たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

がん予防十一箇条 がん予防の勧め

今の日本でガンを予防するのに、重要なポイントを
近年の医学上の成果をふまえて、11カ条にまとめてみました。
話せば簡単なようですが、実際に実行するとなると難しいものです。
しかし、実行できれば、がんの発生リスクは半分以下になるでしょう。

がん予防十一箇条

一、 タバコをやめよう
二、 ピロリ菌を退治しよう
三、 アルコールを控えよう
四、 大腸ポリープをとろう
五、 脂ものを控えよう
六、 空気と水をきれいにしよう
七、 肝炎ウィルスを退治しよう
八、 放射線被曝を避けよう
九、 がんウィルスに気をつけよう
十、 がん検診を受けよう
十一、 よく寝て、よく笑おう

第3回がん撲滅の会でがん半減の方策を語る

第3回がん撲滅の会が、2月26日 ホテルニューオータニ 鶴の間で開催されました。
412名の方にご参集いただきまして、誠にありがとうございました。
ビデオができましたので、是非ご覧ください。
1)ダイジェスト版 約3分


1)唐澤克之先生 最新の放射線治療 約30分

2)田淵正文 がん半減をめざして 約90分
知って得する「がん予防知識」が素人の方にもわかりやすく
解説されたと大変好評でした。
お時間のあるときにじっくりとごらんください。



 

第3回がん撲滅の会 ご案内

来る2月26日木曜日の午後6:00から、東京赤坂見附のホテルニューオータニで、第3回がん撲滅の会を開催します。今年、86万人の日本人がガンになり、36万人がガンで死ぬと予想されています。がんは身近な問題です。がんの基本から、がんにならない生き方、注目のがん新薬、最新の放射線治療、がんをめぐるお金の問題について、お話したいと思います。がんに関心のある方は、ぜひとも、ご参集ください。入場無料です。皆様のご参加をお待ちしています。いらっしゃる場合は、FAX(03-6303-3344)かメールinfo@ganbokumetsu.comにて、あらかじめのご連絡をお願いします。
第3回がん撲滅の会パンフレット1
第3回がん撲滅の会パンフレット2

夕刊フジのブラックジャックを探せに載った。

夕刊フジのブラックジャックを探せに載った。2月15日の日曜日に取材に来ていたのであるが、あっという間に記事になるんですね・・・・。ところで、間違いあり。まだ誕生日が来ていないのでまだ56歳です・・・・・・
20150219夕刊フジ18
 

胃癌のリスクを劇的に減らす方法

胃癌のリスクを劇的に減らす方法

<副題 バリウム検診に代わる胃癌撲滅の最新理論と技術>


田淵正文


 近年の日本では、胃がんの発生数は減少してきたとは言え、以前、多くのお方が胃癌でお亡くなりになっている。先日もNさんという53才の女性が胃の痛みで、来院された。上部内視鏡とエコー検査で転移をともなう進行胃癌と判明。手を尽くす暇も体力もなく、わずか3カ月であっという間にお亡くなりになった。内視鏡で見ると、Nさんの胃にはピロリ菌がうようよしていた。ピロリ菌が胃がんの原因と分かった今でも、ピロリ菌退治の体制確立が遅れている。そのため、このような悲劇が毎日約150人、日本の各所で起こっていると思うと、おもわず、涙が出てくる。

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 胃癌のリスクを劇的に減らす方法が開発されている。それは、ピロリ菌退治だ。ピロリ菌退治をすると、退治して3年以上たつと、胃癌の発生率が約8割も減少するという臨床実験結果が、10数年前から全国の多数の研究施設から報告されているのだ。一方、ピロリ菌に一度も感染したことがない人には胃癌が発生しないという衝撃的な研究結果も複数の施設から報告されている。日本全国で毎年約5万人~5万5千人の死亡者がでる胃癌、その罹患者数を激減させる道筋が明らかになってきた。


 さて、ピロリ菌とは何か?どういう生態なのか?


