とピロリ菌予防法の策定の重要性を進言した。来年度の胃がん検診は、バリウム検診からハイリスク検診へ、学問的によりまともなものに改革されるだろう。
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荒川区長、西川太一郎先生の医療費適正化の御講演を聴く

 東京のここ2-3日は寒くて12月中旬の寒さだが、暖かい部屋で食べるアイスクリームはまた格別。

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 今週は11月13日の木曜日、定例の志帥会で、医療費適正化に関しての荒川区の取り組みとその成果について、西川太一郎荒川区長のご講演があった。

#1 ジェネリックの医薬の促進(区から患者へ電話や手紙で勧誘)
#2 糖尿病患者への栄養士・保健士による直接の生活食事指導(糖尿病から透析となり、医療費が増える)
#3 複数の同系統・医療機関の掛け持ち受診者へ、保健士の派遣して、受信先をひとつにするように勧める。

 レセプトが電子化されて、患者データが簡単に手に入り集計できるようになったことで、個別に
これらの取りくみがどれくらい効果があるかすぐにわかるそうだ。誰がどういう治療を受けているか、
簡単にわかるからである。

#2、#3については、病気を減らして医療費適正化ということで、異論のないところである。

さて #1についてであるが、
荒川区の実績から、#1を全国に広めると、年間1600億円の医療費が浮くという。「国会議員の皆さんも、それぞれの選挙区での財政再建のためには、これらの策を参考にしてください」とおっしゃった。

#1について、ご講演の中でも述べておられたが、医薬品業界を中心に若干の異論もある。講演は15分と時間の制約があったので、そのあたりの事情を詳しく述べておられなかった。その辺を少し補足したいと思う。

 近年の薬の開発は国際競争が大変熾烈で、いまや日本勢は劣勢である。ここ10数年、抗体医薬品の開発に遅れて、今年の抗体医薬品の輸入額は約1.8兆円前後になっている。節約した1600億円が研究開発費の元手だったとしたら・・・・・。見掛け上の成功が、長期的には自分たちの経済を弱めている可能性がある。「収縮均衡」つまりは「デフレ」。この10数年日本経済が直面してきた問題だ。

 区の予算だけ見ていると「医療費適正化」は議論の余地のない「錦の御旗」だが、国全体からみると景気、経済の点でなかなか微妙な問題がある。区の赤字は、東京都からの支援もある。(東京都は黒字団体)
ジェネリック化の徹底をあまり激しくやらないことにも、次世代への投資としての「理あり」というわけである。

 TPP交渉では、フローマン(アメリカ交渉代表)は特許期間25年を主張して譲らない。日本の医薬品特許は15年。つまりジェネリック薬は日本では15年目から作れる。しかも、医薬品の値段は厚労省が決めている。すべては政治問題・・・・。病気が治るように、経済が冷え込まないようにしたいものだ。

 高齢化社会の日本で、医療はGDPの15%程度。今後ますます増加すると予想される。医療は単に医療というだけでなく、成長戦略の一環としての4本目の矢なのですから・・・・。

西川荒川区長志帥会講演資料20141113
 




食道がん術後、難治性食道狭窄患者 治療費の強烈な査定で、クリニックは医療崩壊寸前

 以前のこのブログで、食道がん手術の後、吻合部が離開して、線維性狭窄をきたした症例を2例 紹介した。
http://tabuchimasafumi.doorblog.jp/tag/%E9%9B%A3%E6%B2%BB%E6%80%A7%E9%A3%9F%E9%81%93%E7%99%8C 後輩が勤務する大病院で手術したあと、胃と頚部食道の吻合部がかい離、線維性狭窄をきたした2例である。
  
 バルーン治療でも一切治らず、食事がまったくできなくなってIVH管理。再手術など癒着が厳しくてとてもできない。すっかり困り果て、後輩は、私なら何とかしてくれるのではないかということで2人の患者を送り込んできた。1人は6cm、1人は2cmの完全線維化狭窄。私の得意の内視鏡で何とかならないかというわけだ。

 ともに、周囲の大動脈などの重要血管に当たらないように注意深く、APCで食道トンネルをほった。そして、カバーステントを留置して、なんとか治療に成功。ふたりとも、飲めもするし食べることもできるようになった。2人とも多いに感謝してくれた。(ここらあたりまでは、以前のブログに書いた。)


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2回目に駆け込んできたときの深夜の緊急内視鏡像。狭窄部は直径約1mm-1.5mmで水もほとんど飲めない状態。



 しかし、吻合部狭窄を起こすのは血流が十分回復して来ないことが主因と言われている。バルーンで十分拡張しても、留置ステントが脱落すればい10日で狭窄となった。しかし、他によい方法が報告されていなかったので、ステント脱落と留置を繰り返しながらも、上皮の張るのを根気強く待った。結果、6cmの方はかなり良くなった。一年弱、ステントなしでも食事が満足に通過するようになったのである。
 
 一方、2cmのほうは、ステントが簡単に落ちてしまうので、上皮がなかなか張ってこず治療が長引いていた。食道狭窄拡張とステント留置を何度も繰り返した。狭窄症状は食べ物が詰まったりすると急激に出現してしてくる。よって、緊急内視鏡検査を実施して、適応ありと判断して深夜の緊急の手術となることが多い。飲めない食べられないとなると、深夜でも、スタッフ集めて緊急内視鏡だ。

 2cmの狭窄だった人は本年4月に、2週間開けて、2度の狭窄発作をおこした。よって深夜に二連のバルーン拡張とステント留置術を行って規定通り約75万円を請求したのであるが、半年経って、昨日レセプト査定内容がかえってきた。深夜加算と2連目の拡張術はすべて認められず、約75万円の請求が50万円の減額処分をうけて約25万円しか認められなかった。がっくり。

 バルーン拡張は一連のものは1回しか請求できないというルールがあるので、それを適応したらしいが、査定には詳しい理由の記載はない。4月の場合は、一度改善して退院。その後再び悪くなっているので、この二つの手術は一連ではない。その辺の事情は請求書に書いたのに・・・・・・。バルーンは、一本12万円前後ステントは10万円ぐらいで、原則使い捨て。スタッフのことを考えると、はっきり赤字だ。

 うちの30年来のスタッフは、「こんなに苦労して、寝る間も削って治しているのに、こんな査定を受けるなんて、とんでもないわ、もうやってられない」と怒り心頭に達している。

「「詰まった。飲めない・食べれない。」と患者が駆け込んできても、もう、うちでは治せないと治療拒否しましょう。」

 彼女がいなくなると私も1人では内視鏡ができないので、「まあまあ」となだめているが、経済的にも精神的にも医療崩壊だ。国保の査定の先生の責任は重大だ。

 国保の審査委員に皆さん、担当者が目黒区医師会の方か、東京都本部の方かどなたかは存じ上げませんが、現場で必死で頑張っている医療スタッフの足を引っ張らないでください。

 ところで、ちなみに、今年の5月アメリカのDDWで、食道がん術後の難治性の食道狭窄の治療のセッションに参加。全世界でこの問題に直面している医師が集まっての会合た。ディスカッションの中で、ステント留置の秘法を聞いてきた。6月にその方法を行って以来、2cmの方のステントは簡単に落ちなくなった

 食道がん術後の難治性の食道狭窄にお困りの方は、保険の適否は別として、治せるかもしれませんので、ご相談ください。

 (学会参加の旅行がまるで紀行文みたいという影の声がありましたが、学会にもちゃんと出ていますよ、タケシさん)


 
 

 



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