たぶち まさふみ オフィシャルブログ

日本消化器内視鏡学会指導医 元東大医学部講師による、医療・政治ブログ

ピロリ菌発見者(マーシャル先生とウォーレン先生)にノーベル賞

 スウェーデンのカロリンスカ医科大学は3日、今年のノーベル医学生理学賞を、オーストラリアのバリー・マーシャル西オーストラリア大教授(54)と、病理専門医ロビン・ウォーレン博士(68)に贈ると発表した。ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発生に関与している可能性を1983年に提案したことが22年を経て評価されたものである。その後、世界各地の研究で、ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍だけでなく、胃がんとの関係も明らかになってきている。ピロリ菌は地域によって、亜種があり、日本をはじめ、中国東北地区、朝鮮半島になど、東アジアに分布するピロリ菌は、cag-Aという発ガン因子をもつことがわかった。日本でのピロリ菌感染率は、戦前・戦中・戦後混乱期世代(50歳以上)に高く、これが、日本の高い胃癌発生率に結びついている。ピロリ菌の除菌によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の慢性化はなくなり、胃癌の発生率も低下する。現在、日本の健康保険制度では、ピロリ菌除菌療法は胃・十二指腸潰瘍 治療にしか適応がなく、胃癌の前段階の慢性胃炎に対しての適応はない。残念なことである。ウォーレン先生らがノーベル賞を受賞なさったのを機に国を挙げて、ピロリ菌退治をし、胃癌患者を減らしたいものである。戦前、結核予防法が策定されたように、胃癌予防法を策定し、慢性胃炎患者のピロリ菌の駆除に行ったらいかがであろうか!ちなみに、当院では、これまで2600例を越えるピロリ菌退治をしてきました。慢性胃炎でピロリ菌除菌をご希望の方は、御来院ください。

消化管癌(大腸癌、胃癌、食道癌)にならない生活習慣とは?とくに飲酒について

 大腸癌の死亡者数がじわりと上昇してきている。現在、一年間に約9ないし10万人が大腸癌に罹って、約4万人が死んでいる。大腸癌を避けるためにはどういう生活習慣がよいのであろうか?大腸癌に罹りやすいリスク因子としては、1)アルコールの過剰摂取、2)脂物の過剰摂取、3)食物繊維の不足、4)癌家系などが上げられる。かつてよく、肉の食べすぎもリスク因子といわれたが、これは、研究者によりデータが異なり、半数は関係有、半数は関係なしとの状況である。(ちなみに、女優オードリ・ヘップバーンは菜食主義者であったが、大腸癌で死んでいる。)


 10年ぐらい前になるが私独自の研究としては、アルコールは飲む量に比例して、大腸癌や大腸ポリープの頻度が上がり、ビールは毎日500ml以上飲むとリスクがあがり、毎日1500ml飲むと約
2倍のポリープの発生をみた。また、日本酒では、容量依存的な悪影響が見られた。一日5合飲むと、大腸ポリープが大腸癌になる確率が2倍になった。長期にポリープを取りに通院してくる人たちをみると、営業で酒を飲む生活から退職すると、大腸ポリープの発生する頻度も低下するような印象がある。


 最近、ピロリ菌退治後の胃癌の発生について、アルコールを飲んでいない群では、除菌後
3年後以降の発生率は0に近いが、アルコールを飲む群では除菌後3年たっても、ピロリ菌の退治の胃癌抑制効果は、あまり見られないという発表がいくつかあった。アルコールを飲んでいると、胃炎が治まらず、癌発生のリスクが維持されるということなのであろうか?


 食道癌(扁平上皮癌)のハイリスクは、
50歳以上の男性で、濃い酒を飲んで、煙草を吸い、熱いものを食べる習慣のある人である。


 いずれにせよ、過剰な酒は食道を含め、胃腸によくない。ただし、酒を飲む人は、歯周病や虫歯になりにくいという統計があり、酒は口だけによいということみたいである。ちょっと変だが、医学的に見ると、「酒類は口に含んで味わった後、吐き出す。」というのが、もっとも健康的な習慣と言うことになる。

経鼻式内視鏡 本当に楽にできるか? 正確な診断は可能か? 