ピロリ菌は胃の中で繁殖する細菌である。胃の中というと、胃酸がある。胃は塩酸を分泌し。その酸の濃度はPH1~2ときわめて強酸である。したがって、胃の中ではどんな細菌も死滅するだろうと考えられてきた。事実、大腸菌、ビフィズス菌など、ほとんどの細菌は、強酸の分泌する胃のなかで生きてはいけない。


ところが、1983年、胃の中で繁殖し、胃炎を引き起こす細菌がオーストラリアで発見された。発見者はマーシャル先生とウォーレン先生(後の2005年この功績でお二人はノーベル賞を受賞)。胃の出口のことを、ラテン語でピロリということから、この細菌は「ピロリ菌」と命名された。調べてみると、このピロリ菌、ウレアーゼという酵素を持っていて自らアンモニアを産生して、胃酸を中和するという特殊能力をもっていた。そのため、強酸の胃の中で生きて繁殖していけるのだ。逆に、酸性の環境以外では、自ら産生するアンモニアのため、繁殖できない。生物にとって、アンモニアは猛毒だからだ。


ピロリ菌の生態や感染経路は、どうなっているのか?胃の中で繁殖したピロリ菌は、消化管の動きに沿って、便の中に出てくる。注意深く観察すると、ピロリ菌は酸のないところでは、栄養型の竹トンボのような形から、球形のコッコイド型に変態する。調べてみると、このコッコイド型のピロリ菌は増殖せず、じっとしていて、半永久的に感染力を持っていた。いわば、ピロリ菌の卵状態であった。


日本では人糞を長年肥料として土にばらまいてきた歴史がある。つまり、日本の土の中には、卵状態のピロリ菌がいる。この卵状態のピロリ菌が何かの拍子に間違えて口から胃に入ると、人はピロリ菌に感染するのだ。ピロリ菌の感染源は土である。


意識的に土を食べる人はいない。だが、土と接するハエやゴキブリのからだの表面には、ピロリ菌が証明されている。だから、ハエやゴキブリが触れた食材を知らず知らずに食べるとピロリ菌に感染する。土のついた野菜などの食材をそのまま口にすると、これまた、ピロリ菌に感染する。土と接する井戸水などもあやしい。ただ、ありがたいことに、このピロリ菌、熱に弱く煮沸すると感染力はなくなる。

ピロリ菌がガンを引き起こすメカニズムの解明も進んでいる。ピロリ菌の持続性の感染により、慢性胃炎がおこり、炎症の持続によって、胃の細胞に遺伝子異常が蓄積されて、ガンが発生しやすくなる。さらに、ピロリ菌には、D因子という膜に孔をあける4量体の蛋白を合成する遺伝子があり、この遺伝子のコピー数が多いピロリ菌ほど、がんを惹起させることも報告されている。

今、このピロリ菌にどのくらいの人が感染しているのか?ピロリ菌の感染率は年代によってちがう。土に接触する機会の多かったお年寄りの方ほど、感染率は高い。おおざっぱにいって、年齢マイナス10%くらいの感染率だ。たとえば、30歳なら20%ぐらい、40歳なら30%ぐらい、50歳なら40%ぐらいだ。

では、ピロリ菌に感染しているのかいないのか、どうやって調べるのか?血液テスト、便テスト、呼気テスト、内視鏡検査などで診断できる。2013年2月からは、内視鏡検査で陽性と認められた場合、社会保険でピロリ菌退治もできるようになったので、治療も考えれば、現時点では、内視鏡検査が妥当かもしれない。

それでは、ピロリ菌、どうやって退治するか? PPIという胃酸を強力に抑制する薬と酸の環境でも活性のある抗生剤2種類を1週間飲むことで、ピロリ菌は約90%除菌できる。それで、退治できない人でも、別の抗生剤の組み合わせで、ほとんどが退治できる。しかし、先に述べたように、ピロリ菌のいる食材を食べていると、すぐに再感染するので、見掛け上なかなか退治できないので、要注意だ。

現段階では、よく勉強して最新知識をもっている、内視鏡検査の上手な消化器内科の先生に相談してみるのが、ピロリ菌退治の最短コースだ。


さて、一方、現行の胃癌検診といえばバリウム検査だ。実は、このバリウム検診、1994年にWHOが全世界に向けて「禁止勧告」を出していて、現況では、胃癌のバリウム検診は、日本以外では1カ国も実施されていない。それは、放射線被曝により受診者の約2%に遅発性のがんが発生するからである。現に、この検査をずっと続けているわが国では、近年、悪性リンパ腫などの血液系のがん発生数は、ウナギ登りで、40年前は年間7500人程度であったものが、今や年間約4万人と激増しているのである。