 現在、楽に胃カメラ(上部内視鏡検査)をしたいという要求から、極細径の内視鏡(直径5.6mmぐらい)が開発されて、内視鏡の有力企業、オリンパスとFTS(フジノン東芝システム)から、発売されている。鼻から入れられるので、楽だと言うふれこみである。本当に楽にできるのか?どれくらい正確な診断ができるのか?ということで、先ごろから何回か試用してみた。

 まず、画像を見て、これは、20年前のファイバースコープだと思った。このスコープでは、この20年の内視鏡学の進歩の恩恵を、患者に与えることができない。ピットパターン診断(腺管口文様による診断)や毛細血管観察による診断などは無理である。腺管構造や血管構造だけが変化して、形態が変化していないタイプの病変は、簡単に見落とされてしまうスコープである。こういった、画像精度の低さは、今後、電子技術の進歩により、解決される日も遠くないかもしれないし、またそれに期待するところである。しかし、今、解決されていないのも事実だ。経鼻内視鏡の後に、高性能拡大内視鏡を行った。経鼻式内視鏡ではよく見えなかった、バレット上皮内のピットパターンを、いつものように観察して、ほっと安心した。

 次に楽か否かであるが、内視鏡の直径が細いので確かに楽になっているが、それでも、鼻の穴が痛くなるのを避けるのは難しい。本当に楽にやるためには、スコープに工夫を加えるだけでなく、内視鏡時の適切な麻酔技術も要求される。当院の技術では、内視鏡をしたことすらわからないくらい楽にそして無痛に、内視鏡検査を完了することができる。あえて、精度の低い経鼻式内視鏡を採用する機会はかなり限定的だ。

高性能拡大内視鏡 解像度7ミクロンの世界 

当院で現在使用している拡大内視鏡は、解像度が7ミクロン。画素数130万。顕微鏡でいうと約200倍の画像に匹敵する。毛細血管が鮮明に見える。小腸絨毛のなかのループ状の毛細血管も鮮明に見える。赤血球の流れが見えることもある。ループを通過する時間は、0.2秒程度である。ただし、条件により、見えたり見えなかったり、早かったり遅かったりする。また、特殊な色素を使うと核の形態も見える。大腸癌の核の形は特徴的で、良性に比べて大きくなり、散在する。癌の種類により、核の形態も異なるようだ。高性能の拡大内視鏡が切り開いた世界は、今後、病態・生体機能の解明や内視鏡診断の助けになりそうである。

ペットがん検診の限界

 PET(positron emission tomography)による癌検診が、注目されています。原理は、癌が光る物質(正確には代謝の盛んな場所に取り込まれる陽電子を放出する物質)を注射して、癌を探るという仕組みです。2005/01/10に述べたように、現在のPETでは、1cmを越えた腫瘤を形成しないと、癌は見つかりにくいと言われています。最近、ペット癌検診をうけて胃に不明瞭な集積があり、念のため胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を受けてくださいということで、来院した患者さんがいました。内視鏡検査を実施したところ、胃にはピロリ菌による慢性胃炎があり、また、食道には約3cm大の早期癌がありました。なぜ、食道癌がペット検査で見つからなかったのでしょうか?第一の原因は食道癌が早期のため薄っぺらで、映らなかったのです。実は、問題はそれだけではなく、癌を光らせる物質は代謝の盛んな心臓にも大変多く取り込まれるため、心臓周囲の病変は良く見えないのです。今回の食道癌はちょうど心臓の裏側にありました。ペットがん検診を受ける方は、必ず、消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)のチェックを内視鏡で行い、ペット検査の弱点である、消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)の早期がんの見落としを補完してください。当院の提供する無痛で精密な消化管ドックのページはこちら