1994年、WHOは「人口の約8%前後が胃癌に罹患する日本では、かりに2%ぐらいの人が遅発性に発癌したとしても、他に方法がない現状では、日本に限り、バリウム検診は容認される。」としていた。

しかし、「ピロリ菌退治をすると、胃癌の発生率が約8割減少」し、「ピロリ菌に一度も感染したことがない人には胃癌が発生しない」という研究結果が医学界の常識となった現在、WHOの勧告は一層重いものとなっている。もはや、従来のごとく、バリウム検診が続くとは考えられない。現行の胃癌のバリウム検診体制は早晩廃止され、ピロリ菌除菌を中心とした検診予防体制が確立されるであろう。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あけましておめでとうございます


 あけましておめでとうございます。新春に当たり皆様の益々のご繁栄とご健康をお祈り申し上げます。年間86万人前後が「がん」になり、36万人が「がん」で死ぬ時代です。今年も「がん」退治で、日本国民に尽くしあげる所存です。どうぞ、ご協力ご支援をお願い申し上げます。
 第3回がん撲滅の会を2月26日(木)午後6:00から午後9:00まで東京のホテルニューオータニで開催します。最先端のガン予防やガン治療について、一流の講師陣がお話します。入場無料ですので、どうぞご参加ください。

甘利明 健康・医療戦略大臣に 胃がん検診の改革とピロリ菌予防法の策定を進言

 11月初旬、相模台病院の山上松義会長のお計らいで、甘利明先生との会食の機会があり、1時間半にわたり、胃がん検診の改革とピロリ菌予防法の策定の重要性を進言した。来年度の胃がん検診は、バリウム検診からハイリスク検診へ、学問的によりまともなものに改革されるだろう。
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荒川区長、西川太一郎先生の医療費適正化の御講演を聴く

 東京のここ2-3日は寒くて12月中旬の寒さだが、暖かい部屋で食べるアイスクリームはまた格別。

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 今週は11月13日の木曜日、定例の志帥会で、医療費適正化に関しての荒川区の取り組みとその成果について、西川太一郎荒川区長のご講演があった。

#1 ジェネリックの医薬の促進(区から患者へ電話や手紙で勧誘)
#2 糖尿病患者への栄養士・保健士による直接の生活食事指導(糖尿病から透析となり、医療費が増える)
#3 複数の同系統・医療機関の掛け持ち受診者へ、保健士の派遣して、受信先をひとつにするように勧める。

 レセプトが電子化されて、患者データが簡単に手に入り集計できるようになったことで、個別に
これらの取りくみがどれくらい効果があるかすぐにわかるそうだ。誰がどういう治療を受けているか、
簡単にわかるからである。

#2、#3については、病気を減らして医療費適正化ということで、異論のないところである。

さて #1についてであるが、
荒川区の実績から、#1を全国に広めると、年間1600億円の医療費が浮くという。「国会議員の皆さんも、それぞれの選挙区での財政再建のためには、これらの策を参考にしてください」とおっしゃった。

#1について、ご講演の中でも述べておられたが、医薬品業界を中心に若干の異論もある。講演は15分と時間の制約があったので、そのあたりの事情を詳しく述べておられなかった。その辺を少し補足したいと思う。

 近年の薬の開発は国際競争が大変熾烈で、いまや日本勢は劣勢である。ここ10数年、抗体医薬品の開発に遅れて、今年の抗体医薬品の輸入額は約1.8兆円前後になっている。節約した1600億円が研究開発費の元手だったとしたら・・・・・。見掛け上の成功が、長期的には自分たちの経済を弱めている可能性がある。「収縮均衡」つまりは「デフレ」。この10数年日本経済が直面してきた問題だ。

 区の予算だけ見ていると「医療費適正化」は議論の余地のない「錦の御旗」だが、国全体からみると景気、経済の点でなかなか微妙な問題がある。区の赤字は、東京都からの支援もある。(東京都は黒字団体)
ジェネリック化の徹底をあまり激しくやらないことにも、次世代への投資としての「理あり」というわけである。