内視鏡的噴門部形成術、安全なオリジナル手術法を開発。

 逆流性食道炎が国民病である、米国では、胃液の食道への逆流を防ぐための噴門部形成術が盛んである。(噴門部とは胃の入り口のこと)。薬が自費の米国では、薬を長期にわたって服用続けるのは経済的負担が大きいという裏事情もあり、噴門部形成術の価格は70万円ぐらいと聞いている。(米国では、薬代が原則すべて自費で月約2-4万円かかり、内視鏡検査は一流の内視鏡医に頼むと診断だけで27万円相当ぐらいもかかる為、患者は薬も飲まないで治る方法を希望するとの話です。)米国の内視鏡学会では、内視鏡的噴門形成術として4種類ほどが提案されているが、実効性と安全性・簡便性の点で検討すべき点が多いのも現状である。今回、オリジナルに安全で簡便な方法を考案して、臨床的に行ったところ、成功した。手術前は内視鏡が4本入るくらい、開いた噴門が、手術後は内視鏡が一本ちょうど収まる形となった。グレイドDの逆流性食道炎がグレイドAまで改善した。手術料金は10万円から40万円(噴門の開き具合の程度により価格が異なる)。逆流性食道炎をお悩みの方で、この手術法をご希望の方は、外来までお越しください。


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ato2上は手術前、下は手術後です。







 これまでの方法を挙げると、

1)内視鏡の先に特別の円筒の筒を装着して、そこに、食道壁を吸い込み、吸い込んだ食道壁に鍼を貫いて、糸を通し結ぶ方法(Bard社)EndoCinch

2)特殊な蟹バサミのような装置を、内視鏡観察下に胃に入れて、噴門部壁にワインのコルク抜きのような螺旋型の金属を突き刺して、壁を引き上げて挟んで縫い付ける方法。NDO Plicator

3)食道の粘膜下に特殊な樹脂を注入して、食道壁・噴門部を厚くする方法。Enteryx

4)4方向に広がる鈎針のついた特殊な装置で、食道筋層を焼いて傷つけ、食道壁を収縮させる方法。Stretta などがある。

1)と2)の方法は、壁を貫いて鍼が進むので、胃の壁の外の臓器を傷つける危険性がある。たとえば、太い血管を傷つけ大量出血の危険性がある。操作が煩雑で、高価な特殊な装置を必要とする。3)は、現在利用されている樹脂は、生体との適合性が悪くて、しばらくすると離脱して効果がなくなる。4)鈎針が食道壁に穴を開けたりする危険性がある。

今回開発した内視鏡的噴門部形成術は、以上の問題点を克服した方法です。1-2年後に学会で発表する予定です。

第二回芳医会で陥凹型大腸癌の講演をしてきました

 2005/07/16に、第二回芳医会が岡山で開かれました。芳医会とは、私の母校である岡山芳泉高校を卒業した医師の会です。専門分野を超えての情報交換と同窓生の親睦を目的としています。今回は、第一期の卒業生である私に講演のお鉢が回ってきて、「陥凹型早期大腸癌」について約90分、講演しました。要旨は、「陥凹型早期大腸癌は、発見しづらく転移の早い癌で、臨床的に重要である」ということでした。質問も多く、結構盛り上がりました。専門分野外の先生方にも、わかりやすかったと結構好評で、ほっとしました。


 その二次会では、「冠動脈ステントは何本入れるのかという話(
9本ぐらいまで入れることあり)から、死体のペースメーカーを取り出しの話(火葬場の温度が高い電気炉だと燃えてしまうので取り出さなくて良いが、低い石油炉だと燃えないので取り出さないといけない)になり、さらに火葬場の温度から、焼いた骨のDNA鑑定は可能か」といったように多彩な話題が、飛び出しました。専門外の疑問をそれぞれの専門家にいろいろと尋ねて、大変面白い会でした。ちなみに、現場の法医いわく、「私の教室では焼いた骨のDNA鑑定はできないと考えています。」とのことでした。北朝鮮から提出された骨が、その人でないと判定された科学的プロセスを、帝京大学法医学教室に公表してもらいたいものです。大学同級の野上誠先生(助教授)よろしくお願いします。