 TPP交渉では、フローマン(アメリカ交渉代表)は特許期間25年を主張して譲らない。日本の医薬品特許は15年。つまりジェネリック薬は日本では15年目から作れる。しかも、医薬品の値段は厚労省が決めている。すべては政治問題・・・・。病気が治るように、経済が冷え込まないようにしたいものだ。

 高齢化社会の日本で、医療はGDPの15%程度。今後ますます増加すると予想される。医療は単に医療というだけでなく、成長戦略の一環としての4本目の矢なのですから・・・・。

西川荒川区長志帥会講演資料20141113
 




食道がん術後、難治性食道狭窄患者 治療費の強烈な査定で、クリニックは医療崩壊寸前

 以前のこのブログで、食道がん手術の後、吻合部が離開して、線維性狭窄をきたした症例を2例 紹介した。
http://tabuchimasafumi.doorblog.jp/tag/%E9%9B%A3%E6%B2%BB%E6%80%A7%E9%A3%9F%E9%81%93%E7%99%8C 後輩が勤務する大病院で手術したあと、胃と頚部食道の吻合部がかい離、線維性狭窄をきたした2例である。
  
 バルーン治療でも一切治らず、食事がまったくできなくなってIVH管理。再手術など癒着が厳しくてとてもできない。すっかり困り果て、後輩は、私なら何とかしてくれるのではないかということで2人の患者を送り込んできた。1人は6cm、1人は2cmの完全線維化狭窄。私の得意の内視鏡で何とかならないかというわけだ。

 ともに、周囲の大動脈などの重要血管に当たらないように注意深く、APCで食道トンネルをほった。そして、カバーステントを留置して、なんとか治療に成功。ふたりとも、飲めもするし食べることもできるようになった。2人とも多いに感謝してくれた。(ここらあたりまでは、以前のブログに書いた。)


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2回目に駆け込んできたときの深夜の緊急内視鏡像。狭窄部は直径約1mm-1.5mmで水もほとんど飲めない状態。



 しかし、吻合部狭窄を起こすのは血流が十分回復して来ないことが主因と言われている。バルーンで十分拡張しても、留置ステントが脱落すればい10日で狭窄となった。しかし、他によい方法が報告されていなかったので、ステント脱落と留置を繰り返しながらも、上皮の張るのを根気強く待った。結果、6cmの方はかなり良くなった。一年弱、ステントなしでも食事が満足に通過するようになったのである。
 
 一方、2cmのほうは、ステントが簡単に落ちてしまうので、上皮がなかなか張ってこず治療が長引いていた。食道狭窄拡張とステント留置を何度も繰り返した。狭窄症状は食べ物が詰まったりすると急激に出現してしてくる。よって、緊急内視鏡検査を実施して、適応ありと判断して深夜の緊急の手術となることが多い。飲めない食べられないとなると、深夜でも、スタッフ集めて緊急内視鏡だ。

 2cmの狭窄だった人は本年4月に、2週間開けて、2度の狭窄発作をおこした。よって深夜に二連のバルーン拡張とステント留置術を行って規定通り約75万円を請求したのであるが、半年経って、昨日レセプト査定内容がかえってきた。深夜加算と2連目の拡張術はすべて認められず、約75万円の請求が50万円の減額処分をうけて約25万円しか認められなかった。がっくり。

 バルーン拡張は一連のものは1回しか請求できないというルールがあるので、それを適応したらしいが、査定には詳しい理由の記載はない。4月の場合は、一度改善して退院。その後再び悪くなっているので、この二つの手術は一連ではない。その辺の事情は請求書に書いたのに・・・・・・。バルーンは、一本12万円前後ステントは10万円ぐらいで、原則使い捨て。スタッフのことを考えると、はっきり赤字だ。

 うちの30年来のスタッフは、「こんなに苦労して、寝る間も削って治しているのに、こんな査定を受けるなんて、とんでもないわ、もうやってられない」と怒り心頭に達している。

「「詰まった。飲めない・食べれない。」と患者が駆け込んできても、もう、うちでは治せないと治療拒否しましょう。」

 彼女がいなくなると私も1人では内視鏡ができないので、「まあまあ」となだめているが、経済的にも精神的にも医療崩壊だ。国保の査定の先生の責任は重大だ。

 国保の審査委員に皆さん、担当者が目黒区医師会の方か、東京都本部の方かどなたかは存じ上げませんが、現場で必死で頑張っている医療スタッフの足を引っ張らないでください。