アメリカ消化器病週間(DDW)報告

2005/06/16アメリカ消化器病週間(DDW)報告

アメリカの消化器病週間が、5月14日から19日まで、イリノイ州シカゴにある、ミシガン湖のほとりのムコーミックコンベンションセンターで開催された。いろいろと、新しい発表があった中で、私がもっとも注目したのは、炎症にかかわる因子(i-cam1)の合成を特異的に阻害する、siRNAという新たなパラダイムの潰瘍性大腸炎の新薬(Alicaforsen)である。臨床試験の結果、従来のステロイドと同等の効果を持ち、副作用がほとんどないという。siRNAという新たなパラダイムの薬が既に大規模臨床試験まで来ていることも驚きであった。

日本消化器内視鏡学会報告

 日本消化器内視鏡学会が、5月26日から29日まで東京赤坂見附のホテルニュウオータニで開催された。いろいろと面白い発表がある中でもっとも注目したのは、オリンパス社製カプセル内視鏡である。画質は既存のギブン社のものより優れたものであった。従来、カプセル内視鏡はその特性から、小腸の診断に主に使われていたが、オリンパス社製のものは、胃も観察できるほどのイメージを持っていた。今後しばらく、カプセル内視鏡の進化が起こり、10年後には、内視鏡の世界も大きく変わりそうである。

「人生いろいろ」の中山大三郎さん死去………下咽頭癌、予防できるか?

 「人生いろいろ」「無錫(むしゃく)旅情」「珍島(ちんど)物語」などのヒット曲で知られる作詞、作曲家の中山大三郎さん(なかやま・だいざぶろう、本名同じ)が7日午前0時3分、下咽頭(いんとう)がんのため、都内の病院でお亡くなりになりました。64歳。99年(58歳)でがん告知を受け、00年(59歳)に声帯を除去。声が出なくなっても、最後まで創作活動への意欲を見せていたそうです。日本人男性の平均死亡年齢78歳からみると、早死です。残念なことと、ご冥福をお祈り申し上げます。


 下咽頭癌はどうすれば、予防できるのでしょうか?


 咽頭癌や食道癌(扁平上皮癌)は、アルコール(特にアルコール度の高いもの)、喫煙、熱い飲食物、特定の体質(アルコール脱水素酵素活性とアルデヒド脱水素酵素活性の微妙なバランス)が危険因子とされています。まず、これらのリスク因子を避けることが重要です。


しかし、これらが避けられない人、もう既にどっぷりと使っている人はどうすればいいのでしょうか?答えは、拡大色素内視鏡検査を受けることです。食道にヨー素を散布して、まだらな淡い染色域が多発してくると、咽頭癌や食道癌の発生が近いとわかるのです。


 下咽頭癌は、従来、耳鼻科の領域と考えられていましたが、最近は、消化器内視鏡による診断ができるようになってきました。内視鏡の先端にキャップをつけることにより、下咽頭の視野が得られやすくなったことと、咽頭癌の早期診断が拡大内視鏡観察で比較的簡単にできるようになったことが、その原因です。7ミクロンぐらいまでの解像力をもつ拡大内視鏡で扁平上皮癌(ep癌・m癌)を見ると、毛細血管が打ち上げ花火のような感じになっているのです。正常では、毛細血管は規則正しいループを描くのですが、癌組織の中では、その先端に血液が鬱血して、毛細血管が膨らみ、上から見ると、花火のように見えてくるのです。図1図2図3参照。早期に見つかったものは、内視鏡手術だけで治せることもあります。


 中山大三郎さんも、54歳ごろから、拡大色素内視鏡検査をしかるべき先生のところで、きちんと受けていれば、2005年4月7日の死去はなかったことでしょう。重ね重ね、ご冥福をお祈り申し上げます。すばらしい歌の数々ありがとうございました。