 ところで、ちなみに、今年の5月アメリカのDDWで、食道がん術後の難治性の食道狭窄の治療のセッションに参加。全世界でこの問題に直面している医師が集まっての会合た。ディスカッションの中で、ステント留置の秘法を聞いてきた。6月にその方法を行って以来、2cmの方のステントは簡単に落ちなくなった

 食道がん術後の難治性の食道狭窄にお困りの方は、保険の適否は別として、治せるかもしれませんので、ご相談ください。

 (学会参加の旅行がまるで紀行文みたいという影の声がありましたが、学会にもちゃんと出ていますよ、タケシさん)


 
 

 



ビッグデータと医療

本日、NHKでビッグデータと医療という番組をしていた。
「患者を救う大革命」と銘打って以下の題材を紹介していた。

#1 新生児の感染兆候を酸素飽和度と脈拍で知るーアメリカ 
#2 インフルエンザの流行をyahooの検索ワードで知るー日本
#3 前立腺手術と在院日数は「痛み」の解決がポイントー日本
#4 病棟の転倒予防対策:病棟ごとに危険時間帯のちがいがあり、職員の配置の工夫を ー日本
#5 喘息と発作の場所と原因チェック:吸引器を使用した場所と時間ーアメリカ
#6 P53制御たんぱくnek2の発見(プログラムによる論文検索による)-アメリカ

正確なデータがたくさん集まるという点で、評価できる。
#1、#5は特によい成果と言える。
#6も よい。
#3も 悪くない。
しかし、#4はいまいち。転倒しない対策が、ベッドを離れたのを、手すりに設置した感知器で察知して
ナースステーションのベルが鳴って、看護士が部屋に走り、倒れるのを防ぐというシステムだ。
それが、消化器病棟と脳卒中病棟で違いがあるから・・・・・人の配置をかえればよい。
ちょっと、いまいち。
工夫と知恵、たくさんあるからわかるんだということだけではない。



第22回JDDW2014神戸に参加・・・・胃がん検診はバリウムか内視鏡か?

 ヨーロッパの学会から、とんぼ返りして、木曜日からjddw2014神戸に参加。
胃がん検診に興味を持っているメディアが、私の本「私は<ガンで亡くなる方の2人に1人は救える!>と考えています」を読んで、共鳴して、学会場に私を取材に来た。
jddw2014-10-24interview

胃がん検診について、厚労省は「胃2重造影レントゲン検査」が標準検査と言っているが、
それに疑問に思っている専門家の医師は多い。私だけではない。

 いくつかの理由がある。
第一は、内視鏡検査は「胃2重造影レントゲンバリウム検査」の5倍くらい胃癌が発見できる。
第二は、レントゲン被曝により、20年ぐらいすると、被験者の2%ぐらいが癌になる。
第三は、胃癌の原因はピロリ菌と判明しているので、早期発見に努めるよりも、原因の除去をした方がよい。
第四は、バリウム検査で飲んだバリウムが腸でかたまって、腸閉塞となり、毎年約20名くらいの人が緊急手術を受けている。さらに毎年約2名は固まったバリウムで腸が破れて死んでいる。

 これに対して、行政側(国立がん研究センターの検診担当者)は、
第一に、内視鏡による胃がん検診には、胃がんを減らすという研究結果がない。研究結果がないのに内視鏡検査を胃癌検診の方法として採用できない。
第二に、内視鏡検診の行うには、それを行う医師が必要で、医師を確保するのは大変だ。
第三に、今の検診の主役の放射線技師の仕事がなくなる!
などなど・・・・・・

 しかし、いくつもの研究で、早期胃がんの発見率は、胃2重造影レントゲンバリウム検査に比べて、内視鏡検査のほうが数倍高い。(ちなみに、この学会の発表でPL検診センターからは両者は同等であるという発表が唯一あった。PL検診センターの内視鏡担当のアルバイトの先生方は東京で一番安い時給で働かされていて、モチベーションが低いという内情があるらしい。保険組合から検診を取るために検診単価ダンピングをしている・・・・)