ピロリ菌を心配して、胃癌を早期発見—開腹胃切除を免れる

先日、このホームページをみた30歳の娘さんが、ピロリ菌のいるお父さん(58歳、仮称、小泉純一郎)を心配して、ピロリ菌を退治してほしいと当院を訪れました。まずは、内視鏡検査ということで、上部消化管内視鏡検査を実施したところ、直径3mmの陥凹型早期胃癌が見つかりました。内視鏡で粘膜切除術をおこない、病理検査の結果、病変は粘膜内に留まっていました。粘膜内に留まっていれば、リンパ節転移や、肝転移や、腹膜播種の可能性は、ほとんどありません。小泉純一郎さんは、開腹して胃を切除する必要はありませんでした。娘さんの機転が、お父さんの胃を、いや、命を救ったのでした。

 このような、ピロリ菌を心配して来院して、内視鏡をしてみると胃癌がみつかるという、エピソードはよくある話です。ピロリ菌を放置している人に胃癌が発生してきます。ついでに言うと、大腸ポリープが出る人や癌家系の人は、その人の癌遺伝子が変異しやすいことが知られています。そのような人は、大腸に限らず、腺組織をもつ臓器(食道、胃、十二指腸、胆嚢、胆管、膵臓、肺、腎臓、前立腺、乳腺、子宮)に、それぞれ(食道癌、胃癌、十二指腸癌、胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌、肺癌、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、子宮癌)が出やすいことが知られています。大腸ポリープがあって、癌家系であって、ピロリ菌のいる人は、三重の胃癌のハイリスクを持っています。当院での消化管ドックを受ける最もメリットのある人たちといえます。

原因不明の腹痛や血便・下痢の原因は小腸にあることが多い

腹痛や血便で来た患者に対しては、上部内視鏡検査(俗に胃カメラ)と大腸内視鏡検査を行うのが一般的です。小腸は検査の難しい臓器でしたから、一般的に症状がかなりひどくないと検査しないものでした。しかし、胃カメラや大腸内視鏡検査だけでは診断のつかないこともあります。昨日述べたように、全小腸内視鏡のできるカプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡が開発されて、全小腸の検索や処置ができるようになって、原因不明とされていた、腹痛や血便・下痢の、かなりの割合が診断できるようになりました。クローン病、アレルギー性小腸炎、結核性小腸炎、鎮痛剤による薬剤性小腸炎、炎症や手術後の機械的狭窄などが、腹痛の原因として意外に多いことがわかってきました。原因不明の腹痛でお悩みの方は、ご相談ください。小腸内視鏡がその悩みを解決するかもしれません。

カプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡の開発で可能となった全小腸内視鏡検査

小腸は長さ約5mないし7m、直径1.5cmないし2.5cmの細長い管状の臓器です。2000年以前は、すべての小腸の内側を見ることは、テクニカル的になかなか難しいことでした。ですから、我々専門家は、そのころ、小腸のことを暗黒大陸と呼んでいました。2001年ごろに、カプセル内視鏡が開発されて、全小腸を容易に観察できるようになりました。(ちなみに、主要国の中でカプセル内視鏡が政府に認可されていないのは、日本だけです。アメリカ、中国、韓国、ヨーロッパの政府はずっと前から認可しています。カプセル内視鏡が使えないのは日本と北朝鮮だけ?!) しかし、カプセル内視鏡の原理的欠点は、組織検査ができないこと、ポリープの切除や、止血処置ができないといったことでした。2002年秋、ジュネーブのUEGW学会のとき、ある内視鏡製作会社の開発責任者から、ダブルバルーン小腸内視鏡を開発したが、売れるだろうか?商品化しても大丈夫だろうか?と質問を受けました。わたしは、その方法はカプセルと違い、組織検査やポリープ切除、止血処置などもできるから、臨床的に有用であり、是非商品化すべきだといいました。翌年の春にダブルバルーン内視鏡は市販され始めて、いまや、全世界で売れています。小腸の病変・病気に対しては、カプセル内視鏡でスクリーニングを行い、ダブルバルーン内視鏡で精査・処置するというスタイルが定着しつつあります。ちなみに、当クリニックでもダブルバルーン小腸内視鏡が可能です。


 