 だから、今更、バリウムか内視鏡かどちらが人助けになるか?RCTしましょうというのは、倫理委員会を通るような内容ではないのである。

 バリウム検診で2%の人が癌になっているということは、WHOが1994年にすでに指摘されている。被曝の害は決して軽いものではない。日本人の大衆には知らされていないが、日本以外で胃がん検診を行っている国はないのである。
 お城のような立派なお部屋に座って、「死亡診断書を書いたことがない」人には、現場のことが分からないのだ。早期発見に失敗すれば、文字通り、胃がなくなり、ときには命がなくなる。そして本人も家族もほんとに悩み悲しむ。それを、日々目の当たりにしている我々は、「内視鏡検査をしているとき戦争しているのだ」という実感がある。しかし、お城の中にいる方には、それがないらしい。あるいは、よくわかっているのだが、新しいことをするのは面倒というお役人根性・・・・・?

 この30年の学問の成果から、わたしが考える胃癌対策は、「国民総ピロリ菌除菌」。そして、既往や家族歴そしてペプシノーゲンによってハイリスク集団の絞り込みをしたうえで、内視鏡検診をするという策である。

uegwに参加、ヨーロッパの大腸がん検診ーチェコの大腸がん死亡者率が減少した

ヨーロッパ諸国でも大腸がん検診が行政レベルで行われている。
お国柄によって、少しずつ異なるところがおもしろい。

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ところで、チェコのデータをみていると、検診行ったことで12.4%の大腸がん患者が救われたと報告していた。これにより大腸がん死亡率の点でチェコはヨーロッパ第3位から第9位まで改善していた。
実は2003年に、チェコのオストラバという行政区から、平坦陥凹型大腸がんと大腸内視鏡検査の講演に招かれたことがあり、それ以降、チョコの大腸内視鏡レベルはかなり改善して今回の数字に結びついたと、チェコの内視鏡学会長のオンドレイさんに感謝された。

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UEGW2014に参加

1998年以来毎年、UEGWに参加している。今回は17回目の参加。ウィーンは3回か4回目。
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日本発のESDはヨーロッパの国々でも定着しつつあるようで、日本以外からのESDのポスター展示も多い。
日本も、うかうかしてはいられない。ただ拡大観察・超拡大観察は日本人しかやっていなかった。アメリカやドイツではコンフォーカルレーザー内視鏡による拡大観察が主流。
富士フィルムがCMOSを搭載した600シリーズをヨーロッパで発売したとか、武田製薬がIBDに対する新しい分子標的薬剤をヨーロッパ先行で発売したとか。海外に出なければ聞こえてこない情報も多い。
ところで、スペインの先生が進行膵臓がんの治療で、3年生存率が50%ぐらいという治療法を紹介していた?!
夕方の富士フィルムのサテライトシンポで、オランダとフランスの先生からBLIによる早期バレット癌のいい写真を多数見せてもらった。さすが、バレット癌の本場、ヨーロッパ。

アブダビ訪問(2)

 エミレーツパレスホテルに宿泊。総大理石張りの宮殿作りである。6年半前にきたときは日本設計の方に案内されてきたのであるが、その時見た様子となにかちがっていた。部屋に入って、ホテル紹介のビデオを見ていて気がついた。照明が落とされているのである。だから、天井の模様が暗くくすんでしか見えないのだ。6年半前はホテル名に「ケンピンスキー」などとはいっていなかったのに、今は「ケンピンスキー」とはいっている。どうも、経営方針が変わったらしい。
 昔は7つ星といっていたが、今は5つ星 

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 プライベートの砂浜は広大約3-4kmある。ラクダに乗れたり、クルーザーで海遊びもできる。ただ、ヨーロッパとアラブの人以外はあまりお呼びではないらしく、ホテルのプロモーションバングの最後に「ヨーロッパとアラブの方々のために・・」とのコメントが数秒流れる。その経営方針に沿ってかどうかわからないが、139個あるテレビ番組には日本語の番組はなかった。(ちなみに中国語番組と韓国語はあった。)。

 また、テレビ(サムスン)のコントローラー(サードパーティ製?)が粗悪品で、すぐに、バグる。ハウスキーピングを呼ぶとふたを開けて、電池を抜いて初めから、指令2-3回でまたバグる・・・・。また電池を入れなおす。ハウスキーパーによると新しいものに順次変換している最中とのこと・・・・。やっぱり日本人は悪い部屋へか・・・・。