中尊寺ゆつこさん大腸癌で死亡。・・・大腸癌死を予防するには

“オヤジギャル”などの言葉を流行させた漫画家の中尊寺ゆつこさんが 2005年1月31日午前8時45分、S状結腸に発生した大腸癌のため死去しました。42歳。結構早い年齢です。まだ幼い子供がいるそうです。きっと、死んでも死に切れない悔しい気持ちでしたでしょう。ご冥福をお祈り申し上げます。大腸癌はポリープを切除することで予防できます。3~4年前に、内視鏡ドックを受けていれば、今回の不幸な出来事も簡単に避けられていたことでしょう。癌集積家系、高脂肪食、高カロリー食、高低繊維食、アルコール多飲は、大腸癌のハイリスクです。ハイリスクのある方は30歳くらいから、そうでない人も、35歳くらいから、症状のないうちに内視鏡検査を受けていれば、大腸癌による死を回避できます。高齢出産をする予定の方は、生む前に、からだのチェックが必要ということかもしれません。当院の(ポリープ切除付)消化管ドックのページ

自由診療は高いので損!?・・・治らない診療が最も高い

患者にとって、一番高い診療は治らない診療です。治らなくても費用は発生します。自由診療を賢く受けるには、治せる施設を選ぶ必要があります(これは自由診療に限ったことではありませんが・・・)。


   ところで、あまり知られていない制度ですが、自由診療にかかった費用でも、保険組合に相談すると、一部カバーされることがあります。たいてい、どこの組合にも所定の申請用紙があります。よくご存知の方は、診療後に所定の用紙を持っていらっしゃって、診療明細を依頼されます。


   また、任意保険(民間の保険、アフラックとか、ソニー生命とか、明治生命とか、日本生命とか・・・)に加入していると、内視鏡でポリープを切除した場合、契約内容によりさまざまですが、手術となり、一回につき5万円程度の保険金あります。ちなみに、本日、大腸内視鏡検査をお受けになったかたは、腫瘍性の大腸ポリープがあり、内視鏡下に切除しました。血液検査や病理検査や投薬を含めて7万円ほどの請求でしたが、「アフラックに加入していたので、手術特約で5万円ほどの保険金が下りるので助かります。」とコメントしていました。彼は、がん特約も契約しており、病理結果が癌であれば、20万円追加、さらに癌が浸潤していれば100万円の保険金が下りるそうです。こうなると、小さな癌や腫瘍をきちんと診断できる医師を選ばないと、身体的のみならず、経済的にもほんとうに損をするということです。

なぜ自由診療なのか?・・・保険診療は最先端でない

当院は現在、自由診療です。どうして自由診療なのですかとよく聞かれます。現在の保険診療はいろいろと制限があり、診断できるものも診断できなかったり、治せるものも治せなかったりするからです。たとえば、慢性胃炎に対するピロリ菌除去は保険診療では不可です。ピロリ菌退治は胃癌の抑制につながり、慢性胃炎も治るのに、保険診療では認められていません。その他、カプセル内視鏡や、肥満の治療薬、新種の抗癌剤、ステロイド注腸療法の用量制限、内視鏡による腸管縫縮術など、効果があるのに社会保険診療で認められていない有効な診断法や治療法が数多くあります。また、社会保険の運用も不明朗で、俗に言う経済審査が平然と行われています。医療機関は熱心に診療をすればするほど、理不尽な損害を蒙るのが現状です。 医の本分は第一に患者を治すことと考えています。

ペット(PET)検査vs内視鏡検査・・・癌の発見能力はどちらが上か? 

近年、PET(ペット)検査が、癌の早期発見に利用され始めました。(ちなみにPET検査は西台クリニックが有名)。当院では、消化管の癌(食道癌、胃癌、十二指腸癌、大腸癌)を早期に発見しようという目的の患者さんが多いこともあり、患者さんから、PETで癌がすべてわかるといううわさを聞くが本当ですか?という質問がよくあります。この件を調べに、東大の核医学検査室を見学に行き、担当の先生方に尋ねたところ、塊をなす癌で1cmが感受の限界ということでした。PET検査は、細胞の糖分(グルコース)のとりこみを調べる検査方法なので、平滑筋が動く消化管では、疑陽性例が多くなるそうです。平坦な癌や5mm以下の微小な癌の診断は、PETでは無理とのことでした。消化管において、PET(ペット)では早期癌は見つからないということです。平坦陥凹型癌は、5mm程度の小さいうちから浸潤することもあり、当院でも行っているような、熟練した医師による色素法を併用した拡大内視鏡検査が、現在のところ、消化管癌の早期発見・早期診断には、最も正確で精密で安全といえそうです。ちなみに、今年から、内視鏡によるポリープ切除付消化管ドックを始めました。腸をきれいにするための前処置を含めて、拘束時間、約7時間(個人差あり)で食道癌、胃癌、大腸癌の完全なスクリーニングを行います。詳細