 ただ、この日はアブダビの王族とヨルダンの王族の結婚式のため、イーストウイングがすべて貸切であったとか。運の悪い日にきたものだ。エミレーツパレスホテルはヨーロッパの人が海遊びにくるための海辺の豪華なホテルといったところか、

 プライベートビーチと広い庭だけは、他のホテルには真似のできない素晴らしさがあった。

アブダビ訪問(1)

 レンタカーでアブダビからドバイまで約130km砂漠の道を走った。6年半前に比べて、砂漠の中にぽつぽつと建物が多くなっていた。39度の炎天下で、シェイクザイードビンスルタンモスク(別名シェイクザイードグランドモスク)に立ち寄る。

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 旅行ガイドにはシェイクザイードグランドモスクと書いてあるが、現地のカーナビには前者の名前ではいっているので要注意です。おかげでカーナビのセットに丸1時間もかかってしまいました。セットできた時はモスクまであと10km。シェイクザイードビンスルタンモスクは、大変大きく、世界一の広さを誇るモスクです。6年半前は周りの造りが一部工事中でしたが、今回はもう完全に出来上がっていました。真っ白の大きなモスクが雲ひとつない青い空に突き立っています。
 39度の炎天下に駐車して、黒いアバヤをかぶりモスクの中へ、中央広場を突っ切って靴を履き替え、冷房の利いたモスクへはいる、同行した家族は内装のすばらしさに感動して、「世界でこんなきれいで美しいなところ見たことがない」と何度もコメント。世界一大きな絨毯ペルシャ絨毯、真っ白な天然大理石に施した螺鈿細工、直径10m、高さ15mぐらいのシャンデリア・・・・。

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 6年半を経て、モスクの外は少し埃の付いているところもありました。柱の金が少し彩度を落としている点や螺鈿細工の朱色がやや暗い色になっていました。しかし、モスクの中は、もう何十万回も踏まれているはずの絨毯を始め、すべてが6年半の前と同じでした。

ドバイ訪問

今回、ドバイは3回目。2008年2012年そして今回。
2008年のときは、ブルジュハリファもヘルスケアシティも建設中であった。
ヘルスケアシティの医療モールはあまり伸びていないように見受けられたが、病院は夜、最上階以外の病室のどの窓も明かりがついていて、ほぼ満床の様子。地元に根付いて発展している。
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2012年、ブルジュハリファは出来立てのピカピカだった。今回もピカピカでさらに細かいところまで成熟している。タワーの周りには、建設用のクレーンも林立しさらに発展している。
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北見、網走、知床を見学、武部新先生を表敬訪問。

 研修医をしている長男が、ローテートの一環として、北見の病院にこの一カ月勤務している。その激励も兼ねて、連休を利用して北見を訪問。北見といえば「武部新先生」。後援会事務所を訪問して、情報交換をした。親と子の関係のはなしや、ピロリ菌や大腸がんの話について大いに盛り上がった。(先生は今夜、お通夜に行く予定、お亡くなりになったのは、50歳前後の女性の方・・・)今年は大腸がんに罹患する人は約18万ないし20万人、大腸がんでお亡くなりになる人は約4万ないし4万5千人。(年間の総死亡者数は約120万人・・・)症状の出ないうちに内視鏡検査を受けてポリープを取っておけば、死なずに済んだのに・・・・DSCF7821

大きな胃がんの内視鏡的切除(ESD)に成功!

 7月に福島県から71歳の胃がん患者が来た。地元の医療機関では胃癌病変が大きく、内視鏡では取りきれないと判断されて、開腹手術を勧められた。しかし「どうしてもおなかは開けたくない。胃は取りたくない。」といって、知り合いのつてで、中目黒消化器クリニックの評判をきいて、受診してきた。内視鏡検査と超音波内視鏡検査をした結果、病変は胃体部にあり、直径約12-13cm、2か所潰瘍があって、その箇所でsm層は淡くて不明瞭。広汎Ⅱb+Ⅱc+Ⅲ、mmとmpが面を形成してひっついている。大きさ深さともにESDの適応かどうかは微妙であった。CT-PETでは遠隔転移も、所属リンパ節の腫れも認められなかった。