難しい大腸ポリープ(difficult polyps)・大腸癌を内視鏡で切除する

大腸ポリープの中には切除のきわめて難しいものがあります。癒着しているものや、病変基部が広範に及ぶもの、数が多いものの臨床的取り扱いは難しいものです。アメリカでは、ここ2-3年、切除のやさしいポリープと区別して、こういったポリープを(difficult polyp)と呼んで、特別に取り扱いはじめました。

先日、某日赤病院で、癌性のポリープが2個見つかり、開腹手術を勧められた患者さんがいました。癒着がある上に、大きさが数cmにもおよび、内視鏡では技術的に切除できないと言われたそうです。患者さんはどうしても開腹手術を避けたかったので、「中目黒消化器クリニックなら開腹せずに癌が取れるかもしれない。」との評判を聞いて、当院に来院なさいました。診察してみると、まさに、「difficult polyps」でありました。上記の3条件がすべてそろっていたのです。まず1つは、1cm弱の陥凹した病変(癌)がポリープ切除後の瘢痕収縮部の部分に発生していました(遺残再発?)。次に、腸管の約3/5周にも及ぶ約6cmの大きな側方発育進展型の腫瘍(癌)がありました。図1厄介なことに、単に大きいだけでなく、すぐ奥のポリープを先にとっていたため、癒着して大変取りにくい状態になっていました。そして、そのほかに大腸ポリープが13個ほどありました。

  私は、2チャンネル内視鏡や、拡大内視鏡、アルゴンプラズマ焼却装置、特殊切開器具、縫合器具などを駆使して、まったく合併症なく、完全に腫瘍(癌)を取り去ることができました。図2、図3。幸い癌は粘膜内にとどまり、転移の危険性はなく、開腹手術をせずに済みました。当院ではそんなDifficult polypにも十分対応できる技術と設備があります。

ピロリ菌を放置してスキルス胃癌になる。・・・残念!

今年(2004年)の初めに、5年ぶりに内視鏡検査を受けに来た60歳ぐらい社長がいらっしゃいました。5年前にピロリ菌がいるので、退治しましょうとアドバイスしておいたのですが、彼は仕事が忙しくて、しばらく、来院できなかったといっていました。内視鏡検査をしてみるとスキルス胃癌(進行の早く、胃癌の中でも最も悪性度の高い癌)が見つかりました。スキルス胃癌は内視鏡では治療できないので、東大病院に紹介しました。そこで、いろいろ治療を受けたのですが、結局、先日お亡くなりになりました。ご冥福をお祈りすると共に、5年前に、なぜもっと熱心にピロリ菌退治をお勧めしておかなかったか、毎年、なぜ内視鏡検査をお勧めしなかったのか、と大変後悔させられました。胃癌の発生はピロリ菌退治で抑制できます。(詳細)ピロリ菌を退治しましょう。

みのもんたさんが私の学会発表内容をテレビで紹介・・・脂肪と大腸腫瘍

今度の日本消化器病週間学会(DDW-JAPAN)で私が発表する内容を、みのもんたさんが、2004/10/11にテレビで取り上げました。その内容:大腸ポリープと血清脂質を、田淵正文院長の業績のページに載せました。ご参照ください。一般にお酒を飲みすぎたり、脂物を取りすぎたりすると中性脂肪が上昇し、大腸癌の発生が増加することが知られています。くれぐれもご注意ください。
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