 「病変が大変大きいので、一回のESD手術では取りきれない可能性が強いです。4-5回の内視鏡手術が必要かもしれません。また、病変の一部に深そうに見えるところがあるので、その部分がうまくはがせるかどうか、技術的にはかなり困難そうです。また仮に内視鏡的には取りきれても、癌の脈管浸潤などの遠隔転移やリンパ管転移の兆候が組織標本にあれば、追加で胃切除が必要です。また、これだけ大きいとESDのときに、穿孔もありえて、その場合は東大病院に緊急で引き受けてもらいます。(瀬戸教授に事前連絡)、それでよろしければ、同意書にサインしてください。」

 厳しい説明にもかかわらず、患者はすらすらと同意書にサイン。

 8月末から内視鏡によるminimum invasive な治療が始まった。ESD手術は延べ4回、延べ17時間かかった。潰瘍のあるⅢの治癒過程の部分、すなわちmmとpmのついている部分はフックナイフで綺麗に剥がれた。激しい出血や一時的な穿孔による腹膜炎も起こしたが、ともに内視鏡的な処置で乗り切って、なんとか病変は取りきれた。また、術後の合併症はこれだけの大きさであるから、予想通り何回が下血があった。そのたびに夜中でも緊急止血処置。文字通り、大変な症例であった。
 開腹手術では、3時間ぐらいで終わるようなものであるが、胃を切除すれば、おいしいご飯もこれまでのようには食べられない。術後のQOL(quality of lif)を考えると、17時間の粘りと深夜の出血との戦いは決して無駄ではない。(ついでに、文字通り寝食を忘れて治療していたので、患者ばかりでなく、術者の私も3kgほど痩せた。)
 病理標本の結果は、癌は粘膜内にとどまり、切除後潰瘍の辺縁からの組織検査でも癌は出てこなかった。
つまりは、うまくいったらしいのである。(分割切除であるから、組織標本の価値が少し低いため、らしいという判断)
 さて、現行の保険診療の手術点数規定によれば、何回もの内視鏡手術に比べて一回の開腹手術のほうが安上がりである。保険医診療担当心得の中には、病気はできるだけ安く治すようにと書いている。だから、保険医なら、開腹手術を選ぶべきであったと判断して、今回のような治療内容を過剰医療や保険適応外ときめつけ、診療報酬を与えないとする考え方がある。   

 しかし、本当に過剰医療や保険適応外であろうか?

 開腹手術は内視鏡手術とは違って、月日がたつと一定の割合で術後のイレウスを起こす。何回も入院を繰り返す症例が少なからずある。したがって、「開腹手術が数度の内視鏡治療に対して安い」と本当にいえるかどうか疑問である。また、そもそも、術後に思うようにおいしいご飯を食べられなくなるのは、それを克服する内視鏡治療がある現状を考慮したとき、「開腹手術が病気をほんとうに治したかどうか?」の疑問もある。審査担当の先生方は不当な保険診療とレッテルを張る前に、このあたりの事情をよくよく考慮していただきたい。

西川公也先生 農林水産大臣就任おめでとうございます。

 いろいろとご指導していただいている西川公也先生が、9月3日の内閣改造で、念願の農林水産大臣にご就任なさった。ご就任本当におめでとうございます。
 一週間前の8月27日には、TPPの仕事があって大臣にはなれないとおっしゃっていたが、人事は下駄をはくまでわからないもののようだ。就任2週目にしてやっと10分、時間を取っていただき、後援会の幹部3人と一緒に、大臣室でお会してお祝を述べることができた。きょうも夜の11時まで予定がびっしりで、近く有明湾のギロチンの問題で九州に飛ぶとのこと。この難しい問題の解決策もすらすらと述べておられた。
20140917西川先生農水大臣就任祝1
20140917西川先生農水大臣就任祝2

ピロリ菌の感染ルートは?

9月3日に市村正親さんの胃がん手術からの復帰会見をうけて、胃がんの予防についてテレビで説明してきましたのは前にも述べたとおりです。その後、見逃してしまったという声が寄せられましたので、先週して非公開の形でyoutubeにアップしました。これまで3000例を越える症例をピロリ菌退治してきましたが、とくに感染ルートについては、なるほどといえる目新しいものです。是非ご覧ください。 http://youtu.be/HCiwBPvDynM 

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